アカデミー賞ノミネートに見る、映画会社の「勝ち組」と「負け組」

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『スリー・ビルボード』
(C)2017 Twentieth Century Fox
『スリー・ビルボード』
(C)2017 Twentieth Century Fox

2018年(第90回)アカデミー賞作品賞にノミネートされた9本の米国での配給会社は以下のようになる。

『シェイプ・オブ・ウォーター』フォックス・サーチライト
『ダンケルク』ワーナー・ブラザーズ
『スリー・ビルボード』フォックス・サーチライト
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』フォーカス・フィーチャーズ
『ファントム・スレッド』フォーカス・フィーチャーズ
『レディ・バード』A24
『君の名前で僕を呼んで』ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
『ゲット・アウト』ユニバーサル
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』20世紀フォックス

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勝ち組は作品賞に2本ノミネートされたフォックス・サーチライトとフォーカス・フィーチャーズだ。フォックス・サーチライトは20世紀フォックス、フォーカス・フィーチャーズはユニバーサルのインディペンデント部門。20世紀フォックス、ユニバーサルも1本ずつ作品賞候補に入っており、この2グループが勝ち組ともいえる。

ハリウッドメジャーのインディペンデント部門は、本体と切り離すことで権限を委譲。一定の予算内なら自由に映画を製作・買い付けできる。本体が巨額の資金を投入するアクション大作で「ハイリスク・ハイリターン」を狙う一方、インディペンデント部門では大人向けドラマで「ローリスク・ローリターン」を狙う。
フォックス・サーチライトが設立されたのは94年と古い。アカデミー賞では『フル・モンティ』(97年)が作品賞にノミネートされたのを皮切りに、『サイドウェイ』(05年)、『リトル・ミス・サンシャイン』(06年)などが作品賞候補となり、09年『スラムドッグ$ミリオネア』、14年『それでも夜は明ける』、15年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で3度作品賞に輝いている。

一方フォーカス・フィーチャーズは02年、USAフィルムズ、ユニバーサル・フォーカス、グッドマシーンの3社が合併して誕生した。USAフィルムズはオクトーバー・フィルムズとグラマシー・ピクチャーズが合併。グラマシーは『フォー・ウェディング』(94年)、『ファーゴ』(96年)がアカデミー賞作品賞候補に。フォーカス・フィーチャーズになってからは『ブロークバック・マウンテン』(05年)、『つぐない』(07年)、『博士と彼女のセオリー』(14年)などがアカデミー賞作品賞候補になっており、フォックス・サーチライトと同じくアカデミー賞の常連といえる。

同社のアカデミー賞候補作に一役買っているのが製作会社ワーキング・タイトル・フィルムズだ。83年にイギリス・ロンドンに設立された同社はイギリスを拠点に製作。99年にユニバーサル傘下となった。『フォー・ウェディング』『ファーゴ』『つぐない』『博士のセオリー』は同社がグラマシーやフォーカスと共同で製作、『ウィンストン・チャーチル』はパーフェクト・ワールド・ピクチャーズと共同製作した(フォーカスは配給のみ)。

一方、作品賞にノミネートされていないメジャー系映画会社がウォルト・ディズニーとパラマウント。加えて、“アカデミー賞の常連”ワインスタイン・カンパニーも、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題の影響でノミネートから外れた。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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