後編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!

#映画作りの舞台裏

まさに名台詞を叫んだ直後の場内。最前列のポスター右横が岩田光央氏(金田役)
まさに名台詞を叫んだ直後の場内。最前列のポスター右横が岩田光央氏(金田役)

主人公・金田役の
岩田光央トークショーも大盛り上がり!

(…中編より続く)いまなお根強い人気を博す、日本が世界に誇る大傑作『AKIRA』。その上映会が開催された。11月21日にテアトル新宿にて2回、12月5日に川口スキップシティにて全3回行われ、チケットはソールドアウトとなり立ち見席も完売するほど期待以上の大盛況ぶり。12月5日には主人公・金田役の声を務めた岩田光央氏を中心としたトークショーも行われた。

【映画作りの舞台裏】前編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!
【映画作りの舞台裏】中編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!

当時、『AKIRA』の主演に大抜擢された岩田氏は「僕の人生は『AKIRA』前と『AKIRA』後に分かれます、僕の人生を変えた作品ということは確実に言えます。声優をやらせてもらってるなかで、名刺代わりになる作品を持ってる声優って意外といないものなんです。でも、僕の場合『AKIRA』の金田だと言うとわかってもらえる。それを使用できる有効期限がどれだけ長いんだってことにも驚かされます」と、声優として携わった喜びを改めて語った。

また、岩田氏はプライベートでオーストラリアに旅行に行ったときに、ダイビングのインストラクターの方が「君は日本人なの? じゃ、『AKIRA』は知ってるか? すごい作品だ!!」と『AKIRA』のすごさをとうとうとまくし立てたという裏話も披露。海外でも日本の傑作として認知されているということを実感したのだとか。

岩田氏は制作当時を振り返って「制作会社の垣根を越えて全国のアニメ関係者がみんながみんな、“大友克洋が『AKIRA』を映画化するらしい”っていう話が出ただけでわき上がった。アニメ業界が1つの作品にあんなに集中して、ちょっとしたことにも盛り上がったのは後にも先にもないと思う」と、作品が制作されること自体が映画史に名を残す出来ごとであったことを述べた。

その後、会場の観客から質問を募るコーナーでは、金田の名台詞をお願いしたいというファンならではのリクエストが。たびたび名台詞のリクエストを受けてきたという岩田氏によると、「さんをつけろよ、デコ助野郎!」と「やっとモーターのコイルがあったまってきたところだぜ!」、「葬式帰りか?」がベスト3で、なかでも「さんをつけろよ、デコ助野郎!」が1番リクエストが多いのだそうだ。今回はファンのなかでもツウ好みな「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だ」をリクエストされて、岩田氏はクールに決めてくれた。

最後には前述の1番人気の名ゼリフ、「さんをつけろよ、デコ助野郎!」を岩田氏と観客で掛け合いで叫びつつ、記念写真を撮影。まさしく『AKIRA』ファンが一体となった瞬間で、この傑作を皆で共有した熱い感動を胸に抱きながら、上映会は幕を閉じたのだった。(文:入江奈々/ライター)

入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。

※岩田氏を囲む名台詞集合写真を販売中。詳しくはあにこれβ公式サイト(www.anikore.jp)にて。

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