異次元の劣悪環境!セクハラ、パワハラ、長時間労働と問題山積みの映画業界で働くフリーランス女性の挑戦

#SAORI#swfi#日本映画界の問題点を探る#日本映画界の問題点を探る/映像業界で働く女性たちの挑戦

swfi

【日本映画界の問題点を探る/映像業界で働く女性たちの挑戦 1】映像業界といえば、かつては“華やかな世界”の代表格とされていたが、昨今ではセクハラやパワハラ、長時間労働など、さまざまな問題が取りざたされている。そして、それらが引き起こすのは、深刻な人手不足。新たに入ってくる人が少ないうえに、すぐに辞めてしまうパターンも多いというが、スキルを持った多くの女性たちが出産を機に離職を余儀なくされている現実もある。特に映像業界ではフリーランスで働いている女性が大半のため、何の補償制度もない状況で育児と並行して仕事を続けるのは厳しいという。

性暴力の噂を受け流した過去を反省「実際の被害者数は報道よりはるかに多い」

子どもを育てながら働ける業界にしたいと、声を上げることを決意

そんな現状に対して異議を唱えるべく設立されたのが、NPO法人「映画業界で働く女性を守る会(Support for Women in the Film Industry)」、通称「swfi(スウフィ)」だ。ここでは女性が抱える悩みや問題点を共有しながら労働環境の改善を目指し、女性だけに限らずあらゆる人が芸能・映像業界で安心して働けるようになることを目標にしている。

映画業界を「子どもを育てながら働ける業界にしたい」という思いからswfi を立ち上げたのは、代表を務めるSAORI。現役の小道具としてさまざまな映画やドラマを担当している彼女だが、自身も育児をしながら仕事を続けることの難しさを知り、声を上げる決意をすることに。しかし、若い頃は「子どもができたら仕事を辞めるのが当たり前」だと思っていたと話す。

 

「この業界はみんな忙しすぎることもあって、基本的には『去るもの追わず』。しかも、子どもができた人たちは幸せに辞めていると思っていました。でも、妊娠をきっかけに映画の仕事から離れ、その後一般企業で働いていた時期もあった元映画美術スタッフの女性としばらく経って交流が再開した際、『私だって辞めないで済むんだったら辞めたくなかったけど、辞める以外の選択肢がなかった』と言われたんです。彼女から辞めると聞いたとき、私は何の疑問もなく『子どもができたんだから続けるのは無理だよね』と当然のように受け入れていたので、驚きました。ちなみに、その女性というのがいまswfiの副代表をしてくれている畦原友里です」

日本のスタッフは深夜でも安くこき使える!と海外アピールする日本の映画機関「国が労働搾取を推奨するのは大きな間違い」

昔は、子どもができたら辞めればいいと思っていた

SAORI自身も、10年前に第一子の出産を経験。そのときに、同じような思いを抱いていたと明かす。

「私も昔は『ある程度やって、子どもができたら辞めればいいかな』と考えていたんですが、実際に産んでみたら辞めたくない気持ちが強くなりました。それまでは辞めるのが当たり前だと思っていたけれど、決して当たり前なことではないなと。『子どもができたから続けられない』という業界の風潮は、すごく雑なことだと感じるようになりました。しかも、実際に復帰をしようとしたら思うようにできないことが多く、何のために仕事しているんだろうと葛藤を抱き始めることに。そんなふうにいろいろと思っていたときに、(swfi 副代表の)畦原の気持ちも聞いたので、『これはちゃんと活動して何とかしなければいけない』と考えるようになりました」

子どもが保育園に通うようになり、さまざまな業界で働くママ友ができたことで、SAORI は“あること”に気が付く。次回は、映像業界が抱える問題について具体的に語ってもらう。(text:志村昌美)

【映像業界で働く女性たちの挑戦 2/ママ友たちとの交流で気づいた業界のおかしさ】に続く(2023年5月31日掲載予定)

[動画]ジュリア・ガーナー、憧れの映画業界の“闇”を知る『アシスタント』予告編

INTERVIEW