『FRINGE/フリンジ』『パーソン・オブ・インタレスト』『ALCATRAZ/アルカトラズ』J.J.エイブラムス インタビュー

『LOST』『フリンジ』など話題作を次々放つヒットメーカーを直撃!

#J.J.エイブラムス

今はテレビの黄金期だと思っている

世界的メガヒットドラマ『LOST』を手がけたヒットメーカー、J.J.エイブラムス。そんな彼の最新ドラマ3作品が、この秋、立て続けにリリースされた。

女性FBI捜査官と天才科学者の親子が、全米各地で起こる怪事件や超常現象を捜査していく『FRINGE/フリンジ〈フォース・シーズン〉』。ホームレスに身を落とした元CIAエージェントと天才技術者が、“未来”に起きる凶悪犯罪を解決していく『パーソン・オブ・インタレスト〈ファースト・シーズン〉』。そして、脱獄囚たちが50年の時を超えてよみがえり暴れ出すという『ALCATRAZ/アルカトラズ』。

これらの話題作について、エイブラムスに話を聞いた。

──今まで手がけてきたテレビシリーズのなかで、1番気に入っているのは?

エイブラムス:とりわけ好きなのは『フェリシティの青春』かな。何せ、テレビシリーズを手がけたのは初めてだったから多くを学ばせてもらったし、とても心温まる楽しいシリーズだ。でも『エイリアス』や『LOST』も好きだし、どれか1つに絞るのは難しいね。

──スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシをはじめ、テレビシリーズを本格的に手がける映画監督が増えています。それについてあなたが思うこと、そしてテレビ業界の現状について教えてください。

エイブラムス:様々な企画のうち、パイロット版(試作)にこぎ着けられるのはごくわずかだし、パイロット版のなかでも放映されるのはさらにごくわずか。また、放映されても、1シーズン以上続くのもごくわずかだ。だから、常にチャレンジなんだけど、そうはいっても、今はテレビの黄金期だと思っている。
今、長編映画については、スタジオは常にマーケティングの観点から製作を決定していて、リスクに挑むことが少なくなってきている。でも、その分、テレビではリスクを厭わない企画が増えてきている。結果、海外も含めて、テレビではワクワクするような面白いシリーズがどんどん出てきている。映画ファンにとっては残念だけど、今は映画よりもテレビの方が面白いものが見られるんだ。
 映画でもオリジナリティを打ち出したいところだけど、最近のトップ10リストを見ても、10年前やそれ以前に比べると、続編・リメイク・リブート(再起動)ばかりだよね。だから、今はテレビの方が面白い。テレビが映画よりも劣等だという偏見もなくなってきているので、脚本家や監督、俳優が映画からテレビに流れ込んできている。そして、独創性に富んだりエッジが効いていたり、キャラクターもストーリーも面白い作品がどんどん増えているんだ。

AKB48のメンバーなら出演は誰でも大歓迎
『FRINGE/フリンジ』
(C) 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

──『FRINGE/フリンジ』はフォース・シーズンで終わりとなりますが、今のお気持ちは?

エイブラムス:とても大好きなシリーズで、今まで見てきたなかでも、最も奇妙なシリーズの1つに入るね。関わることができて本当に嬉しい。
 このドラマを面白くしている要素は、2つの世界が描かれているところ。フォース・シーズンの見どころは、ピーターとオリビアのラブストーリーで、今までは何となくほのめかしていた程度だったけど、今回ははっきりと2人の関係が描かれる。それが、ドラマチックな展開につながっていくんだ。

『ALCATRAZ/アルカトラズ』
(C) 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

──では、『ALCATRAZ/アルカトラズ』の見どころは?

エイブラムス:このドラマのアイデアを最初に聞いたとき、すごく気に入った。アルカトラズは凶悪犯罪者が入所する難攻不落の刑務所なんだけど、語られてきた史実は実は虚構で、移送されたはずの数百人の囚人たちはどこかへ消えてしまっていて、その事実が隠蔽されていたという設定だ。その囚人たちが現代によみがえるというアイデアがとても魅力的だと思ったんだ。

──『パーソン・オブ・インタレスト』は爆発的にヒットしましたが、その理由は?
『パーソン・オブ・インタレスト』
(C) 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

エイブラムス:第1の理由は、現代では人々が監視カメラに囲まれているからだと思う。どこにいても監視カメラだらけだよね。で、その監視カメラが記録した情報が実際に利用されていたとしたら、というアイデアが面白いと思った。監視カメラの情報を集めるマシンが存在していて、それが、これから起こる犯罪の予知につながるとしたらどうだろう? そして、2人の意外なヒーローたちがその情報を使ってみんなを守っているとしたら? このアイデアを持ち込んできたのは、(『インセプション』などを監督したクリストファー・ノーランの弟)ジョナサン・ノーランなんだ。彼は『バットマン』シリーズの脚本を共同執筆しているんだけど、このドラマは、いわば、マントなしのスーパーヒーローたちが世界を感知する監視カメラを使って犯罪を防ぐんだ。

──話は変わりますが、あなたはAKB48のファンですよね。自作に出演させてみたいメンバーはいますか?

エイブラムス:前回、来日したのが数年前だから、メンバーも相当変わっているだろうね。AKB48のメンバーなら、誰でも大歓迎だよ。一緒にいて楽しい子たちだったから、ぜひ企画に参加してほしい。

J.J.エイブラムス
J.J.エイブラムス
J.J. Abrams

1966年6月27日生まれ、ニューヨーク出身でロサンゼルスで育つ。ハリソン・フォード主演作『心の旅』(91年)や『アルマゲドン』(98年)などで脚本を担当。『フェリシティの青春』(98年)の製作総指揮をつとめテレビ界に進出。以後、『エイリアス』(01年〜06年)、『LOST』(04年〜10年)などの人気ドラマを手がける。また監督としても活躍し、『M:i:III』(06年)、『スター・トレック』(09年)などを手がけている。