海外で稼ぐ『ミッション・インポッシブル』。特に日本で根強い人気

#興行トレンド

日本で根強い人気を保つトム・クルーズ
日本で根強い人気を保つトム・クルーズ
日本で根強い人気を保つトム・クルーズ
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

シリーズ6作目『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』がアメリカで7月27日、日本で8月3日から公開されるが、『ミッション』シリーズのアメリカでの興収は伸び悩んでいる。

洋画人気が完全復活! 支えるのは人気シリーズとスターパワー

1作目(96年)が年間興収3位、2作目(00年)が年間3位と好調だったものの、3作目(06年)年間14位、4作目『ゴースト・プロトコル』(11年)年間7位、5作目『ローグ・ネイション』(15年)年間11位。アメリカの興行成績を見る限りでは、シリーズがいつ打ち切りになっても不思議ではない。だが、シリーズが続く要因が大きく2つある。

1つは海外での興行成績。シリーズの興収はアメリカ国内よりアメリカ以外の海外のほうが稼いでおり、4作目、5作目では海外がアメリカ国内の2倍以上を稼いでいる。海外の国別のトップ3を見ると、5作全てで日本がトップ3に入り、根強い人気を維持している。また、1〜2作目ではイギリス、フランス、ドイツがトップ3に入りヨーロッパで人気を見せる一方、3作目では韓国とイギリス、4〜5作目では韓国と中国がトップ3に入った。3作目を境に、4作目以降ではアジアに人気がシフトしている。海外での興収を見込んでシリーズが続いているようだ。(興行収入はBoxofficemojo.com調べ)

1作目(96年)
アメリカの興収+海外の興収=総興収
1億8100万ドル+2億7700万ドル=4億5800万ドル
(海外トップ3が日本5400万ドル、イギリス2930万ドル、フランス2910万ドル)

2作目(00年)
2億1500万ドル+3億3100万ドル=5億4600万ドル
(トップ3が日本9400万ドル、イギリス2600万ドル、ドイツ2500万ドル)

3作目(06年)
1億3400万ドル+2億6400万ドル=3億9800万ドル
(トップ3が日本4400万ドル、韓国3800万ドル、イギリス2900万ドル)

『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11年)
2億900万ドル+4億85008万ドル=6億9400万ドル
(トップ3が中国1億100万ドル、日本6700万ドル、韓国5100万ドル)

『ローグ・ネイション』(15年)
1億9500万ドル+4億8800万ドル=6億8300万ドル
(トップ3が中国1億3600万ドル、日本4210万ドル、韓国4160万ドル)

もう1つは、製作・配給に当たる映画会社パラマウントが置かれた状況だ。パラマウントで今も続く人気シリーズといえば『ミッション』『トランスフォーマー』『スタートレック』。『ミッション』はパラマウントにとって貴重なシリーズで、興行成績が多少不振になっても続ける意欲が旺盛だ。さらにトム・クルーズとパラマウントの蜜月関係があり、『ミッション』以外でトムが続編に出たのは『ジャック・リーチャー』のみで、これもパラマウント。また来年には『トップガン』の続編もある。『フォールアウト』の興行成績次第だが、シリーズが今後も続く可能性は高い。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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