男子新体操の躍動感に目が釘付け！青春アニメの魅力が詰まった『映画バクテン!!』

#アニメ #コラム #バクテン!!#レビュー #下野紘 #土屋神葉 #小野大輔 #映画バクテン!!#男子新体操 #石川界人 #神谷浩史 #近藤隆 2022.07.01

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しなやかな動き、迫力！競技シーンが美しい！

競技人口の多くないジャンルにスポットを当てるのはアニメとしてよくあるが、昨今、男子新体操はそんななかでも注目度が上がってきているスポーツ。TVアニメ版では監修を名門の青森山田高校男子新体操部が手掛けている。競技シーンは圧倒的に美しく、第1話から翔太郎とともに目が釘付けになって惹き込まれてしまう。ひとりひとりのしなやかな動きと団体競技としての迫力が緩急あって良い。全体的に作画からしてキレイなのだが、筋肉の動きも見て取れるほどこまやか。

さらにカメラワークが躍動感たっぷりでダイナミック！外からはもちろん選手たちのなかを縦横無尽に駆け巡り、選手の一人称目線で天と地がひっくり返ってグルグルと回ったりするなど、さまざまな角度から競技を見せてくれるのだ。華麗でクールな競技とは裏腹な選手たちの汗と熱気、踏み切りの重々しい音が表現されているところもリアルな臨場感がある。見たことが無い方はTVアニメ版の第1話だけでもまず見て欲しい。百聞は一見にしかずで、「これか！」とわかってもらえるだろう。

選手たちの個性や成長も描かれていて見ごたえあり

そして、競技面だけでなく、選手たちそれぞれキャラクターが立っていて、チームとして支え合いながら、ひとりひとりの成長も描かれている。TVアニメ版で描かれた、翔太郎が初心者ながら素質を開花させ、弱小チームであったアオ高が躍進していくさまはスポ根ものとして見ごたえがあった。どこか壁を感じる1年生部員の美里が心を開いていったり、お調子者の3年生部員・女川が人知れず悩んだりと、ドラマ展開もしかり。

今回の映画版でとくにスポットが当たるのは2年生部員の亘理だ。任侠映画が大好きで目つきは鋭くて一見ヤンキー風だが、実は気の良い性格で人情味あふれる男の子。唯一の2年生であるわけだから、3年生部員が卒業したら彼が部の中心になることとなる。

あぁ、この世代交代!! 部活ものでは切なくも感動的な鉄板のイベント。「スラムダンク」など1年や数ヵ月をクローズアップして描く方式もあるが、「弱虫ペダル」など数年に渡って後輩が先輩の立場になり世代交代していくパターンもある。『映画バクテン!!』は後者で、刹那的なのもそれはそれでいいが、時の流れを描くのもしみじみと感慨深いものがある。これもまた青春アニメの醍醐味だ。

エンドロールもお見逃しなく！

ジーンと胸を熱くしたあとのクライマックスはやはりこれがなくちゃ！と嬉しくなる男子新体操シーン。あっと驚く展開も見せてくれてさらに嬉しさ倍増になるはずだ。TVアニメではなかった演出もあるから期待して見てほしい。エンドロールではオフショットのようなシーンも見られてかわいいからぜひチェックを。

映画版だけでも楽しめると思うが、TVアニメ版から見たほうがキャラクターや物語の流れがつかめるから履修してから見るのがオススメ。筆者は毎週待ちわびて見たほどだから、きっとすぐに見終わってしまうんじゃないだろうか。そして、映画版を見たらその先も見たくなってしまうことだろう。彼らの青春をもっともっと見せて欲しいと思わせてくれる魅力がある作品だ。（文：入江奈々／映画ライター）

『映画バクテン!!』は、2022年7月2日より公開。