大悟、是枝裕和監督の“うっすら騙す”演出明かす 『箱の中の羊』舞台挨拶で爆笑

#大悟#是枝裕和#桒木里夢#田中泯#箱の中の羊

『箱の中の羊』
(C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
『箱の中の羊』

「ノブの感想は聞いたら発表します」と笑顔、両親はすでに3回目鑑賞

公開から2週間が経過し、口コミを中心に大きな反響を呼んでいる映画『箱の中の羊』。その大ヒットへの感謝を込めた大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、綾瀬はるかとダブル主演を務めた大悟(千鳥)、息子役とその姿をしたヒューマノイド役を一人二役で演じた桒木里夢、是枝裕和監督、さらに工務店の職人・昭夫役の田中泯が登壇。作品への思いや公開後の反響を語った。

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くしくもこの日は、FIFAワールドカップ2026で日本対オランダ戦が行われたばかり。これを踏まえ、大悟は「日本対オランダ、同点でよかったですね。とてもいい試合でした。ですから皆さん、今日は朝早くから起きていると思うので、眠い中、こうやって映画館まで来ていただき、本当にありがとうございます」とあいさつし、会場を大いに盛り上げた。

さらに是枝監督も「今日は懐かしいですね。今日は久しぶりに4人で集まったんですが、久しぶりに家族に会ったような気分になっていました。やはり1本映画を撮ると、とても濃密な時間を一緒に過ごすので、ちょっと特別な感じで。それがすごくうれしいです」と笑顔を見せた。

公開から2週間がたち、大勢の観客が劇場を訪れている本作。その反響について大悟は「本当にありがたいですし、嬉しいです」と笑顔を見せた。特に、かまいたちの濱家隆一やダイアンの津田篤宏が自身のSNSなどで大悟のことばかり書いていることに対し、「申し訳ないなと思いますけど嬉しいですね。いろんな芸人からもすごかったという感想をいただきました」とコメントした。

さらに、とある後輩芸人からは「子どもの頃にプラモデルを作っていた時のことを思い出した」という感想があったという。その真意について、「プラモデルは完成して、見た目も完成しているのに、なぜか部品が余っている。この余った部品は本当に要るのか、要らないのか」と説明されたそうだ。大悟は「すごく深いことを言っていたので、そうか…と分かったふりをしていました」と付け加え、会場の笑いを誘った。しかし、その言葉に是枝監督をはじめ登壇者たちは感心しきりだった。

一方、相方のノブについては「今はアメリカのサッカーを見ていると思う」と笑いを誘いつつ、「映画は観ているんだと思いますが、でも照れくさいので、まだ直接には何も言ってこない」と説明。「ノブの言葉は、聞いたら発表します」と付け加えた。

さらに、実家に帰った際の両親の反応については、「僕には何も言わないんですけど、『次、3回目を観に行く』と言っています」と明かし、「それはこの深い映画を何度も観たいのか、ただただ息子がスクリーンに映っているのが観たいのか…」と笑顔を見せた。

本作は大悟が主演を務めていることもあり、バラエティ番組で紹介される機会も多かったという。是枝監督は「大悟さんのバラエティ番組で僕の名前が連呼されて。画面いっぱいに僕の名前の字幕が出てくるんですよ。『是枝入ってるのか』みたいな感じで。でも最近はそれを求めてテレビを見るようになった。それを見た人からの反応がたくさんあって、不思議な体験をしています」と、バラエティ番組での意外な楽しみを明かした。

これに対し、大悟は「あれはノブが悪いんですよ」と返したが、当の是枝監督は悪い気はしていないようで、「ずっと続けてほしい」とご機嫌な様子を見せていた。

先日行われた韓国でのプロモーション活動について問われた桒木は、「韓国でダンスをしました」と述懐。さらに食事の話題になると、「カニ。ケジャンを食べました」と返答。「その歳でケジャン食べたの?」と驚く大悟に対し、桒木は「僕じゃなくて、監督がケジャン好きなんです」と明かした。すると是枝監督が「でも(桒木は)とんかつを食べたんだよね」と補足し、微笑ましいやり取りで会場の笑いを誘った。

本作で木工職人を演じた田中は、出演オファーを受けた際の心境を熱く語った。「僕は職人さんが好きで、まず大工という役柄を聞いて、一発で『やります』と言った」と振り返る。特にカンナがけのシーンについては、「子どもの頃からちゃんと習いたいと思っていたんで、まさかカンナがけのシーンがあるなんて。本職の方から教えてもらえたのが本当に嬉しかった」と純粋な喜びを口にした。

さらに田中は、本作が提示する「未来の問題」についても感銘を受けたといい、「ここにはすごく大切な未来の問題が含まれていると思うんです」とコメント。「人間は一個の細胞からとんでもない数に分裂してできあがった生命体。そんな私たちが『自分の身体ではない人工的な身体』とどう付き合っていくのか、それはとんでもない問題。人間がどのような未来を持つのか気になっています」と、本作のテーマに深く心を動かされた様子を見せた。

