【今日は何の日】2月20日はアレルギーの日、アニメからスリラーまでアレルギーにまつわる映画3作

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『ミュージアム』キービジュアル
『ミュージアム』キービジュアル
(C) 巴亮介/講談社 (C) 2016映画「ミュージアム」製作委員会

2月20日はアレルギーの日…というと、この時期の日本列島からは「そんな言葉は聞きたくない!」と悲鳴が聞こえてくるかもしれない。例のものが飛び始めて多くの国民がくしゃみや目のかゆみに悩まされる季節ではあるが、この記念日はアレルギー治療が大きく前進する足掛かりとなった発見にちなんで制定されたもの。石坂公成・照子夫妻がアレルギー原因物質「IgE(免疫グロブリンE)」を発見し、その成果を米国アレルギー学会で発表したのが1966年2月20日だったのだ。今回はこの記念日にちなみ、まずは重度の卵アレルギーと戦う少年が主人公の作品からご紹介しよう。

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ジブリ出身者によるオムニバス中の1編 『サムライエッグ』

「スタジオポノック」は、スタジオジブリのプロデューサーであった西村義明が立ち上げたアニメーション映画スタジオだ。ご紹介する『サムライエッグ』は、そのスタジオポノックによるオムニバス映画『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』の中の1編である。

生まれて間もなくして卵アレルギーが発覚し、以来その体質と格闘しながら必死で前を向いて突き進んできた少年しゅんと母親の物語。アレルギーによるアナフィラキシーショックは、常に命の危険と背中合わせ。幼稚園や小学校のデイリールーティンや行事では、常に特別の配慮が必要となる。みんなが普通にしていることを普通にできない母子の歯がゆさと悔しさが伝わってくる作品である。このオムニバスに収められている3作品は、どれも見るものの想像力に委ねる要素が大きい。多くを語らず、わかりやすい起承転結や結末もない。それゆえに、鑑賞後にジワジワとこみ上げてくる不思議な感覚があるのだ。3作品まとめて鑑賞することで、相互が干渉しあいながらその余韻が増幅されていく感がある。

ウサギVS人間の壮絶バトル、アレルギー描写に物議

続いては、アレルギーに関するシーンが物議をかもした作品。『ピーターラビット』は、文字通りあのピーターラビットの実写版だ。ピーターラビットファミリーをはじめ登場人物(登場動物!?)の大半は、イギリス郊外に住む野生動物たち。そして彼らは、本の中のファンタジーな世界観とは程遠く、今時の感性を持ち合わせた人間臭いキャラクターの持ち主として描かれる。美味しい野菜畑がある「僕らの土地」を巡って、人間を凌駕するほどの頭脳明晰さで家主と壮絶な陣取り合戦を繰り広げるのである。やったりやられたりのドタバタバトルを繰り返しながら両者がヒートアップしていく様が、面白おかしく描かれていく。

宿敵の家主にはあるアレルギーがあり、ピーターたちはある日それを逆手に取った攻撃を仕掛ける。物語においては特に重要性もない短いシーンであったが、これに世間から物言いが付いた。「深刻なアレルギー反応を軽く扱うと世間に誤解を与えるのでよろしくない」というわけである。幸いその後に健康を取り戻した家主とはさらに対立が続くのだが、最後までドタバタバトルで駆け抜けるわけではない。やはり動物が主人公のファンタジーには、ハッピーエンドが良く似合う。

 

小栗旬主演のスリラー、アレルギーが猟奇的殺人犯にたどり着くカギに

最後にご紹介するのは、漫画を原作に小栗旬主演で映画化された『ミュージアム』だ。きわめて奇怪で残忍な方法でターゲットを殺害し、あえて人に見せることを意識したかのように遺体を放置する劇場型殺人犯の物語である。小栗旬演じる刑事・沢村は、警察という組織の規律から逸脱しながらなりふり構わず一人で犯人を追いつめていく。彼が個人プレーで突っ走るのには、そうならざるを得ない私的理由があるからなのだが。

そして、犯行時の環境の共通点から「あるアレルギーを抱えている人物」に的を絞って犯人を特定していく。そうしてたどり着いた犯人は、容貌、口上、発想、行動すべてが異様な雰囲気を放つ人物であった。それが怪演であるがゆえに、ストーリーに引き込まれながらも「果たして犯人役を演じているのは誰だ?」という疑問が頭をもたげてくるのである。エンドロールで明かされるその意外な正体は、この映画の隠れた目玉かもしれない。(T)

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