稼業は「裏社会のどぶさらい」。渋い表情で煙草をくゆらせるアウトロー探偵

#北村有起哉#映画#終末の探偵

『終末の探偵』
(C)2022「終末の探偵」製作委員会 

哀愁と色気が入り混じった独特の佇まい。不思議な愛嬌を併せ持つキャラクター

型破りな私立探偵・連城新次郎が裏社会を駆けずり回る姿を描く映画『終末の探偵』より、主演の北村有起哉が渋い表情で煙草をくわえるメインビジュアルを紹介する。

・松田優作主演『探偵物語』のオマージュ、 探偵が裏社会を駆けずり回るクライム・エンターテインメント

借金を抱え、酒やギャンブルの悪癖を引きずる半面、情にはもろく、弱きを助け、強きを挫くまっすぐな気性の持ち主。そんな連城新次郎という新たなアウトロー探偵のキャラクターを生み出した本作は、ハードボイルド・ジャンルの伝統的な醍醐味を現代に甦らせたクライム・エンターテインメントだ。

とある街の喫茶店を事務所代わりに、しがない探偵業を営む連城新次郎は、闇の賭博場でトラブルを起こし、顔なじみのヤクザである笠原組幹部の恭一から面倒な仕事を押しつけられる。それは笠原組と敵対する中国系マフィア、バレットの関与が疑われる放火事件の調査だった。

時同じくして新次郎は、フィリピン人の両親を強制送還させられた過去を持つミチコから、謎の失踪を遂げた親友のクルド人女性の捜索を依頼される。

やがて恭一や新次郎が何者かによってボウガンを撃たれる事件が発生し、笠原組とバレットの対立が激化。消えたクルド人女性は依然として行方知れず。図らずも2大組織の抗争に巻き込まれた新次郎は、すべてが複雑に絡み合う一触即発の危機をいかに切り抜けるのか…。

本作はノスタルジーを感じさせつつ、昭和から様変わりした令和の今を色濃く投影した探偵映画でもある。暴力団対策法によって昔ながらのヤクザは衰退の一途をたどり、団地や商店街などの地域コミュニティーは高齢化で崩壊の瀬戸際。さらに外国人差別などの問題にも目を向け、社会で居場所を失い、生きづらさを抱えた登場人物たちそれぞれの葛藤を映し出す。自らの探偵稼業を「裏社会のどぶさらい」と称する新次郎が、そんな閉塞した時代に風穴をぶち開けていく。

今回紹介するメインビジュアルでは、主人公の私立探偵・連城が、渋い表情で煙草をくゆらせる姿が切り取られている。連城を演じるのは、『すばらしき世界』(20年)『ヤクザと家族 The Family』(21年)などの北村有起哉。哀愁と色気が入り混じった独特の佇まいで、不思議な愛嬌を併せ持つキャラクターを創り上げた。

『終末の探偵』は12月16日より劇場公開される。


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