妻夫木聡、2000人のエキストラを動員した「コザ暴動」撮影裏を語る「色んな感情が入り混じった混沌」
#大友啓史#妻夫木聡#宝島#広瀬すず#映画#永山瑛太#真藤順丈#窪田正孝
物語のカギを握る英雄オンを演じた永山瑛太よりビデオメッセージも到着
『宝島』完成報告会見が開催され、姿を消した英雄オンの親友で、彼の行方を追うために刑事となった主人公・グスクを演じる妻夫木聡を始め、オンの恋人であり、教師になって彼の帰りを待つ幼馴染のヤマコ役の広瀬すず、オンの弟でありヤクザになって兄の背中を追うレイ役の窪田正孝、そして本作のメガホンを取った大友啓史監督が登壇した。
・妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太のまなざしが交差する…“沖縄がアメリカだった時代”描く『宝島』特報が公開
戦後から本土返還の1972年まで、アメリカ統治下に置かれた沖縄を舞台に混沌とした時代を懸命に生き抜く若者たちの20年の物語を描いた本作だが、本会見の会場となった丸の内TOEIは1960年に開業し、同じ時代を見守り続けた歴史ある映画館。そんな共通点をもつ場所で、本作初となるイベントがスタートした。
完成した映画を見て妻夫木は、「作品が持つ圧倒的な生命力を感じた」ことを明かし、「生きていかなければならないと心の底から思いました。死というものは終わりを意味すると思っていたけれど、実は死があるからこそ生があり、死が生きる糧になる。そして受け継がれるものが僕らにあって、そういう想いに支えられて生きている。だからこそ僕たちは精一杯生きていかねばならない」と作品から受け取った思いを噛みしめながら述べた。
広瀬は「良い意味ですごく疲れました。監督には伝えてしまいましたが血が騒ぐようなシーンがとても多くて。撮影をした日々も濃厚だったなと思い返す瞬間もいっぱいありました。良い疲れがあります(笑)」と笑顔に。
窪田は妻夫木の感想を受けて「みんな全力で生きていて。彼らの死という概念が、今の僕らとは違う感覚なのかなと思っていて。次の瞬間に命を奪われるかもしれなかったり、全力で今を生きている若き沖縄のうちなんちゅのみんなの、生きている魂を感じたのが大きかったですね」と感慨深げにコメント。
また、映画化するにあたって監督は「原作を読んだときから生きるエネルギーを痛切に感じていた」と言い、「沖縄に宿る魂が直接、時空を超えて語りかけてくるような、原作から感じたパワーをどうやって映像に活かしていくか。色んなことがあるなかでも日々生きていくんだという決意を自覚し、その決意を誰かと連帯し、また大きなパワーになり、一つの歴史となり、今の我々とも繋がっているということ。それを映画というメディアが相応しいか分からないけれど、映画を通して彼らの人生を追体験してもらいたい。役者たちがそれを感じて演じてくれたんだなと、改めて思いました」と俳優陣の熱演へ感謝を述べた。
また、妻夫木はオファーをもらった時の心境として「舞台となったコザが以前出演した『涙そうそう』(06年)から続くことで、縁があるなと感じていました。なので、自分はどこかでコザに導かれたのかもしれないと思いました。沖縄には今なお続く問題もあって、現地の方の声にならない言葉を表現する使命感があった」と運命めいた巡り合わせに触れた。
広瀬は「沖縄にある問題を体現、表現することは覚悟のいることで難しいこと。原作では、登場人物は男性が多いなかで太陽のような存在のヤマコという存在が眩しくて。彼女の持っている覚悟を自分ができれば良いなと思った」と胸の内を明かした。
窪田は「戦争や当時のものを舞台にした作品を演じる役者にとって、死の価値観の違いを認識しなければいけない。暴力という選択肢しかない時代と、役者という仕事を通して、大友監督の元で『宝島』に出演することで改めて原点、人間の生き様を荒々しく表現できることが画面から出ているのかなと思いました」と思いの丈を述べた。
