ろう者の妻が抱える孤独と、子育てで揺らぐ夫婦の心 『幸せの、忘れもの。』本編映像が胸を締めつける
言葉と世界の違いが生む静かな衝突に涙あふれる感動作
ベルリン国際映画祭2冠を始め世界の映画祭で称賛された感動の物語『幸せの、忘れもの。』より、障がいを抱える夫婦が衝突する本編映像と、総勢12名から届いたオピニオンコメントが公開された。
・愛しているのに、届かない──ろう者の母と家族が向き合う現実、不安と孤独の先にある希望
新進気鋭の監督による本作は、見る者の心を深く揺さぶり、静かな熱狂を巻き起こした。第75回ベルリン国際映画祭で観客賞とアート・シネマ賞を受賞し、第28回スペイン・マラガ映画祭では観客賞を含む3部門、第40回ゴヤ賞でも最優秀新人監督賞ほか3部門を獲得している。
聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトル。二人は手話というかけがえのない言葉で心を通わせる。アンヘラは陶芸工房で働き、土の匂いと仲間たちに見守られながら、静かで穏やかな日々を過ごしていた。
しかし、ある“幸せな出来事”をきっかけに、日常は少しずつ揺らぎ始める。やがて再び“疎外の世界”へと引き戻されていくアンヘラ。聴こえない世界とその外側で、時折見え隠れする“本当の幸せ”を、彼女はつかむことができるのだろうか…。
ろう者と聴者のあいだに生まれるわずかなすれ違い、それぞれが抱える異なる疎外感――これまでの映画にはなかった繊細で絶妙な演出が冴えわたる。ろう者と聴者という象徴的な主人公像を軸にしながらも、母として、子として、夫婦として、そして“生きる人”として誰もが感じるふとした切なさや小さな孤独、必死にもがいた先に見えるささやかな幸福を鮮やかに描き出す。
主演を務めるのは、ろう者の俳優であり、監督の実妹でもあるミリアム・ガルロ。監督が「きっと私たちは、一生をかけてこの映画を準備してきた」と語るように、本作には2人の長年の実体験が色濃く反映され、鋭くも確かなリアリティを生み出している。
監督を務めたのは、エバ・リベルタ。マドリード・コンプルテンセ大学で社会学の学位も取得しているスペインの映画監督だ。劇作家としても活動し、独立系の劇団や同大学、メキシコのケレタロ自治大学、同国の国立研究所や社会開発省などに向けて、性暴力、人身売買、移民の性の権利といったテーマに関連する舞台作品を執筆・演出してきた経歴を持つ。
今回解禁された本編映像では、ろう者の妻アンヘラと健聴者の夫エクトルが、子育てをきっかけに生じたすれ違いから激しく衝突する様子が描かれる。何事も先回りしてこなす夫に対し、「私を必要としていない」と不満を爆発させるアンヘラ。これにエクトルは「君は聞こえない夫と娘を望んでいる」と反論する。
将来、娘に自分が恥じられるのではと怯えるアンヘラに対し、エクトルは否定するが、「ろう者の気持ちを分かってない」と突き放され、「分かるはずがない。君が聞こえないのは僕のせいじゃない」と声を荒げてしまう。
さらに、映画監督の呉美保や、タレントの西村知美、俳優・手話パフォーマーの中嶋元美など総勢12名からオピニオンコメントが到着した。「本作は日常生活を丁寧に描写しながらその違いを可視化し、親になる夫婦の葛藤を自分事に変換して落としどころの模索を促す秀作」「ラストシーン、気づけばポロポロと涙がこぼれていた。この映画は、私たち人間にとって、確かな救いだ」「監督と主演女優、実の姉妹が作り出す厳しくも美しいドラマに胸打たれた。『稀有な人生は稀有な作品を作る』を体現した傑作」など絶賛の声が続く。
私たちが築いてきた“聴こえる社会”が、アンヘラのような人たちを何人も傷つけてきたのだろう。だからこそ、私たちにはきっと、できることがあるはずだ。
■五十嵐大(作家・「ぼくが生きてる、ふたつの世界」原作者)
これはろう者だけの物語/問題ではない。相手に気持ちが伝わらない時、それを諦めずに伝えようとする姿勢こそが「愛」だと教えてくれる。
■ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン、アーティスト)
