妊娠中の岡本多緒、シャネル姿で存在感 『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督最新作カンヌ会見レポート

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『急に具合が悪くなる』
(c)KazukoWAKAYAMA
『急に具合が悪くなる』
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ヴィルジニー・エフィラ、長塚京三、黒崎煌代らが会見に出席

濱口竜介監督が、国境や言葉を越えて巡り合う“人生で一度きりの魂の邂逅”を描く最新作『急に具合が悪くなる』。第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で公式上映された本作より、ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代、そして濱口監督が出席したフォトコールおよび記者会見のオフィシャルレポートが到着した。

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フォトコールでは、ヴィルジニー・エフィラがカンヌの青空に映えるサンローランのスーツにカルティエのイヤリングを合わせて登場。一方、第1子を妊娠中の岡本多緒は、シャネルのジャケットとプリーツスカートをまとい、存在感あふれる佇まいで会場を魅了した。フランスを代表する俳優と国際的トップモデル・俳優の登場に、現地カメラマンからも大きな歓声が上がった。

また、長塚京三はイタリアの高級ブランド・ゼニアのセットアップ、黒崎煌代はTOD’Sを着用。リゾート感あふれる爽やかな装いで、濱口竜介監督とともにリラックスした笑顔を見せた。

公式記者会見では、世界各国から集まったジャーナリスト陣から熱い質問が飛び交った。がんを患った哲学者と文化人類学者による往復書簡を原作とする本作について、濱口竜介監督は2020年末から企画を温めていたものの、「言葉の多いこの内容を、どう映画にすればいいか分からずにいた」と当時を回想。

『急に具合が悪くなる』

そんな中、フランスのプロデューサーから届いたオファーが大きな転機になったことを明かし、「大部分をフランスで撮るということであれば、この会話劇を受け入れてくれる土壌があるのではないかと思いました。目指したゴールはただ一つ、自分が原作を読んで得た、本当に体が震えるような思いをなんとか映画に移し替えることでした」と、作品への思いを語った。

フランス側プロデューサーのジャン=リュック・オルミエールも、「濱口監督はフランスに数ヵ月間滞在し、文化に完全に浸り、現地の俳優たちとワークショップを行って働き方を理解しようとしました。それは全く例外的で注目すべきことでした」と、監督の徹底したリサーチと情熱を絶賛した。

前作『ドライブ・マイ・カー』(21年)でも注目を集めた“多言語での会話”と、“濱口メソッド”とも呼ばれる「感情を排した本読み」について、濱口監督は「俳優が言葉の情報ではなく、体から溢れてくる感情の情報を使って演技ができるのではないか。俳優の集中力を非常に高めてくれるものだと期待して取り入れています」と、その意図を説明した。

そんな濱口監督の印象について聞かれた黒崎は、「経験が浅い中で、このような素晴らしい作品に参加させていただいて、ただただ無我夢中でした」と回想。「濱口スペシャルメソッドでトレーニングメニューを組んでくれて、私は乗っかれば自然とたどり着いている、魔法のような演出をうけたという印象でした」と感想を語った。

また、81歳で50年にわたるキャリアを持つ長塚は、「大変勉強になりました」とコメント。「フランス語のテキストを書き写しまして、書斎に貼ってその前を通るごとに黙々と読むということを日課にしました。そうやってセリフを覚え、一言一句間違えずに、そのまま、ただ声にするという。今回の現場で、私は『ああ、演技というのはまだこんなにも奥深く、新しい発見があるものなんだな』と謙虚に振り返った」と語った。

『急に具合が悪くなる』

日本語での演技に挑んだフランスのトップ俳優ヴィルジニー・エフィラは、「私はまず『ひらがな』を読むことから習得するように言われました(笑)。子どものように読みながら、本当に早口でテキストを繰り返しました。大変な作業でしたが、それができて本当に幸せでした。これは単なる撮影ではなく、別の世界へ連れて行かれるような、人間としての深い経験でした」と振り返った。

一方、フランス語での演技に挑んだ岡本多緒も、「短い役者人生の中で、これほど豊かな時間をいただけたことはなかった」とコメント。「毎日、次の日のテキストを何回も何回も読む作業を繰り返すことで、母語ではない言語が体に染み付き、恐怖なく現場に行ける段階まで持っていっていただけました。言語の壁を越えて、身体的・エネルギー的に『本当に通じ合えている』と感じられる瞬間が多々ありました」と、撮影を通じて得た手応えを明かした。

会見では、前作『悪は存在しない』(23年)と本作との繋がりについても質問が飛んだ。同時期に企画が進行していたという2作品について、濱口監督は「根本的には自分が『何かすごく疲れたな』という気持ちだったと思います。なんでこんなに疲れているんだろうと考えた時、自分たちがいる社会というものが何かしら作用しているんじゃないかという気持ちが、両作品に反映しているのではないでしょうか」と真摯に語った。

『急に具合が悪くなる』

また、本作の大きなテーマである“ケア”について問われると、濱口監督は「他者に対する関心」というキーワードを提示。「自分たちの生活の中で、人に関心を向けることがすごく難しくなっていると感じています。ケアのプロフェッショナルの仕事でさえ、その根本にある関心が奪われ、行為が形骸化してしまう状況がある。自分が今回拾い上げたいと思ったのは、その『ケアの根本にある、自分たちの関心を奪ってしまう何か』について考えたいということでした」と語った。

濱口監督による社会への“疲れ”に対するひとつのアンサーに、会場は温かな空気に包まれた。

『急に具合が悪くなる』は2026年6月19日より全国公開。