『TOKYO TRIBE』園子温監督&清野菜名インタビュー

世界初のバトル・ラップ・ミュージカルを作り出した監督と、パンチラ・アクションを大胆披露したシンデレラガールの対談が実現

#園子温#清野菜名

このエンタメは重くなくていい、ラップとストリート感だけでやってみよう、と(園監督)

ポップカルチャー満載の井上三太原作による人気コミック「TOKYO TRIBE2」を園子温監督が実写映画化した『TOKYO TRIBE』。豪華キャストや本物のラッパーたちがラップを披露しながら、ド派手なアクションも繰り広げるエンターテインメントに仕上がっている。

本作について、原作や劇中で登場人物が身につけ、井上三太が手がけるブランド“SANTASTIC!”でも扱われている“SARU”Tシャツを着込んだ園子温監督と、ヒロイン・スンミ役に抜擢された新星・清野菜名が膝を交えて語ってくれた。

──原作はもともと読まれてましたか?

監督:「TOKYO TRIBE」は読んでいたけど、映画化した「TOKYO TRIBE2」はオファーが来てから読みました。全12巻もあるし、ちゃんとコンセプト考えないと、邦画にありがちなグチャグチャ映画になっちゃうな、と思ったね(笑)。

清野:世代ではないから連載当時は読んでなかったんですけど、オーディションを受けるに当たって読みました。男同士の熱いバトルと、いろんなTRIBEがかっこいいと思いました。

──主人公たちの人間関係が原作とはずいぶん違っていて驚きました。フジヲ(主人公・メラの恋人でスンミに似ている女性)という女性の存在自体、一切出てこないし……。
園子温監督

監督:あー、事故で死んじゃう人ね。いや、12巻ある原作をいかに2時間弱の映画に収めるかっていう課題の話になるんだけどね。原作は連載だし、読むだけでもある程度時間がかかる。ただ、映画の場合は、陰惨な事件から始まって殺し合いもあったあと、2時間弱で「お前もいいヤツだな」って握手するってのは正直言って相当無理がある。
 今回のエンタメはそれほど重くなくてもいいし、見せるべきところはそこじゃないと思ったんだよね。実を言うと、はじめに他の人が書いた脚本で“友情と裏切り、そして恋”みたいなものがあったんだけど、邦画のオーソドックスな青春映画で、それもつまんないし、“TOKYO TRIBE”じゃないな、と。ストリート感とラップという“TOKYO TRIBE”のエキスだけでやっていってみようと、そうやって映画作りが始まっていった感じだな。

マネージャーに正式にオファーの電話が来て嬉し泣きしました!(清野)
──清野さんは本作でヒロインに抜擢されましたが、オーディションでは1回目では落ちたのだとか?
清野菜名

清野:はい、とくにヒロイン役のオーディションというわけではなかったんですが、1回目は落ちました。

監督:1回目と違って彼女の体調が良かったのか(笑)、輝いててオーラがあって、美しかった。見た途端、「あ、コイツ、ヒロインだな」ってピンときて、直接誘ったんだけど、清野はぼんやりしてて、信用してない感じだった。

清野:後でマネージャーに正式にオファーの電話がきて、それでやっと実感が湧いて、嬉し泣きしました!

監督:アクションも素晴らしいから、一石二鳥だね、清野の場合は。演技はまだまだだけどね。『ヒミズ』の二階堂が25点だったから、清野は18点ぐらいかな。

──二階堂ふみさんや、吉高由里子さん、満島ひかりさんなど、園監督と言えば、新進女優の発掘が得意ですが。

監督:よく言われるけど、もう、いいよ、そういう話は(笑)。

──いやいや(笑)、本当に審美眼に驚かされるのですが、共通点はあるんでしょうか?