ろう者と聴者は文化が違う。手話を学習し始めた頃にろうの先生から言われて膝を打ったことを思い出す。本作は日常生活を丁寧に描写しながらその違いを可視化し、親になる夫婦の葛藤を自分事に変換して落としどころの模索を促す秀作。
■奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
聴こえないことは見えない何かを世界から消し去ることでもあるのだ。容赦なくそう気づかせる映画はしかし聴こえない世界に生きるヒロインの内側に入ることをもしてみせる。映画だからできるやり方で共に在ることをする。そうやって差し出される残酷さの裡に息づくやさしさを抱きしめたい。
■川口敦子(映画評論家)
子どもを持つことは、夫婦に新たな段階をもたらす。
見えにくかった価値観の違いが鮮明に浮かび上がり、
あれほど愛し合っていたはずなのに、
少しずつ歯車が噛み合わなくなっていく。
それこそが、子育てなのだと思う。
ろう者と聴者という「ふたつの世界」のあいだで起こるそれは、
いっそうシビアで、胸が詰まるほど切実だ。
それでもこの映画の「ふたり」はけして諦めず、
互いと我が子を想い続ける。
ラストシーン、気づけばポロポロと涙がこぼれていた。
この映画は、私たち人間にとって、確かな救いだ。
■呉美保(映画監督『ぼくが生きてる、ふたつの世界』)
監督と主演女優、実の姉妹が作り出す厳しくも美しいドラマに胸打たれた。『稀有な人生は稀有な作品を作る』を体現した傑作。
■高橋慎一(映画監督『THE FOOLS 愚か者たちの歌』)
ちがいに傷つきながら、どうにか関係を続けようともがくふたり。ろう者というテーマにとどまらず「少数派が感じる痛み」が丁寧に描かれている。
■武田友紀(HSP専門カウンセラー『「繊細さん」の本』著者)
映画『幸せの、忘れもの。』は、自分の言葉で生きる大切さと、周りに流されず自分を見失わない強さを教えてくれた。ありのままの自分で人と向き合い、伝え合うことで生まれる温かさやつながりの大切さを、深く感じた作品だった。
■中嶋元美(俳優/手話パフォーマー)
ろう者と聴者の視点を通して“音のある世界/ない世界”を対比的に描き、日常に潜む心の葛藤やすれ違いを繊細に映し出す作品。愛するがゆえに生まれる「必要とされたい」という想いの揺らぎを、荒波や凪のある海のように表現されている。映画を見た後、多様性を隔てる“心の国境”に気づいたとき、「本当の幸せ」をそっと受け取ることになるでしょう。
■西村知美(タレント)
ろう者と聴者のカップルが直面する事態を見るに、愛という言葉はきれいごとなのかと自問し、しかし愛がなければ何もないのだと痛感する。聞こえる世界と聞こえない世界の分断を信じない二人の姿勢は、垣根だらけの現代社会に対する巨大な希望だ。絶望と根気と勇気と愛に満ちた傑作。
■矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
ろう者の方が抱える葛藤や、言葉にならないやるせなさが率直に真摯に描かれていて、気づけば心を鷲掴みにされていました。感情の揺れがじわじわと心の奥まで伝わり、何度も息を呑みました。さらに、あの実験的でありながらも革新的なラスト15分には、ただただ驚かされました。「これこそが映画の持つ力なのか」…見終わった後もずっと余韻が残り続ける、そんな特別な一本です。
■吉本浩二(漫画家「淋しいのはアンタだけじゃない」)
全編リアルで気付きがたくさん。“障害”なんてカテゴライズは、無数にある個性のほんのひとつに過ぎない。“健常”と思っている貴方、マジョリティとマイノリティは簡単に逆転します‼️ 結婚したことのあるヒトなら思うはず、これって自分の話⁉️ 最近“幸せ”を忘れたと感じたら、スクリーンに探しに来てください。
■ラジカル鈴木(イラストレーター)
『幸せの、忘れもの。』は2026年5月1日より全国公開。
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