(後編)春休み目前で本命級の作品ズラリ、混戦を制するのはディズニー新作か!?

#週末シネマリサーチ

『ストロボ・エッジ』
(C) 2015 映画「ストロボ・エッジ」製作委員会 ©咲坂伊緒/集英社
『ストロボ・エッジ』
(C) 2015 映画「ストロボ・エッジ」製作委員会 ©咲坂伊緒/集英社

(…前編より続く)

○【3位予想】『ストロボ・エッジ』
「アオハライド」の咲坂伊緒の同名人気コミックを、『さよなら歌舞伎町』の廣木隆一監督監督で実写映画化。主演は大ブレイク中の福士蒼汰と有村架純の『あまちゃん』コンビ。高校生の男女が織りなす恋愛模様を切なく描いている。

【週末シネマリサーチ】(前編)春休み目前で本命級の作品ズラリ、混戦を制するのはディズニー新作か!?ジ

比較対象となるのが、原作者・配給が同じで上映館数もほぼ同数の『アオハライド』(14年)だろう。キャストも「東出昌大&本田翼」、「福士蒼汰&有村架純」と、どちらも若い世代に絶大な人気を誇っている。『アオハライド』は、19歳未満の女子が7割以上という極端な客層。当然プロモーションもそちら側に寄せた展開で、初週で21万人を動員した。本作も、2月28日に行われた「第20回東京ガールズコレクション2015」でコラボステージ、3月10日には都内女子校でサプライズイベントを行うなど、ティーンに向けて魅力をアピール。

公開がホワイトデーの3月14日。主演の福士の人気も絶大で、3月7日のカレンダー発売記念握手会では、右手を負傷しながらも3500人のファンと交流し、大きなニュースとなった。旬なコンビで『アオハライド』を超える結果を残すことも十分考えられる。動員予想は20〜25万人。

▲【5位予想】『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』
人気アニメ「プリキュア」シリーズ通算18作目にして、歴代プリキュアが総出演する「プリキュアオールスターズ」シリーズ第7弾。歌とダンスの国アルモニアにて、総勢40人のプリキュアたちが活躍する姿を描いている。

例年恒例の劇場公開版。毎年3月に公開され、『映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』(14年)、『映画 プリキュアオールスターズ New Stage2 こころのともだち』(13年)、『映画 プリキュアオールスターズ New Stage みらいのともだち』(12年)共に、動員17万人、興収1億9000万で3位と、ほぼ安定した数字を残す優良作品だ。本作も上映館数は例年通り。他の公開作品が強力なので、順位は3位とはいかないだろうが、15〜17万人の動員は期待できる。

△【6位予想】『風に立つライオン』
ボランティアに従事していた医師・柴田紘一郎氏をモチーフに作られた、さだまさしの名曲「風に立つライオン」をもとに、小説化と映画化された本作。メガホンを執るのは三池崇史監督。ケニアで医療ボランティアに携わる医師と、そこに運ばれてきた少年兵との心の交流を通じ、医療の在り方や、様々な問題を提起したヒューマンストーリー。主演は、映画化を熱望し製作陣にも加わっている大沢たかお。石原さとみ、真木よう子が共演している。

東宝は同日に実写映画を2本公開する。『ストロボ・エッジ』が若い世代向けなら、こちらは全方位向け。間口は広いぶん、ターゲットをどこに向けていくかは難しいところだ。さだまさし原作の映画化というと『サクラサク』(14年・東映)が全国148スクリーンで動員2万人の10位、『アントキノイノチ』(11年・松竹)が全国230スクリーンで動員7万人の5位。本作は300館を確保しており、10〜13万人程度の動員は見込めそうだ。

【注目シネマ】
×『博士と彼女のセオリー』
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を抱えながらも、現代宇宙論に多くの影響を与えてきたスティーヴン・ホーキンス博士の人生を描いたヒューマンストーリー。

ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインが、第87回アカデミー賞主演男優賞に輝くなど、日本でも注目度が上がっている。上映館数は約60館。3月2日には松本伊代と、お笑い芸人・又吉直樹(ピース)という異色のコンビを迎えてのイベントを開催。献身的に夫を支える妻にクローズアップしたプロモーションを展開した。

×『劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』
ウルトラマンギンガ、ウルトラマンゼロなど、10体の新世代ヒーローたちが集合して、地球の平和を守る姿を描く。

約50館での上映。先月行われた「第25回ゆうばりファンタスティック国際映画祭」ではメガホンをとった坂本浩一監督がトークショーを行い、ウルトラマンの魅力を存分に語った。シリーズものの潜在能力は侮れない。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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