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私たち人間の好みを察知して自動的に処理してくれるAI(人工知能)。できればやらずに済ませたい家事などなら、やってもらって嬉しいものだが、こと趣味や創作活動にAIとなると話は違ってくる。

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たとえば、ちょっと前まで「エコ」の名の下にエネルギーをセーブする自動システムがもてはやされたが、注目度はダダ下がり。感染症の影響で経済優先が叫ばれるとなおさらその流れは進むだろう。一方、家庭でも「ホームオートメーション」と呼ぶ、住宅設備をネットワーク経由で一括制御する「スマート技術」が普及してきた。2年ほど前に相次いで登場したAmazon Alexa、Google AssistantやLINE Clovaといったスマートスピーカーも普及の一翼を担った。AIは人々を煩わしい作業から解放し、生活を便利で快適なものにしてくれるという触れ込みだった。

そして今度は「AI」の名の下に、こんどはコンピューターが積極的に私たちの意思決定に介入してくるようになった。あたかも私たち一人ひとりのコンシェルジュのようにオススメしてきたり、好みに合うものを仕立ててくれることを良しとする文化だ。買い物するにもAmazonや楽天、価格.COMの星数をチェックしなければ気が済まないし、Amazon PrimeやNetflixで次に見る作品を探すにも星の数を参考にすることに慣れた。

Apple MusicやRoonといった様々な音楽サービスにおいて一人ひとりのユーザにオススメの曲を提案してくれるのは普通になったが、映画でも同様に「この作品を見たあなたはきっと星3つを付けます」という形で予測評価をしてくれる映画サービスが日本にも上陸した。9月16日よりサービスを開始した、韓国発の月額動画配信「WATCHA(ウォッチャ)」だ。

これは、みんなの評価が高かった作品ではなく、アナタがもしこの作品を見たら下すであろう評価を表示する。そう、いわばマッチングアプリなのだ。配信されるラインナップは、定番から往年の作品、さらには映画好きでもあまり知らないような作品までを揃えるというが、それぞれに世界から寄せられた5億件の作品評価が付されたデータが紐付けされている。

そして各自が評価やレビューを記録するアプリ「WATCH PEDIA」が別に用意されており、それぞれの作品に自分が加えた評価が「WATCHA」のデータに反映され、それが別の作品で自分が下すであろう評価の予想になる仕組みだ。「予想評価=4.2」「平均評価=3.4」というように。ちょっと使ってみた感じでは、既に見たがまだ評価していない映画の「予想評価」もなかなかイイ線なので期待できそう。それに、未見の映画に「予想評価=5.0」なんて付けられたら見るしかないでしょ!

ちなみに、先行体験の参加者に行ったアンケートによれば、WATCHAで初めて知った作品を視聴した人のうち 92.3%がその作品に満足したとのこと。

実際にこの映画レビューアプリ「WATCHA PEDIA」で評価を入力していくと、「ふむふむ…ほぉ…なんと…! そうきましたか!」「どんな作品がお好みなのか少しずつわかってきましたよ。」「もうちょっとでわかりそうなんです! あとちょっとだけ教えてください!」「記憶の片隅にある作品もこの機会に評価しちゃいましょう!」などど煽ってくるのでついついデータベース化に貢献してしまう。

なお、本国では映画、ドラマ、アニメのみならず、本やコミック、音楽も網羅しているから、LINEのように日本の企業と提携が進めば日本でも広がる可能性がある。

8月5日から開始した事前登録は9月11日時点で4万4000人を超え、いまならリリース記念キャンペーンで初回登録に限り31日間視聴無料(Apple決済の場合は1ヵ月無料)。それ以降は「ベーシックプラン」なら月額¥790(税抜)、「プレミアムプラン」なら¥1,200(税別)。どちらも最高画質はフルHDで、同時視聴可能な機器数とダウンロード本数が異なる。

「AIなんかに自分の何が分かる!」と思うかも知れないが、それは私たちが過去に下してきた沢山の判断を元に合理的に判断された結果。しかもAIの提案に対して、最終的に決定を下すのは私たち人間なのだから、目くじら立てることでもないだろう。私たちが自分で選ぶときだって、過去の蓄積された経験と今の気分がもたらした“直感”で決定しているに過ぎないのだから。(文:fy7d)

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