大友監督は撮影の準備のうえで、「アメリカ統治下の沖縄をどう表現するのか。とくに美術、米軍基地という存在」が、実際の沖縄の歴史的な背景がある中で映画を作り上げるためには難しいポイントに挙がることを明かした。「ローカルな琉球文化と、それに対峙するアメリカ文化もしっかり描くこと。例えば、車や音楽。ビンテージカーがなくてね! でも、この時代の歴史群像を描くのだから嘘をつけないし、覚悟がないとできない。調べるのは簡単だけど実現するのは一番難しい時代」といままでなかなか映画化されなかった原因に言及した。
さらに、本作のクライマックスに控えているコザ暴動シーンでは、延べ2000人を超えるエキストラを投入して撮影されたことを明かされ、妻夫木は「2000人もいたんですか!?」と驚きの表情。「このシーンはどう撮影するのかはみんな悩んでて。結果、大きいスタジオで撮影しました。初日に撮影を見学したときに、ロケセットではなくスタジオ撮影になったからこそ、好きなことやるぜ!という監督の発想の転換が見えて!」と監督の止まらない勢いが印象的だったことを明かした。
また、「沖縄に役作りに行ったときに、コザ暴動は暴動だと捉えていない方も多いことを知って。実際に経験された方の中には、ただの憎しみや怒りだけで起こったことじゃないとおっしゃる方も多くいました」と現実に起きた複雑な感情を受け、妻夫木自身が整理しきれない思いを抱えていたという。
しかし、大友監督が演出するゴザ暴動のシーンを見て、「色んな感情が入り混じって出来た混沌とした感情が一つの塊となって流れていくような様を目の当たりにして、しびれましたね! これを大友監督がやりたかったんだ」と監督の手腕を大絶賛した。
それを受けて大友監督は「コザ暴動はコザ騒動ともいわれていて、沖縄の穏やかな方が騒動を起こしたのは1回だけ。あの一晩にみなさんが色んな感情をぶつけている。これは沖縄という舞台じゃなくても、あの時代だったらああいうカオスな状態になったと思う。色んな感情のごった煮であり、感情のうねりがどこに向かうのかという『どう現場を混乱させるか』が僕の演出のテーマだった」と明かした。
そして、なんと物語のカギを握る英雄オンを演じた永山瑛太よりビデオメッセージが到着。「この役を演じるということの重圧にどう向き合えばいいかという葛藤はあったけど、大友監督や共演者の妻夫木くん、窪田くん、すずちゃんに全部委ねてもいいかなというつもりで、身を投げるような気持ちで今回は役に挑みました」。
そして、「完成した作品を拝見した時に、何度も涙腺の弱い私はボロボロに。試写場で周りの方々にバレないように、涙を拭きながら見ました。本当にたくさんの方に見ていただきたいな、という作品に仕上がっていました」と熱いメッセージが会場の4人に届けられた。
妻夫木は「長い付き合いで、もう何回共演したんだろうというぐらいの間柄。彼がいるということが僕にとって心強い。それだけで僕のなかではっきりオンちゃんを追いかけることができるだろうなと自信があった。彼に助けられました」と旧知の仲だからこそ寄せた信頼感をにじませた。
広瀬は「作品の中でも、現場でも、どうみてもヒーローで、その姿がかっこよくて。ついていきたくなる姿を見せていただきました。完成した映画を見て想い続けてきて良かったなと思えるオンちゃんが存在していて、ご一緒できて良かったなと思いました」とコメント。
窪田は「瑛太さんにしかできない偉大なオンちゃんだったと思います。沖縄で誰よりも大きい背中で、誰よりも自由に、誰よりも駆け抜けていった姿が目に残ってますね」と大絶賛した。
さらに、妻夫木が「宝島宣伝アンバサダー」に就任して大友監督とともに全国を回ることが発表。会見の最後に妻夫木は「ひとりでも多くの人に見てもらいたい渾身の作品だと思っています。9月19日の公開となります。応援歌というものが歌にあるように、この映画が日本を応援する映画になれればいいなと思っています」とイベントを締めくくった。
『宝島』は2025年9月19日より全国公開。
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