北山宏光「ホラー映画が本当に苦手」 7年ぶり映画出演『氷血』舞台挨拶

#内藤瑛亮#加藤千尋#北山宏光#氷血

『氷血』
(C)2026映画 「氷血」 製作委員会 
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みそ汁と温泉が心の支え、雪山撮影の苦労を明かす

映画『氷血』の公開記念舞台挨拶が7月4日に開催され、7年ぶりの映画出演にしてホラー映画初出演となる北山宏光と、ホラー好きとして知られ、念願のホラー映画初出演を果たした加藤千尋、内藤瑛亮監督が登壇。公開を迎えた喜びや、極寒の中で行われた過酷な撮影の裏話を語った。

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この日の舞台挨拶は、朝8時30分スタートという早い時間からの上映となったことを受け、北山が「朝8時半からのホラーはいかがだったでしょうか。思いを込めて作った作品ですので、見ていただいてとても嬉しいです」と挨拶。

続く加藤も「今日はいかがでしたか? この何ヵ月間の間、皆さんのお言葉をいっぱい吸収したいなと思いながら、昨日もいっぱいエゴサーチをしました」とコメントした。

北山が「良かった?」と尋ねると、「まあまあ」と返して会場の笑いを誘った加藤。実際には「けっこう良かったですよ」と付け加えるなど、手応えを感じている様子だった。

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ホラー映画への出演は本作が初となる北山と加藤だが、ホラーが苦手な北山と、ホラー好きな加藤という対照的な一面も明らかに。北山は「僕はホラー映画が本当に苦手で。見るたびにビックリして。本当にドキッとしてしまうんです」と明かしつつ、「演技として届けること、ギミックなどは面白いと思いました。台本だけだとくみ取れなかったような箇所もあったんですけど、実際に現場に入ってみると、こういうふうにカメラを組むのか、こういうふうな撮り方をするのかと感じて。そしてここから、編集で音が出されて、どんどんと積み重なっていく。そういう作品が作り上げていく過程も、とても楽しかった」と撮影を振り返った。

一方、「寒さで身体は震えていましたけど、心は躍っていました」と笑顔を見せた加藤は、「内藤監督が投じてくれる怖いシーンはあったけど、一個一個に自分なりの解釈でこだわりを加えてくのが楽しくて。目の動き、身体の動きひとつで恐怖度が増していくというのはホラー映画を見るときも感じることなので、そういうのを研究するのが楽しかったし、普段怖がってる北山さんが、怖いお芝居をしているのを見るのも楽しかった」とコメント。

内藤監督も「それはうまくいっていたと思います。ちゃんとカメラに表情を見せながら、どう撮られるのか、意識しながらとうのは難しいけど、やはり恐怖に歪んだ顔に美しさがあるのが大事だったと思ったので」と太鼓判を押した。

観測史上最大の降雪量を記録したという過酷な環境で撮影が行われた本作。撮影中、現場での“心の支え”になったものを聞かれると、北山は「あったかいもの全般が身体に染みるというのが分かった現場でした。みそ汁があるとすぐになくなった」と回想。さらに温泉も心の支えになったようで、「そこに逃げ込んだんですが、温度差がすごくて。前が見えないくらいモクモクしていた。でもまた行きたいですね」と振り返った。

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一方の加藤は「ホッカイロに命を救われました」とコメント。「特に脇の下をあたためてください。脇の下のホッカイロってすごいです。私はホッカイロに救われて生き延びたわけですが、それとご飯ですね。これが本当に美味しくて。映画の中に婦人会のシーンがあったと思うんですが、あそこに出演された方は地元の方で。その中に馬肉を取り扱っている方がいらっしゃったので、美味しい馬刺しをいただきました」と笑顔を見せると、北山も「馬肉は美味しかったね」と同意。過酷な撮影を支えたのは、温かい食事でもあったようだ。

そんな中、内藤監督は、今回の撮影で幼い娘と初めて長期間離れて過ごすことになり、少しホームシックになっていたことを告白。毎日のビデオ通話が心の支えになっていたという。

ある日には、撮休日に娘の保育園の発表会があることを知り、早朝に現場を出発。約5時間かけて帰宅し、娘の発表会を見届けた後、再び5時間かけて現場へ戻ったというエピソードを披露し、「やはり大事な時期なんで。見逃したくなかったので、良かった」と、父親としての思いをしみじみと語った。

映画上映後ということもあり、後半のトークはネタバレありで展開。衝撃的なクライマックスに込めた意味など、制作の裏話が次々と明かされた。「この作品はもともとの雪女の伝承を再解釈し、再定義するような話なので。あの話にあるような家父長制とか、悪い意味での古い家族観みたいな男女観を否定する話に持っていきたいと思った」と説明する内藤監督。

