ナルシストの老絵本作家と美しいウリセンボーイ、同性愛者たちの「家族」にまつわる葛藤の物語

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(C)2022 老ナルキソス製作委員会

国内外の映画祭で10冠を獲得した東海林毅監督の傑作短編を長編化

ゲイでナルシストの老絵本作家と美しいウリセンボーイの出会いと旅から浮かび上がる家族物語『老ナルキソス』より、東海林監督自らが編集した予告編を紹介する。

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世界で注目を浴びる『片袖の魚』(21年)の東海林監督初のオリジナル長編となる本作は、レインボー・リール東京グランプリをはじめ国内外の映画祭で10冠を獲得した自身の傑作短編『老ナルキソス』(17年)の長編化。監督はバイセクシュアル当事者でもあり、主に自主作品の中でLGBTQ+と社会との関わりを探ってきた。

「ゲイ」という呼び名もまだ一般的ではない時代から社会の方隅で生きてきたナルシストの老絵本作家。すでに性的マイノリティが可視化されたLGBT世代のウリセンボーイ。世代も考え方も違う2人の個人的な関係の中から立ち現れる、男性同性愛者たちの過去と未来の「家族」にまつわる葛藤の物語。パートナーシップ制度は「ある」が同性婚は「ない」という中で、「家族」のあり方を問いかける。

『老ナルキソス』

(C)2022 老ナルキソス製作委員会

東海林監督自らが編集した予告編は、主人公・山崎がマティーニからオリーブを取り出す映像から始まる。「(ギリシャ神話の)ナルキソスは、湖に映った自分の姿に見とれて溺れ死んでしまった。僕はもう溺れ死ぬことも出来ない」という台詞と共に、深く暗い水底に沈んでいく山崎の映像が重なっていく。

前半は山崎の心情とレオとの出会いを描き、後半は明るい音楽を背景に、青空に映える黄色のオープンカーHONDA s800に乗りこみ、山崎の失われた時を遡る旅に出る2人の様子を映し出す。満開の桜の下、山崎の歩く姿を追うシーンがラストカットに置かれ、その背に過去と未来を想像させるような美しい予告編となっている。

主演は、名優・田村泰二郎と、主演作が続き勢いにのる水石亜飛夢。年齢差47歳でのW主演となる。田村は長編初主演で、出演作にアレクサンドル・ソクーロフ監督『太陽』(05年)やマーティン・スコセッシ監督『沈黙 -サイレンス』(17年)がある。水石は、『国民の選択』(21年)『黄龍の村』(21年)の2作品で初主演を果たした。

ウリセンボーイ(水石)の実直なパートナー役は寺山武志、絵本作家(田村)の青年時代を田中理来が熱演し、日出郎、モロ師岡、津田寛治、千葉雅子といったベテランが脇を固める。また、絵本作家のかつての恋人役を村井國夫が存在感たっぷりに演じる。音楽は『舟を編む』(13年)で日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞の渡邊崇、撮影はこれまでも東海林監督と多くの作品でタッグを組んできた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の神田創。

『老ナルキソス』は5月20日より全国順次公開。

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