感動倍増のはずが困惑のフィナーレに…。オスカー授賞式製作の裏話をソダーバーグが明かす

#アカデミー賞#オスカー#スティーヴン・ソダーバーグ#スティーブン・ソダーバーグ

アカデミー賞

主演男優賞の発表をフィナーレに移動、その理由は?

4月25日(現地時間)に開催された第93回アカデミー賞授賞式は、コロナ禍により例年とは会場や演出も異なる体裁となった。一番大きなサプライズは、最高賞である作品賞と主演男優・女優賞の発表の順番を変えて、主演男優賞の発表をフィナーレに持ってきたことだ。

アカデミー賞総評:『ノマドランド』最高賞受賞はアカデミー会員の意思反映

「ロサンゼルス・タイムズ」紙で、今年の授賞式のプロデューサーの1人だった映画監督のスティーヴン・ソダーバーグがその理由を語った。

授賞式では、従来のようにノミネート作品のクリップやモンタージュではなく、候補者たちが映画を愛するようになったきっかけ、初期の仕事について話題にするなど、それぞれのストーリーを語ろうとする演出が繰り広げられた。大本命作『ノマドランド』が作品賞に輝き、続いて同作のフランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞。続いて、前哨戦を勝ち進んできた『マ・レイニーのブラックボトム』でチャドウィック・ボーズマンが受賞するという、感動的な結末を誰もが想像していたが、受賞したのは『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス。演出側の意向でZoom参加は許可されず、83歳の高齢でイギリスの自宅にいたホプキンスは出席が叶わず、受賞スピーチがないまま、授賞式はフェイドアウトした。

ソダーバーグは賞発表の順番を変えたことについて、「(3月中旬の)ノミネーション発表よりもずっと前からやろうと思っていたことで、1月に話し合いました」と答えた。

「俳優のスピーチは、プロデューサーのスピーチよりもドラマチックになる傾向があるというのが、私たちの信念です。根拠のないものではありません。そこで、変えてみるのも面白いだろうと考え、プランの1つとしてありました。しかも、ノミネーションが発表されて、チャドウィックが死後に受賞する可能性が出てきたとき、もし彼が受賞して未亡人が彼の代わりにスピーチをしたら、それ以上のものは出てこないだろうと考えたんです」

それはつまり、ボーズマンの受賞を予想しての演出だったのかという問いに、「想定していたわけではありませんが、少しでも可能性があるのであれば、それを考慮しなければなりません」と答えた。ボーズマンが受賞すれば、「それはとても衝撃的な瞬間になるから、その後に(通常の授賞式に)戻すことは不可能だったでしょう」

主演男優賞を受賞したのは『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスだった。

だが、史上最高齢の83歳で受賞したホプキンスはロサンゼルスの会場にも、特別に設けられたロンドンなど海外の会場にも赴くことはなかった。Zoomによる参加を希望したが、それは叶えられず、授賞式には不参加だったことから、俳優による感動のスピーチで授賞式の幕を下ろすことができなくなった。

それでも、Zoomを許可しなかったことを考え直すべきだったかと問われたソダーバーグは「No」と答えている。

INTERVIEW