実の甥が演じるマイケルはマイケルそのもの! 映画『Michael/マイケル』が描く“KING OF POP”の真の姿
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マイケル・ジャクソンの魂をインストールしたかのような凄み
【映画を聴く】<前編> “KING OF POP”ことマイケル・ジャクソンの映画なのだから、音楽伝記映画の真打ち登場! と言い切ってしまっていいだろう。映画『Michael/マイケル』の公開が日本でも始まった。マイケル役を演じるのは、マイケルの実の甥にあたるジャファー・ジャクソン。ジャクソン5時代にマイケルに次ぐ人気を誇ったジャーメイン・ジャクソンの息子である。
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伝記映画においては「主人公がどれだけ本物に近いか」がひとつの見どころになるが、ジャファーはもはやマイケルそのもの。単なる形態模写やモノマネの次元をはるかに超えて、マイケルの身のこなし、ふとした瞬間の憂いを帯びた視線と声色、ステージで放たれる爆発的なオーラなど、マイケル・ジャクソンの魂そのものをインストールしたかのような凄みがある。

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大衆音楽の歴史において、マイケル・ジャクソンほどの成功を収めたスターはいない。それと同時に、マイケル・ジャクソンほど誤解され続けているスターもいない。マイケルがスターになればなるほど、メディアが作り上げた虚像やスキャンダルが独り歩きし、本来の功績や一人の人間としての真の姿を純粋に理解することを困難にしてきたからだ。
その風潮は彼の死後、段階的に改善されてきたが、この『Michael/マイケル』により音楽家としてのマイケルの“KING OF POP”たる所以がより正確に理解されることになると思う。アントワーン・フークア監督は、虚像やスキャンダルのヴェールを剥ぎ取り、自身の表現に人生を捧げたマイケル・ジャクソンの真の姿を、圧倒的な熱量でスクリーンに描き出している。
マイケルの神童ぶりを伝えるモータウン時代
アメリカ・インディアナ州ゲイリーの工業団地で、歌と演奏の練習に打ち込む5人の息子たち。そして、それを厳しい目で見守る父親。『Michael/マイケル』は、そんな緊張感にあふれるシーンから始まる。父母と9人の兄弟姉妹で構成されるジャクソン・ファミリーの家父長、ジョセフは製鉄会社のクレーン操縦士であり、元ボクサーにしてアマチュア・バンドのギタリスト。プロのミュージシャンになる夢を諦めきれなかった彼は、息子たちの才能を見出すとその夢を彼らに託し、マネージャーとして強権的で厳格な音楽指導を行なうようになる。マイケルらに容赦ない体罰を加えていたことは、映画の冒頭でも生々しく描かれている。

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1969年にモータウン・レコードからメジャーデビューを果たしたジャクソン5は、「アイ・ウォント・ユー・バック(帰ってほしいの)」や「ABC」など連続して全米1位を獲得し、瞬く間にスターダムを駆け上がる。当時まだ11歳だったマイケルはリード・シンガーとしてグループの顔となったが、モータウンは「キッズ・グループの賞味期限は声変わりまで」というジンクスを恐れるがあまり、子供の彼にとんでもない労働量を押しつけるように。モータウンに在籍した6年間で、ジャクソン5として12枚、ソロとして4枚ものアルバムを残している。

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映画前半では、幼いマイケルが抱えていた心身の疲労と、大人たちの思惑に翻弄される姿が痛ましいほどに描かれる。幼少期のマイケルを演じるのは、子役のジュリアーノ・ヴァルディ。テレビで見たジェームス・ブラウンのステップを瞬時にマスターしてしまうシーンなど、マイケルの神童ぶりを説得力をもって見せ、青年期のマイケルを演じるジャファー・ジャクソンとともに見る者に強いインパクトを残す。 <後編>へ続く (文:伊藤隆剛/音楽&映画ライター)
『Michael/マイケル』は、2026年6月12日より全国公開中。

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