パワハラや性的虐待を許容してきた“システム”への痛烈な告発『アシスタント』

#MeToo運動#アシスタント#キティ・グリーン#ジュリア・ガーナー#映画

『アシスタント』
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さまざまな職場が抱える問題とヒエラルキー最下層の人々に共通する経験を浮き彫りに

『ジョンベネ殺害事件の謎』(17年)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンが、2017年にハリウッドを発端に巻き起こった「#MeToo運動」を題材に、今日の職場における大きな問題を掘り下げた映画『アシスタント』。本作より、お疲れ気味の新社会人も共感必至?なアシスタントのリアルな1日を切り取った場面写真を紹介する。

・5年前、世界を震撼させた衝撃のスクープ! #MeToo運動の起爆剤となった実話を映画化

名門大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会⻑のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィスだった。

早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日、常態化しているハラスメントの積み重ね…。しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある日、会⻑の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意するが――。

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『アシスタント』

場面写真は9点。映画プロデューサーになりたくて働き始めたのに、任せられるのはオフィスの掃除や雑用ばかり。しかも、過酷な⻑時間労働で、新人アシスタントのジェーンは疲労のピーク。打ち合わせのたびに部屋を汚されては片付け、見知らぬ来客からは当然のように荷物を押し付けられ、次々とかかってくる電話では謂れのない罵倒を受けてうんざり。

まともな食事をとる時間もなく来客の残したドーナツを思わずつまみ食い、大量のコピーをとりながら放心、1人だけ帰れずに深夜残業──。オフィスで働く人ならば身に覚えがあるような、リアルなアシスタントの1日を切り取った写真となっている。

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『アシスタント』

ニューヨーク・タイムズスクエアの裏手にある薄汚れたオフィスで、18日間という短期間で撮影された本作。映画プロデューサーを目指して大手エンターテイメント会社で働き始めた、若く野心ある新人アシスタントの一日の物語を通して、映画業界を舞台にしながら、さまざまな職場が抱える問題とヒエラルキー最下層の人々に共通する経験を浮き彫りにし、サンダンス・ベルリンを始めとした世界中の映画祭や各メディアによって高く評価された。

主人公ジェーンは、24時間のあいだ、まるで透明な存在のようにさまざまな暴力の矛先になる。自分の意見はほとんど述べず、寡黙に状況を見つめる彼女の目を通じて、観客は自分が同じ立場ならどうするか考えさせられる。同時に本作は『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(22年)にも連なる、職場のパワハラや性的虐待を許容し蔓延させているシステムへの痛烈な告発とも言える。

ヒエラルキーの末端で働く人々の代弁者でもあり、現代のジャンヌ・ディエルマンとも言えるジェーンを全身全霊で演じたのは、Netflixオリジナル『オザークへようこそ』(17年)で3度にわたるエミー賞助演女優賞に輝いたジュリア・ガーナー。近年ではNetflixオリジナル『令嬢アンナの真実』(22年)で主演に抜擢、2023年3月にはGUCCIのフレグランスコレクション「GUCCI GUILTY」のニューフェイスとなるなど、いま最もエキサイティングな若手俳優として急速に地位を確立している。

『アシスタント』は6月16日より全国順次公開。

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