『サイバー・ミッション』ハンギョン インタビュー

中国人スターが語る、山下智久との共通点とは?

#ハンギョン

撮影現場で泣いた母

アジアを舞台に、最強のホワイトハッカーと最凶のブラックハッカーの対決を描く『サイバー・ミッション』。ゲームオタクのプログラマーのハオミンは、かつてハッキング対決で負かした男から仕事を持ちかけられる。同時に香港警察からアプローチを受け、覆面捜査官として裏世界に飛び込んだハオミンはサイバーテロリストのボスに出会い……。

ハオミンを演じるのは元SUPER JUNIORのハンギョン。現在は母国の中国を拠点に活躍する彼に、映画について、共演の山下智久との友情について語ってもらった。

──アクション、コメディ、人間ドラマあり、と多彩な内容ですが、お気に入りのシーンや印象に残っているシーンはありますか?

ハンギョン

ハンギョン:一番印象に残っているのはアクション・シーンですね。今までたくさんアクションをやりましたが、今回が最も危険でした。高いビルから飛び降りたり、走行中の電車の外を走ったり、銃も使いました。山下さんを追うシーンではものすごく狭い場所で撮影したり、初めての経験が多かったです。
 ビルから飛び降りるシーンで、撮影当日、実は母が現場に見学に来ていたんです。母には「もうこんな危ないことをしないで」と泣きながら言われました。彼女は撮影を最後まで見ていられず、途中でどこかに行ってしまいました。実は一緒にショッピングに行って服を買ってあげるつもりだったんですが、「そんなのいいわ。あなたは仕事が大変だから」と言っていました。

──危険なアクションも全て自身で演じたそうですが、当日急に「やってください」と言われることもあるんでしょうか?

ハンギョン:当日の状況を見て「こうしなさい」と言われることもあるし、ビルのシーンは前日リハーサルをしました。私はもともとダンスをやっていて、中国武術を学んだこともあります。アクションはもともと好きだし、ある程度得意と言ってもいいかもしれません。ただ危険なシーンを撮るには準備が必要です。どうやって自分の身を守るかを知ることは大事だと思います。

──ハオミンの役柄はゲームオタクのハッカーで、アスリートではありません。アクションも少し下手に演じる必要があって、ある意味危険だったのでは?

ハンギョン

ハンギョン:確かにそうですね。アクション・シーンを演じるのは難しかったです。リディアン(・ボーン)はアスリートなので、飛び降りるシーンでもある程度安全なんです。ハオミンは、より危険でした。ハオミンはプロじゃないよ(アクションがあまり上手くない)、というのを見せつつ、演じる自分の安全に気をつけて演じていました。

──キャストにはアジアのスターが揃っています。撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

ハンギョン:撮影現場にはいろいろな国の人たちがいたので、コミュニケーションは英語が多かったです。もっぱら話題の中心は「どうしたら安全に撮影することができるか?」。よく飛び交っていたフレーズは「あなたは大丈夫?」でした(笑)。

──共演者との交流は?

ハンギョン

ハンギョン:リディアン・ヴォーンとリー・ユエンとは中国語でコミュニケーションを取れるし、とても相性がよくて、撮影前に一緒に脚本を読んでディスカッションしたりしていました。山下さんはクランクインしてから現場に合流したので、実は最初、少し距離を感じていたんです。ハンサムでクールな人だな、という印象でした。撮影が進むにつれて、親しみやすくて温かい人だという印象に変わっていって、お互いのことがわかってきてからの撮影は本当にスムーズに進行しました。撮影が終わった後にみんなで飲みに行ったり、一緒にジムに行ったりもしました。

──山下さんとは年齢も近いですが、どんな話をしたのですか?

ハンギョン:山下さんとは結構共通点があって、2人とも小さな頃からダンスや演技の訓練を受けてきました。だから、彼も僕も自分に厳しいんです。
 それから、今、僕が興味をもっている人材育成に関する夢を話したりもしました。
 日本や韓国には、(エンターテインメント人材を育てる)養成システムがありますが、アジアにはそういったものがまだ整っていない国もあります。なので、様々な国でいろいろな技術を身につけるマルチタレントを育成することができたらと思っているんです。

──今日は全身白のスタイルですが、やはりホワイトハッカーをイメージしたんですか?

ハンギョン:そうですね。山下さんと舞台挨拶をするので、役のイメージに合わせて、白を選びました。普段はあまり白は着ません(笑)。

ハンギョン
──ハオミンは超一流のハッカーですが、ごく普通の青年でもあります。演じる上で気をつけたことは?

ハンギョン:僕自身ゲームがすごく好きなので、ゲーム好きというところを前面に出すようにしました。僕も自宅にいる時はゲームをしたり、映画を見たり、ガンダムのフィギュアを作ったりしているので、それを生かすようにしました。そういう意味では僕の素の部分が出ているとも言えますね。

──ITには詳しいですか?

ハンギョン:トラブルが起きたら、専門家を呼んで解決してもらいます(笑)。

滝田洋二郎監督作品をはじめ、日本との仕事も続々
『サイバー・ミッション』
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──先ほどお母様の話を聞いて、とても親孝行だと思いました。撮影現場を見せてあげることも多いんですか?

ハンギョン:僕は撮影で海外のいろいろな国に行きます。母も、今の年齢なら飛行機で一緒にあちこち行けます。両親はこれまで海外に出かけるような機会はなかったので、たくさんの国につれて行ってあげて、いろいろ見てほしいと思っています。両親が喜んでくれると、僕もとてもうれしいので。

──日本は久しぶりだと思いますが、久々に訪れた日本の印象は?

ハンギョン:日本がますます好きになりました。食べ物も好きだし、ファンの方々の情熱的な気持ちが、すごく好きです。イベントで久しぶりに近い距離で交流できたのも楽しかったです。最近は日本の方との仕事も多くて、滝田洋二郎監督と、『聞煙(原題)』という作品でお仕事もできました。『おくりびと』のスタッフを連れてきていただいて、中国で撮影した中国映画です。今後は音楽活動でも、映画でも、たくさんの作品を日本のファンの皆さんに見ていただきたいです。

(text:冨永由紀/photo:小川拓洋)

ハンギョン
ハンギョン
Hang Geng

1984年2月9日生まれ、中国・黒竜江省出身。2005年から09年まで韓国のアイドルグループSUPER JUNIORに所属し、アジアをまたにかけ活躍する。08年には男性アイドルとして初めて北京オリンピックの中国聖火ランナーを務める。脱退後は、中国へ戻り俳優・歌手として活躍。2012年後半より世界進出し、同年にMTVヨーロッパ・ミュージック・アワードで「ワールドワイド・アクト賞」を、2013年にはニコロデオンのキッズ・チョイス・アワードで「フェイバリット・アジアン・アクト賞」を受賞。ハリウッド大作の『トランスフォーマー/ロストエイジ』(14)など海外作品にも出演している。