『ブラックバード 家族が家族であるうちに』サム・ニール インタビュー

安楽死という母の決意、そのとき家族は……家族の絆と愛を問い直す

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サム・ニール

本作は断じて安楽死を推奨するものではないが、重大なテーマを語っている

『ブラックバード 家族が家族であるうちに』
2021年6月11日より全国公開
(C)2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED 

オスカー女優スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットが初共演。母のある決意を巡って沸き起こる家族のドラマを描く『ブラックバード 家族が家族であるうちに』が6月11日より公開を迎える。

ある週末、リリーと夫が暮らす海辺の瀟洒な家に、長女ジェニファーとその家族、次女のアンナたちが招かれる。病が進行し、徐々に身体の自由がきかなくなっているリリーは、自ら人生の最期についてある決意をしていた。集まった家族に普段通り振る舞い、最後の時間を一緒に過ごしてほしいと願うリリー。ジェニファーはそんな母の決意を理解しようとしているものの、アンナは到底受け入れることができない。それぞれの思いは揺れ動き、姉妹は母の決意を覆そうと試みるが……。

リリーを支える夫、ポールを演じたサム・ニールのインタビューをお届け。

安楽死を通じて覚悟を問う問題作 2大オスカー女優が迫真の共演!

──安楽死という重いテーマを扱った作品です。身近な人の死について話すことは、普通なら避けたいことですよね。

ニール:そうだね。でも今は、世界的に話題に取り上げられるようになってきた。人は以前より長く生きるようになってきたから。だからと言って、人はひどい死に方をしなくなったというわけじゃない。この病気はとても残酷だ。さっきレイン(・ウィルソン、マイケル役)に話したところなんだが、僕の母の最後の2年は辛かった。彼女は認知症を抱えていたんだ。尊厳が奪われ、特に本人にとって苦しかったが、僕たちにとっても良いことではなかった。選ぶことができたなら、彼女はそちら(安楽死)を選んだと思う。

サム・ニール

──同じことがご自身の身に起こったらどうしますか?

ニール:同じことが自分に起こったら、僕も絶対そちらを選ぶよ。この映画は断じて安楽死を推奨するものではないが、重大なテーマを語っている。

──あなたの演じるポールは、愛する人の決断を支持します。ご自身がその立場だった場合、同じことができると思いますか?

ニール:そこは、僕らみんなが理解しようと努力したところだ。この映画に出てくるキャラクターは、みんな自分なりにそれに向き合う。だが、彼らはまた、家族の過去やお互いの関係にも向き合うんだ。それはごちゃごちゃしていて、興味深くて、ファニーでクレイジーでもある。本作は、これから何が起こるのかということと同じくらい、この家族の過去と現在を語るものなんだ。

──妻リリーを演じるスーザン・サランドンとのお仕事はいかがでしたか?

ニール:スーザンの相手役をするのはこれが二度目だ。彼女は現代で最高の女優の一人だよ。その機会をもらえたというだけでとても嬉しい。スーザンとはたくさん話をする必要はなく、お互いの演じ方を理解しているんだ。
彼女は友だちでもあるし、(撮影の間)5週間もイギリスの美しい場所で一緒に過ごせた。今回のキャストはみんなとても仲良くなったよ。今も友だちさ。

サム・ニール
サム・ニール
Sam Neill

1947年9月14日、北アイルランド・オマー出身。幼少期にニュージーランドへ移住。初期の出演作に、『テロリストたちの夜/自由への挽歌』(77年・未)、『わが青春の輝き』(79年)がある。1981年『オーメン/最後の闘争』に主演。次いで、カルト映画『ポゼッション』(81年)に出演した。以降は、ニコール・キッドマン共演の『デッド・カーム/戦慄の航海』(88年・未)、『レッド・オクトーバーを追え!』(90年)、ジェーン・カンピオン監督作『ピアノ・レッスン』(93年)などに出演し、国際的な認知度を高めた。1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』でアラン・グラント博士役に起用され、2001年の『ジュラシック・パークⅢ』でも同役を演じた。