香ばしさと豪華キャストがキモ! ツッコミどころ満載の米国産ホラー

#映画

『ホーンテッド・テンプル 顔のない男の記録』
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【フォトグラファーのオススメ/写真やカメラが印象に残る映画 5】
ソニーの“α7”に時代の流れを感じる
『ホーンテッド・テンプル 顔のない男の記録』

日本にやってきた3人のアメリカ人旅行客が、骨董屋で見つけた古書に記されていたお寺に興味を持ち、栃木県へ。そこでいわく付きの廃寺にたどり着くも、一人が怪我したことから戻れなくなり何かに襲われる……というお話。

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ストーリーだけ読むとシンプルですが、アメリカ産のホラー映画で日本が舞台、しかも栃木県!という何とも香ばしい本作。原題も『TEMPLE』とお寺がテーマながら、京都ではなく栃木へ向かうニッチさ、虚無僧が列をなして街中を通るサービスカット、そしていわゆるB級テイストなのに日本人キャストには竹中直人、古舘寛治、マキタスポーツと豪華な顔ぶれと気になる点が満載。「栃木が舞台のアメリカ産ホラー映画見た?」等々、鑑賞後のツッコミも含めて楽しめる映画です。

何より、案外日本を舞台にした海外映画は珍しいので、新宿の思い出横丁や渋谷のセンター街など外人目線で撮影された“ニッポン”の街並みやカラーが新鮮です。車の移動ひとつにしてもクールで、写真好きとしてはとても興味深い映画です。大人の事情もあるかとは思いますが、主人公たち3人のうち2人が使用しているカメラが“α7”(ソニーのミラーレスカメラ)というのがタイムリーで、時代を感じます。

ちなみにメガホンを撮ったマイケル・バレット、映画監督としては本作が初作品とのことですが、撮影監督としてはロバート・ダウニー・Jr&ヴァル・キルマーが共演した探偵映画『キスキス,バンバン』(2005)、お下品コメディ『テッド』シリーズ(2012、2015)、ジョン・トラボルタが実在したギャングを演じた『ギャング・イン・ニューヨーク』(2018)、クライマックスが必見のクライム映画『テイカーズ』(2010)等、数々のメジャー映画に起用されるキャリアの持ち主です。プライベートでは日本でもヒットしたパロディ映画『最終絶叫計画』(2000)で知られる女優のアンナ・ファリス(『ジュラシック・ワールド』(2015)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)シリーズで人気のクリス・プラットの元奥さん)との婚約が2020年の頭に報じられていたりと、“仕事のできる男”感も。ますますどんな経緯で本作の監督をすることになったのか経緯が気になる……。(文:ナカムラ ヨシノーブ/フォトグラファー)