ラストの壮絶なバトルシーンについては、「絵本の中でも、子どもを傷つけたら許さないというところもあったので、見る人によっては爽快感を感じると思う。応援上映があったら『いけ! 倒せ!』と声が出るように話を持っていったところはあります」と、その狙いを明かした。

北山自身も、雪山でのクライマックスシーンでは特殊メイクを施し、雪の上に寝そべって撮影に臨んだといい、「早くOKを出してくれ、と思いながら転がっていました」と苦笑い。内藤監督も「その気持ちは分かりつつも、カメラマンにはゆっくりとズームしてくださいと言っていました」と笑いを誘い、極寒ならではの撮影秘話を明かした。

さらに、リピート鑑賞時の注目ポイントとして、北山は画面の至るところに潜む“白い女”の存在を挙げた。「序盤から何気ないところに出ていますから。気付くとたくさんいるんですよ」と話すと、内藤監督も「20人弱は出てくると思います。たとえば加藤さんが佐野史郎さんの背中をたたくシーンがあって、実は画面の隅のベッドの下に女性の手が映っています」と明かした。これには北山、加藤ともに「気付かなかった」と驚きを隠せない様子だった。

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最後に「もしホラー映画の世界に入ったとしたら、一番最初に死亡フラグが立つのは誰か?」という質問が投げかけられると、全員一致で北山を指名。ホラーのセオリーを知らないという北山自身も「ふたりともホラーがお好きだから。こうしたらこうなる、というのが分かっているんで、先のことをかわすことができると思うんです。でも僕は本当に何も分からないので。一歩出たらすぐに、という感じだと思います」と自己分析した。

一方、「最後まで生き残る人物は誰か?」という話題になると、加藤は「私の好きなホラー作品の傾向として、最後の方に女の子が無双モードに入るものがあるんですけど、今回も悠希がそのモードに入る瞬間があるじゃないですか。やっぱり女は強いみたいな瞬間がすごく好きなシーンなので。いろんな怖いことを経験して、最後にスカッと勝つから私が勝ちます」と宣言し、会場を沸かせた。

内藤監督も「実は海外の学術用語としても、最後まで生き残る女性を指す“ファイナルガール”という言葉があるんです。基本、ホラーというのは、社会に抑圧された女性が犠牲になることが多いんですけど、最後に抑圧されていた女性がやり返すということで“ファイナルガール”という言葉があるので、それはすごく正しいんです」と補足。加藤も「その言葉はいいですね。なんかカッコいいな」と、その言葉を気に入った様子だった。

また、ホラー映画初心者への鑑賞アドバイスを求められた加藤は、「やっぱり何かで隠したいということがあるので、手ぬぐいとかなんですかね」とコメントし、会場は大きな笑いに包まれた。内藤監督は「ビールとポップコーンじゃないですかね」と答え、肩肘張らずにホラーを楽しむスタイルを提案した。

そんな内藤監督も、母親の影響でホラー映画を楽しむようになったというが、「僕は落ち込んでいる時に見るのが好き」と独特のホラー観を披露。「人って平等に死ぬんだなと教えてくれるジャンルなので、心が洗われるんです。悩んでる人も、自分を悩ませてる人も、みんな平等に死ぬ。悩んでもしょうがないなと思えるんです。命はみんな平等なんだなと思うんです」と語ると、加藤も「本当に落ち込んだ時にいいですよ。本当にここでしか出ないような脳汁が出てくるんで」と、その考えに深く共感していた。

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イベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた内藤監督は、「この作品は本当に大変な撮影で。ロケバスが7回もスタックし、雪壁に突っ込んで動けなくなったりと、本当に生きて帰れるのかと思うほどの作品なので、無事に生きて帰ってこれて、作品を仕上げることができて。こうやって劇場で皆さんにお届けすることができて本当にうれしく思います。映画が映画館の中で生きられる時間って本当に限られているので、ひとりでも多くの人に見ていただけたら」と呼びかけた。

加藤も「私が演じる悠希は、この世のどこにも居場所がないと感じてるんですが、気付かない間に孤独を抱えている人はたくさんいると思います。でもこの作品は、ただ怖いだけじゃなくて、最後には少し光をさしてくれる作品なのではないかと思うので、映画館に来た人が、寒さを感じながらも、あったかい気持ちで帰ってもらえるのではないかと思っているので、大切な人と何度でも見てほしいです」とPRした。

そして最後に北山が「スタッフさんもみんなで一丸となって、頑張って作った作品です。恐怖としては、やはりホラー的な要素もあるんですけど、人としての怖さもあって。そういう恐怖も感じていただけたらうれしいなと思いますし、あの白い女は一体何人いるのか。それは監督も正確な人数を把握していないとのことなんですが、いつかネットなどで最終的な答えを出せたらいいなと思っておりますので。ぜひともこの作品を盛り上げていただけたら」と呼びかけ、大盛況のうちにイベントを締めくくった。

『氷血』は現在公開中。