先週末から始まった第32回ぴあフィルムフェスティバルで『ヘヴンズ ストーリー』が上映され、キャスト・スタッフが舞台挨拶を行った。
映画は、いくつかの事件をモチーフに被害者と加害者の姿を見つめた人間ドラマで、4時間38分という長尺も話題のひとつ。瀬々敬久監督は挨拶でまず、「こんな長い映画をわざわざ見に来てくれてありがとうございます」と感謝を述べ、当初の脚本は3時間程度の分量だったが、撮影しつつふくらませていったと明かした。
ミュージシャンとして活躍してきた山崎ハコが本作でスクリーンデビューしているが、登壇した山崎は、緊張のためか消え入りそうな小さな声で「映画は初めてなので、何をどうしゃべればいいのか分かりません」と挨拶し、「決心して出て良かったと、本当に思っています」とホッとした表情。
また、未成年の頃に殺人を犯してしまった青年を演じた忍成修吾は、「最初は、台本がちんぷんかんぷんでした。読解力が足りなかったみたいで……」と苦笑い。一方、殺人事件の被害者と結婚することになる片耳が聞こえないギタリストを演じた菜葉菜は、「監督から私に対しての人間否定から始まり、現場では本当に苦しくて」と恨み節全開! 撮影中は監督を殴りつけないよう自分を抑えるのに必死だったそうで、「瀬々さんが大嫌いになった現場でした」と告白。だが、途中から心境が変化したと明かし、「(完成作を見たときに)あぁ、これは瀬々さんの調教だったんだな、と。Mの私にとっては最高の調教をしていただいたと感謝しています」と笑顔を浮かべた。
本作では実際の事件をモチーフにしているが、両親と姉を殺された少女を演じた隺岡萌希(つるおか・もえき)は、「(描かれた事件が)いつ誰に起こってもおかしくないことだと感じ、身近に考えるようになった」とコメント。だが、警官に正当防衛で家族を殺された女性を演じた江口のりこは「実際の事件がモチーフというのは、今、初めて知ったんですけど……」と驚いた様子でつぶやいていた。
『ヘヴンズ ストーリー』は、10月より渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開される。
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