共演者の印象について質問された田中は、大悟の演技を絶賛した。「大悟さんは俳優という仕事のもとになるもの、『どんなものがあれば俳優ができるのか』という見本のような方。『お芝居ってなんだろう』と考えずにできている」と評価。さらに、「人間が演劇を始めた一番大きな動機を持っている。それは俳優として非常に刺激的なもの」と最大級の賛辞を贈った。これに対し、大悟は「(それを)持っていました」とおどけてみせ、会場の笑いを誘った。

一方、子役の桒木については、「最初、キャッチボールをしている姿を見かけて、この子と一緒にやるのか、どうしようかと怖かった」と意外な本音を明かした。

続けて、「僕の身体は、この子の身体よりも70年前から生きているが、僕の身体は小さいときから今までの、どこの時代の感覚に戻っていくことができる。それがダンサーだと思っているんで、だからこそ、やらなきゃいけないと思いましたけど、かなり緊張した」と述懐した。

対する桒木は、田中との共演について「一緒のシーンは一回しかなかったけれど、声がとてもさわやかというか…」とコメントし、会場は大笑い。「台本にあるすごく長いセリフを自然に言えていてすごいなと思った」と続けると、田中も照れながら「たまたまです。すべてはたまたまです」と謙遜していた。

イベント後半には、客席の観客から直接質問を受け付けるコーナーも設けられた。最初の観客からは、「是枝監督と田中さんが同じ高校の先輩・後輩関係にあるが、やりやすかったことはあるか?」との質問が寄せられた。

その質問に驚いた様子の2人は、「知ってはいたが、これまでその話題を出したことはなかった」と返答。田中がバスケットボール部、是枝監督がバレーボール部だったという意外な過去を明かすひと幕もあった。

また、物語終盤における翔たちの決断をどのように解釈するかという本質的な質問も飛び出した。「難しいな…」と口々に語る登壇者たちだったが、そんな中で考えを巡らせた大悟は、「全員の答えが一緒じゃないとは思うけど、結局、親の方が捨てられたみたいに見えるけど、あれは捨てられたんじゃなくて…難しいですね」とコメント。すると是枝監督が「きっと巣立っていったんじゃないですかね」と補足した。

さらに田中は「あそこは結論ではないので、ファンタジーは観た人ひとりひとりの中で未来が決まっていくんじゃないですかね」と自身の解釈を披露。続けて桒木が「街に行ったらヒューマノイドだとバレていじめられるかもしれない。だから自然の中で暮らした方が良かったのかな」と率直な思いを語ると、大悟も「素晴らしい」と深くうなずいていた。

「踏切のシーンで監督が、大悟さんに内緒で桒木さんに手を握るよう指示を出していたというインタビューを読みましたが、他にも秘密の演出はあったか」という質問も寄せられた。これに対し、是枝監督は「騙すようなことをしているわけではないけど、大悟さんの周りの役者にちょっとだけ変化を与えると、大悟さんは必ず違う形で返してくる。お芝居の基本である『受け止めて返す』ということがなぜこんなに自然にできるのかなと感動していました」と大悟の対応力を称賛した。

一方の大悟は、「監督は騙すようなことはしてないと言いますけど、うっすら騙すんですよ」と笑いながら反論。「僕には何も言わないんですけど、(桒木)里夢たちにこっそり言いに行っているのがチラッと見える。それで何か変えようとしているんだろうなと思っていましたけど」と明かした。

その上で、「でも自分が台本を読んだだけで勝手に分かった気になっているところを、『感情の答えはこっちだよ』とその形で教えてくれていたのかもしれない。言葉で説明されても分からなかったかもしれないので」と語り、是枝監督ならではの繊細な演出手法に感謝を示した。

大盛り上がりとなったイベントもいよいよ終盤を迎え、最後に登壇者から観客へ向けてメッセージが送られた。まず田中が「皆さん、楽しんでいただけたと思います。どうぞ周囲の方に宣伝をお願いします」と呼びかけると、桒木も「僕は愛のある映画だと思います。『箱の中の羊』を見て、家族やいろいろな人と話し合ったり、考えながら、また観て。何回も観て、考えて…何回も観てほしいです」と力強くアピールした。

大悟は、「今、里夢がほとんど言ってくれましたが、控室でも田中さんが『全員が同じような感想が出るようなものは作ってもしょうがない』と話していて、本当にそうだなと。観終わった後に、一緒に来た人とご飯でも食べながら『ああだこうだ』と言い合ってもらえるまで楽しんでいただけたらと思います」と語った。

最後に是枝監督がマイクを握り、「まだ本当に生まれたばかりの映画で。観てくださった皆さんに育てていただき、大きく豊かにしていただければと思っています」と締めくくり、盛大な拍手の中でイベントは幕を下ろした。

『箱の中の羊』は現在公開中。