「正義って一番厄介」と考える危険地帯ジャーナリストから見た大麻ビジネスとは?

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丸山ゴンザレス
危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレス
(C)TBS

冒険ドキュメンタリー番組「クレイジージャーニー」(TBS系)の2時間スペシャルが5月19日に放送される。同放送回では、危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが大麻ビジネスの最前線に迫った映像が展開される。

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危険地帯ジャーナリスト、大麻ビジネスに迫る

スラム街やドラッグ、ギャングなどの実態を追い続けるジャーナリストの丸山。今回、番組が同行取材したのは「大麻合法化の光と闇」。娯楽用大麻の合法化は人々にどんな影響を及ぼしているのか。米カリフォルニア州とカナダを訪ね、その最前線の現場に迫る。

丸山は「長年フィールドワークにしてきた大麻ビジネスが中心です。一方で、大麻以外のハードドラッグを過剰摂取して死亡する人が多いという事実もあり、そんな違法薬物を摂取する場所をあえて設けることで死者を減らそうというハームリダクション(「被害の低減」を意味する、薬物問題に対する新たなアプローチ)の取り組みが北米で拡大しているので、それも取材しています。合法化によって進む大麻ビジネス、それに対してハードドラッグの扱いはどうなのか。そこを二項対立で取材しようと思いました」と解説する。

取材したのは約2年前。「すぐに出していたらもっとセンセーショナルだったろうなとは思います。それでも今、この内容がそんなに古いと感じないということは、言い方を変えれば、この問題に対して世の中が足踏みしてしまっているということでしょうね。カナダの薬物使用室なんかの衝撃的な映像もあって、きっと見た方それぞれの受けとめ方があると思います。僕は皆さんの価値観が揺さぶられたらいいなと思っています」と話す。

「走って逃げることはしょっちゅう」危険地帯の取材の恐ろしさ語る

丸山の取材は危険地帯がメインフィールドであるだけに、危険な状況に遭遇することは日常茶飯事。「走って逃げることはしょっちゅうあって、あれぐらいはトラブルのうちには入りません。『ヤバイの基準はありますか?』って聞かれて、明確に答えられるヤツがいたら、そいつこそ一番命を落としやすいんじゃないかな。どんな時も、その場その場の判断が絶対に必要だし、そうやって取材を続けて来て今こうして生きてるんだから、それが正解でしょ?ぐらいの気持ちです。こだわりを捨てること。こだわると死ぬと思ってます」。

丸山が「一番ヤバかった」と回顧するのはメキシコの麻薬戦争。「ギャングたちの麻薬カルテルの取材です。僕的にもテレビ的にも限界だったと思うし、もう1回やれと言われても僕は無理! 『クレイジージャーニー』がレギュラー放送になって1発目(15年4月)にやったルーマニアのマンホールタウンも面白かったですね。その年の正月に初めて単発で番組が放送されて、スタッフから『これからレギュラーになるんで、どこか行く予定ありますか?』って聞かれて『ルーマニアに行こうと思ってます』って話をしたことを覚えています。ずいぶん前からマンホールタウンの存在は知ってたんだけど、海外のニュースサイトの1枚の写真を見て、行きたくてしょうがなくなっていた時期で。人間の暮らしって、食べて、寝て、友達と会話して、トイレ行って・・・、要素は皆一緒なのに、住む場所が違うだけでこんなに興味をそそられるものになるんだって思いました」という。

危険地帯を取材する理由を問うと「人の知らないことを知るのが面白いんです。表側には出てこない物事に対する単純な好奇心がベースですね」と答えた。

「実は、自分の中では裏とか表とかあまり関係がなくて、そこにいる人はどんな暮らしをしていて、モノの品質や流通システムはどうなっているか、誰が儲けているのかといった仕組みを理解したいというのが一番。普通のビジネス取材なんかとあまり違わないんじゃないかな。だから、現地での質問も『在庫はどれぐらい?』『返品は?』『品質保証は?』みたいなことになっちゃう。違法なことをして稼いでいる人に『悪いと思わないんですか?』って聞いても、あまり意味はないしね。なんなら正義って一番厄介。もちろん僕の取材対象は、社会問題や環境問題、政治・・・色々な背景を抱えていますが、それをどうにかしようとか、使命感に燃えているわけでもなく、構造を知りたいんです。自分が興味を持ったことを取材して発信しているだけですが、今もこの番組を見た方から色々言っていただけるので、皆さんに関心を持っていただけているんだなと思っています」。

「クレイジージャーニー」はTBS系列にて5月19日放送。

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