13歳でのヌード撮影巡り激震 ヴェンダース監督、『まわり道』公開停止と異例の謝罪

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ヴィム・ヴェンダース財団のInstagramより(@wimwendersfoundation)
ヴィム・ヴェンダース財団のInstagramより(@wimwendersfoundation)

「彼は私を守ってくれなかった」告発を受け、監督が公開停止を決断

ドイツを代表する映画監督ヴィム・ヴェンダースが3日(現地時間)、1975年の作品『まわり道』をすべての一般公開プラットフォームから取り下げると発表した。撮影当時13歳だったナスターシャ・キンスキーが上半身裸で映るシーンをめぐり、公に謝罪した。キンスキーが削除を求めてから10年以上が経過しての対応となった。

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ヴェンダース監督は声明を発表し、「ナスターシャ・キンスキーをもっと守るべきだったと今になって気づいた」と述べ、キンスキーに「謝罪」の意を表した。

5月末、キンスキーはドイツの有力紙「南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)」のインタビューで、ヴェンダースにシーンのカットをするよう長年働きたかけながらも実現しなかったと明かし、「あれが私の最初の映画で、彼が私の最初の監督だった。そして彼は私を守ってくれなかったのです」と語った。

『まわり道』はキンスキーにとって映画デビュー作で、セリフのない少女を演じている。問題のシーンでは、上半身裸のキンスキーが横たわるベッドに、主人公の成人男性が下着姿で入ってきて2人が抱き合う。キンスキーは、服を脱ぐことを事前に知らされておらず、母親もこのシーンへの同意を与えていなかったと主張している。「13歳の頃で、まだ多くのことを理解していませんでしたが、これは正しくないと既に気づいていました」と、現在65歳の彼女は振り返っている。未成年の時に過度に性的な役を演じさせられた経験が多かったことについて、「もし私を守ってくれる人がいたら、あるいはもっと自分に自信があったら受け入れなかったでしょう。ヌードに関することを」と語っている。

キンスキーはその後も、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『パリ、テキサス』(1984年)、『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(1993年)とヴェンダース監督作2本に出演しているが、問題のシーンをめぐるわだかまりは消えることなく、10年以上前から削除を求め続けてきた。

まず監督と直接交渉し、その後弁護士を立てて法的解決も模索したが、ヴェンダース側は「シーンの削除や映画の改変を求める法的権利は存在しない」と主張。キンスキーの弁護士はヴェンダースについて「ドイツではアンタッチャブル」な存在であるとしている。

これを受けてヴェンダースは529日、ベルリンで開催されたドイツ映画賞の名誉生涯功労賞の受賞スピーチで初めて公の場でこの問題に言及した。現代では同じシーンを撮ることはないと認めつつ、「50年前の29歳の若者だった自分を責めることはできない。時代の映画を作り、ある意味でその時代の精神を捉えようとしていたのだから」と述べ、「深く尊敬し、今もそう思い続けている女優にとって、そのシーンが苦痛をもたらしている」ことを認識しているとしながらも、当該シーンをカットすることや編集することに消極的な姿勢を表明。そのうえで、自分一人で答えを出したくないとして、ドイツ映画アカデミーに議論の場を設けるよう求めた。

だが、メディアや映画関係者を含めた世間の反応を知ったヴェンダースは立場を転換。ヴィム・ヴェンダース財団の公式サイトを通じて「ここ数日の数々の反応、発言、議論は、当時の出来事に対する私の理解を深める上で大いに役立ちました」と声明を発表し、『まわり道』の一時的な公開停止とキンスキーへの公式謝罪を表明した。

「財団が権利を保有する本作を、現在流通・上映されているすべての形態から取り下げます。配信サービス、テレビ放送局、配給パートナーに対し、一般公開を停止するよう指示します」。

「『まわり道』において当時責任ある立場にあった人物として今も存命している唯一の者として、私はナスターシャ・キンスキーが当時もっと保護されるべきだったと認識しています。そのことについて、ナスターシャ、あなたに無条件に、いかなる但し書きもなく謝罪します」。

この声明を掲載した財団のInstagramに対し、キンスキーのアカウントからドイツ語でコメントが寄せられた。

「ヴィム、これまでのこと、これだけの年月を経て、ようやく今になって多くの新聞や同業者たちが声を上げてくれて、何千人もの人々がそうしてくれたおかげで、私があれだけ長い間求めて続けていたにも関わらず、世間の目が集まって初めて、あなた、W・ヴェンダースからこの言葉を受け取ることになるなんて。あの時13歳で最初の映画『まわり道』に出演したナスターシャより」。