排斥か友情か——“知らない奴ら”との関わりを巨匠が問いかける
北東部三部作の集大成、友情と連帯の物語に込めた監督の強い思いが明らかに
喪失と希望を描く感動作『オールド・オーク』より、ケン・ローチ監督が日本の観客に向けて語る最新メッセージ映像が公開された。
・市井の人々の生活と闘争を描き続けてきたケン・ローチ監督、分断の時代に放つ希望の問いとは?
市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたイギリスの巨匠、ケン・ローチ監督。彼が自ら「最後の作品」と語っているのが、2023年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された本作だ。『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16年)『家族を想うとき』(19年)に続く「イギリス北東部3部作」の最終章となる。
舞台は、とある炭鉱の町で最後に残ったパブとして親しまれていた「オールド・オーク」。人々が集い、安らぎを見出す場所だったはずのパブは、シリア難民の受け入れをきっかけに、諍いの場へと変貌してしまう。
オーナーのTJはパブの先行きに頭を抱えていたが、シリアから来たカメラを携えた女性ヤラと出会い、思いがけず友情を育むことに。やがて彼は、喪失や未知への恐怖、そして希望を見つけることの難しさについて知っていくことになるが──。
1967年に『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビューして以降、50年以上にわたり労働者階級の人々が置かれたシビアな現実を誠実な眼差しで描き続けてきた巨匠ケン・ローチ監督。2026年で90歳を迎えるローチ監督から、日本の観客に向けた貴重なメッセージ映像が解禁された。
2016年のイギリス北東部を舞台に、寂れゆく炭鉱町で困窮する地域の人々と、新たにやって来たシリア難民との衝突、そして共生の可能性を問う本作について、「これは自国での戦争から逃れて、あなたの国にやってきた人々の話です。そういった人々を受け入れられるのか、それとも敵意を持ったまま生きていくのか」と語り、分断された現代社会に生きるすべての人々へ普遍的なテーマを投げかける。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』の制作過程で、暗い時代の中でも勇気と決意をもって立ち向かう人々との出会いに感銘を受け、本作に着手したというローチ監督。厳しい現実に直面しながらも「人々は何に幸せを見いだし、どう繋がることで友だちとなり、何が人々を結び付けるのか」と問いかけ、その思いは町に残されたパブ「オールド・オーク」のオーナーTJと、シリアからやって来た女性ヤラとの間に生まれる友情の物語に託されている。
最後に「映画館に入る時よりも、少し背筋が伸びた気分になってもらえたら」と期待を込め、「ありがとうございます。皆さまの幸せを祈っています。遠く離れていますが、心はいつもそばに」と心温まる言葉で締めくくった。
さらに、入場者特典として公開記念スペシャルステッカーが、4月24日より上映の全劇場で配布されることが決定した。劇中の重要なシーンに登場する旗のデザインをあしらい、英語とアラビア語でそれぞれ「強さ・連帯・抵抗」の言葉が刻まれている(数量限定、なくなり次第終了)。
『オールド・オーク』は現在公開中。
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