ベルリン映画祭金熊賞は離婚や格差社会を描いたイラン映画

第61回ベルリン国際映画祭コンペティション部門授賞式が2月19日に行われ、コンペティション部門でイランのアスガー・ファルハディ監督の『Nader and Simin: A Separation(原題)』が最高賞の金熊賞に輝いた。

ベルリン映画祭で日本映画『ヘヴンズ ストーリー』が2冠

イラン映画の金熊賞受賞はこれが初めて。日本からはフォーラム部門に出品された瀬々敬久監督の『ヘブンズ ストーリー』が国際批評家連盟賞とNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)をW受賞。また、英国在住の三宅響子監督が、短編ドキュメンタリー『Hackeney Lullabies(原題)』でベルリン・トゥデイ・アワードを受賞した。

『Nader and Simin: A Separation』は、夫と娘とイラン出国を考える女性と、老父のためにイランに残る決意を固めた夫が離婚の際に直面する事態を描くドラマ。格差社会や宗教の影響力などから現代イランのリアルな姿を伝える同作は銀熊賞最優秀男優賞、女優賞も受賞。

今年の映画祭で審査員に任命されたイランのジャファル・パナヒ監督は、反政府運動に関わったとして6年間の禁固刑判決を受け、映画祭に参加できなかったが、開会の記者会見場にはパナヒ監督の席が用意された。金熊賞受賞後にパナヒ監督と話したと明かしたファルハディ監督は記者たちからイランの現状について聞かれると、「みなさんが聞きたいことを話せば、私もトラブルに巻き込まれて映画が作れなくなります。話せる範囲で済ませれば、映画は作り続けられる。私はそちらを選びます。私はヒーローではなく、映画作家ですから」と語った。パナヒ監督は今後20年間の映画製作と海外渡航禁止を言い渡されている。

銀熊賞審査員賞はハンガリーの鬼才、タル・ベーラ監督の『The Turin Horse』。銀熊賞最優秀監督賞は『Sleeping Sickness(英題)』ウルリッヒ・コーラー監督、銀熊賞最優秀脚本賞は『The Forgiveness of Blood(原題)』のジョシュア・マートン 、アンダミアン・ムラタジが受賞した。

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