監督:共通点はとくにないよ。それぞれ、その役、そのヒロインに合ってるかどうかで選んでるだけだからね。

──本作は全編、“ラップ・ミュージカル”となってますが、そのアイデアはどのように生まれたんですか?
清野菜名(左)と園子温監督(右)

監督:今回の作品作りでたくさんのラッパーたちに会ったときに、コイツら全員映画に出ればいいじゃんって思ったんだよね。渋谷や新宿の街角でロケして、ラッパーの衣装着た役者がラッパーのふりしてるだけの映画なんてやりたくない、そんなのサムいだけ。僕はその逆を行こうと、要は本物のラッパーが出演して、街はオープンセットで架空の街並みを作ろうと思ったんだ。それが漫画という2次元を実写の映像にする鍵になる、と思ってね。

──清野さんはそんな映画版“TOKYO TRIBE”の世界を体験していかがでしたか?

清野:正直、最初は戸惑うことも多かったです。でも、だんだんと監督の作品への愛を感じるようになって、現場はとても楽しかったです。

パンチラも恥ずかしがらずにアクションできるところが清野はいい(監督)
清野菜名

──監督の作品への愛は、具体的にはどんなことに感じたんですか?

清野:監督もスタッフの方も出演者も、みんなで一から作品を作っていこうという空気を感じたんです。衣装にしても、監督やみんなと一緒に渋谷に買いに行ったりして。

監督:衣装を買いに行くのは、役作りにもなるし、一種の僕の儀式になってるんだよね。衣装スタッフが用意する衣装って、ギャルならギャルのまねごとではっきり言ってダサくて着させられない。ギャルのことは本物のギャルに聞けばいいし、現地に出演者も行って買った方が、役者もピピッて役に入れるんだよね。最近、演技指導を厳しく言わず、「オーガニック・スタイルになりました」とか言ってるんだけど、何をやってるかっていうと実際にはそういうことなんだ。

──清野さんはピピッときた衣装がありました?

清野:VISION(VISION STREET WEAR)のタンクトップですね。戦闘に行くシーンの衣装なんですけど、それを着たときはテンションがあがりました!

──清野さんは今回、アクションもさることながら、パンチラも脱ぎも挑戦してますね。

清野:「上半身脱げますか?」って聞かれたときに、最初は不安だったんですけど、今回は大きなチャンスをもらって、やると決めたからには全力でやろうと思っていたので。アクションのときのパンチラに関してはとくに気にしなかったというか、それよりも大きく蹴りを入れてやろう! みんな、このアクションを見てください!って気持ちでやりました。

監督:リアルなアクションを追求すると必然的にパンチラになるだけで、それを恥ずかしがらずになりふり構わずやれるところが清野はいい。それができる人は日本では希少な存在だから、これからもがんばってほしいよね。

清野菜名(左)と園子温監督(右)

──では、最後にこれから見る観客にメッセージをお願いします。

清野:全編ラップミュージカルなんて日本で初めてだと思うし、私も見ていて興奮しました! 音楽もかっこいいし、アクションはスカッとするし、いろんな楽しみ方ができると思います。見たままに感じてほしいです!

監督:ビールとポップコーン片手に楽しんでくれれば嬉しいね。

(text&photo 入江奈々)

園子温
園子温
その・しおん

1961年12月18日生まれ、愛知県出身。1987年、『男の花道』でぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(90年)がベルリン国際映画祭に正式招待されたほか、各国の国際的な映画祭で上映される。『自殺サークル』(02年)、『紀子の食卓』(06年)といった問題作を放ち、注目を集める。以降、『愛のむきだし』(08年)、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』(共に11年)、『ヒミズ』(12年)、『地獄でなぜ悪い』(13年)など、衝撃的な内容の作品を発表。今後、『ラブ&ピース』『新宿スワン』が2015年公開予定となっている。

清野菜名
清野菜名
せいの・なな

1994年10月14日生まれ、愛知県出身。2007年ファッション誌「ピチレモン」の専属モデルとしてデビュー。2014年の園子温監督による『TOKYO TRIBE』で、ヒロインに抜擢される。ほかに映画『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』、ドラマシリーズ『素敵な選TAXI』、2015年版『LOVE理論』などに出演。

清野菜名
TOKYO TRIBE
2014年8月30日より新宿バルト9ほかにて全国公開
[監督・脚本]園子温
[原作]井上三太
[出演]鈴木亮平、YOUNG DAIS、清野菜名、佐藤隆太、染谷将太、窪塚洋介、竹内力
[DATA]2014年/日本/日活

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