国立映画アーカイブは、ワーナー ブラザース ジャパン合同会社との共催で「35㎜フィルムで見るクリント・イーストウッドの軌跡」を10月29日より開催する。

・FIAF賞受賞の香川京子が外国人記者クラブで会見、巨匠監督との思い出を語った

フィルムをアーカイブすることの意味

国立映画アーカイブは、国内外を問わず、現存するフィルムを可能な限り収集・保存・復元することを使命としている。所蔵するフィルム数は、今年2月末現在、82,946本にものぼる。さらに、保存が難しい状態のものについては複製やデジタル復元なども行い、『羅生門』のデジタル復元は全米映画批評家協会賞を受賞している。

国立映画アーカイブが所属する国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)では、「映画フィルムをすてないで!」と呼びかけている。フィルムは映像作家の創造物であり、カメラマンが捉えた歴史的瞬間の記録であり、文化遺産である、と。そして、適正に保管すれば長期保存が可能であり、不当な複製によって内容が改ざんされたり歪曲されたりすることを防げると述べている。

改めてフィルムの凄みを体感したい

俳優・監督として多くの作品を世に送り続けているクリント・イーストウッドは、2020年5月31日に90歳を迎えた。監督としては『レヴェナント 蘇りし者』(15年)からはIMAXで撮影しているが、以前はフィルム至上主義者として知られていた。

この企画では、数ある監督作品・主演作品の中から、ハリー・キャラハンを演じた『ダーティハリー』(71年)、第65回アカデミー賞最優秀作品・監督賞を受賞した『許されざる者』(92年)、渡辺謙ら日本人俳優を起用し日本からの視点で描いた『硫黄島からの手紙』(06年)など、計13作品を上映する。すべて日本語字幕付きで、硫黄島の戦いをアメリカからの視点で捉えた『父親たちの星条旗』は公開当時の日本語吹替版も上映する。

注目は、13作品の全てで、DCP(デジタルシネマパッケージ)ではなく、公開当時と同様に35㎜フィルムで上映する点。35㎜フィルムならではの光や色彩表現を目の当たりにできる貴重な機会になることは間違いない。

会場は、国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール。チケットは、チケットぴあを通じた前売り指定席券のみで、当日券はナシ。感染症対策として座席は前後左右を空けて3分の1の定員でおこなう。(文:fy7d)

その他の写真はコチラ

[概要]
「35mmフィルムで見るクリント・イーストウッドの軌跡」
会期:2020年10月29日〜12月6日(月曜休館、12月1日休映)
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール(東京都中央区京橋3−7−6)
   10月29日〜11月8日:長瀬記念ホール OZU[2階]
   11月10日~12月6日:小ホール[地下 1 階]

[上映作品]
1. 『ダーティハリー』(71年)
2. 『許されざる者』 (92年)
3. 『マディソン郡の橋』 (95年)
4. 『目撃』(97年)
5. 『真夜中のサバナ』 (97年)
6. 『トゥルー・クライム』(99年)
7. 『スペース カウボーイ』 (00年)
8. 『ブラッド・ワーク』(02年)
9. 『ミスティック・リバー』(03年)
10. 『父親たちの星条旗』(06年)
  『父親たちの星条旗』[日本語吹替版] (06年)
11. 『硫黄島からの手紙』(06年)
  『硫黄島からの手紙』[英語字幕付] (06年)
12. 『グラン・トリノ』(08年)
13. 『インビクタス/負けざる者たち』(09年)