広瀬すず、爽やかなノースリーブドレス姿に歓声! 吉田羊は赤白の「寿ぎ」着物スタイルでカンヌ映画祭に登場

#カズオ・イシグロ#三浦友和#吉田羊#広瀬すず#松下洸平#遠い山なみの光

ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロが書いた初めての小説を原作にした、広瀬すず主演映画『遠い山なみの光』。現在開催中の第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、広瀬や吉田羊、松下洸平など、役者陣が参加した。

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「映画が届いた」と実感できたカンヌ映画祭

日本人の母・悦子(吉田羊)とイギリス人の父を持つニキ(カミラ・アイコ)。作家を目指す彼女は、長崎で原爆を経験した母の体験を執筆しようとする。すると母は、最近よく見る「夢」について語り始める。それは若き日の悦子(広瀬すず)が出会った、佐知子(二階堂ふみ)という女性と、その幼い娘とのひと夏の「夢」だった——。

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そんな『遠い山なみの光』が上映される5月15日、晴天に恵まれたカンヌに降り立ったのは、石川慶監督、原作者でありエグゼクティブ・プロデューサーのカズオ・イシグロ、広瀬すず、吉田羊、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和のキャスト陣。フォトコール、公式上映、そして囲み取材とレッドカーペットに参加した。

大勢の人々が詰めかけたフォトコールでは、ルイ・ヴィトンの白いノースリーブのドレスに身を包んだ主演の広瀬すずに「ヒロセ!」「スズ!」というコールが起こり、赤白の「寿ぎ」着物スタイルの吉田羊にも歓声が飛んだ。

ドビュッシー劇場での公式上映前には、石川監督が「この映画をずっと支えていただいたイシグロさん、それから本当にずっと映画で戦ってくれたスタッフ・キャストの皆さんと、そして朝からこの会場に駆けつけていただいた皆さんと、この特別な瞬間を共有できることをとてもうれしく思っています」と感謝のあいさつ。

さらにはカズオ・イシグロは「この映画は私が25歳の時に書いた本がベースになっています。ひどい本なんです(笑)。でもひどい本から素晴らしい映画になるという長い長い歴史が映画にはあります。石川監督の映画化企画は、美しい映画が生まれる可能性に満ちていた。そして、僕のその直感は正しかった。だから、今僕は次のひどい本を書こうと思っています!」と、会場を笑いに包み込むウィットに富んだスピーチを披露した。

結果、上映終了後には5分にわたるスタンディングオベーションに包まれた。

上映後、取材に応じた悦子役の広瀬。10年前に『海街diary』で参加して以来2度目のカンヌとなるが「すごく特別な空間の中で『映画が届いたんだな』というのをすごく実感できる瞬間だったな……と。(会場の熱狂は)いまだにやっぱり景色が焼きつくような、そんな空間でした」と高揚を抑えきれない様子。

ベテランの三浦友和からは「スタンディングオベーションって映画で初めて経験したので、やはり感動しますね。それがお決まりの、ということではなく、心からと感じたので本当に……やっぱり感動しました」と意外なひとこと。

松下洸平も「心からの拍手をいただけた時に、すごくグッとくるものがありました。皆さんとひとつのものを作り上げて、こういったかたちで世界中の人に見てもらえる……こんなに誇れることはないなと思って本当に感極まりそうになって、涙が出そうになりました」と興奮のコメント。

吉田も「皆さまの感動が伝わってきました。気になって、お客さまの反応を(スクリーンと)一緒に目の端にとらえながら見ていたのですが、ぐっと物語の世界に入ってくださって……。それをスタンディングオベーションという形で示してくださって本当に感謝の心を覚えましたし、この映画に携わったすべてのスタッフ・キャストの想いが報われた瞬間だなと感じました」と安堵を見せた。

その後、夕暮れのリュミエール劇場前に場所を移し、レッドカーペットへ。フォトコール時とは装いを新たにした面々が訪れると、大きな拍手が送られていた。

『遠い山なみの光』は2025年9月5日より全国公開。