感染防止策徹底し開催、第77回ヴェネチア国際映画祭が開幕

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ベネチア国際映画祭

9月2日(現地時間)、第77回ヴェネチア国際映画祭が開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大により、今年3月以降はエンターテインメントの大規模イベントは軒並みヴァーチャル開催になっているが、映画祭は感染防止対策を徹底して例年通り、ヴェネチアのリド島での開催に踏み切った。

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前日までに現地入りを果たした、本年度コンペティション部門の審査員長を務めるケイト・ブランシェットも生涯功労金獅子賞を受賞するティルダ・スウィントンも、大ぶりのサングラスにマスク姿。現在も各国で渡航制限があるため、出品作は国際的なラインナップながら、実際に映画祭に参加できる映画人は限られている。

参加者全員に上映会場敷地内でのマスク着用が義務づけられ、入場前の検温、座席は1席ずつ空けること、ヨーロッパのシェンゲ圏26ヵ国外からの参加者は出国前とヴェネチア到着後にCOVID-19検査を受けなければならない。

一般に非公開となったレッドカーペットのフォトコールでは、審査員たちもそれぞれ距離を取り、マスク着用で撮影に応じた。

オープニング・セレモニーは7月に亡くなった映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの追悼から始まり、ヴェネチアの他、カンヌやベルリンなどヨーロッパの8映画祭のディレクターが集結し、メッセージを発信した。

ブランシェットがスウィントンに生涯功労金獅子賞を手渡し、スピーチでスウィントンはヴェネチア国際映画祭について「地球上で最も由緒あるマジェスティックな映画祭」と表現し、コロナ禍での開催を「なくなりはしないものがあることを思い出させてくれました」と讃えた。「私たちは、偉大で弾力的で、幅広く、ワイルドで跳ねっ返りで、境界なく永遠に包括的な映画を信頼し続けることができます」「必要なものはすべて揃っています。魔法の絨毯はまだ舞っているし、これからもずっとそうです。魂を守るため、パーソナルな最高の防具です。ヴェネチア、万歳! シネマ、シネマ、シネマ! ワカンダ・フォーエヴァー! 愛こそすべて!」と、映画と先日43歳の若さで亡くなった俳優チャドウィック・ボーズマンを賛美して締めくくった。

生涯功労金獅子賞には、香港のアン・ホイ監督(『客途秋恨』『桃さんのしあわせ』)にも贈られる。女性監督として初の受賞となる。

事前に行われた記者会見でケイト・ブランシェットは映画祭開催について「奇跡のようです。映画祭の主催者の工夫と回復力、協力体制に拍手をお送ります。私たちは安全に、暫定的に再開していかねばなりません。私は、非常に困難を極める状況の中で映画を完成にこぎつけねばならなかった映画作家たちをサポートし、連帯するためにここにいます」と語った。

さらに、「挑戦は私たちのDNAの中にあります。より回復力と創造性に富む産業が出現するとすれば、それはクリエイティブな芸術と映画産業になるでしょう」と続けた。

また、来年2月開催のベルリン国際映画祭が俳優部門のジェンダーを撤廃したことについて、「政治的な発言ではありませんが、私は自分のことを常に俳優と呼んできました」と言い、「私の世代では女優という言葉は常に蔑称的な意味で使われていました。良いパーフォーマンスは良いパフォーマンスであり、それを作るパフォーマーの性的指向は関係ありません。最も難しいのは他人の仕事を評価することです」と語った。

コンペティション部門には日本から黒沢清監督の『スパイの妻』がエントリーし、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作『The Eternals(原題)』に抜擢された、中国出身の女性監督クロエ・ジャオがフランシス・マクドーマンド(『スリー・ビルボード』)を主演に迎えた『Nomadland(原題)』など18作で最高賞の金獅子賞を競う。

映画祭は12日(現地時間)に閉幕し、金獅子賞など授賞式が行われる予定だ。

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