第80回ヴェネツィア国際映画祭が開幕 ストライキの影響受けレッドカーペットは静かなスタート
主演のゼンデイヤらの参加叶わずオープニング上映作が変更に
第80回を迎えるヴェネツィア国際映画祭が30日(現地時間)よりスタートした。
・ハリウッド映画俳優組合がストライキに突入 期間中は撮影やイベントの参加・SNSでの宣伝活動も禁止に
毎年世界各国から充実したラインアップが揃い、同時期開催のカナダのトロント国際映画祭などと共に、アカデミー賞の行方を占う映画賞シーズンの本格始動となるが、今年のレッドカーペットは静かなスタートとなった。
その理由は現在アメリカで続いている2つの組合、特に俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキの影響だ。出品作に出演している組合員の俳優は基本的に参加しない。
ルカ・グァダニーノ監督の『Challengers(原題)』は映画祭オープニング上映を予定していたが、主演のゼンデイヤらの参加が叶わず、上映作を第二次世界大戦が舞台のイタリア映画『Comandannte(原題)』に変更した。
エマ・ストーン主演の『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)にはマーク・ラファロやウィレム・デフォーが出演、マイケル・ファスベンダー主演の『The Killer(原題)』(デヴィッド・フィンチャー監督)にはアーリス・ハワードやティルダ・スウィントンが出演しているが、ブラッドリー・クーパーが監督・主演を務める『Maestro(原題)』も含めて、一連の作品の出演者は全員ヴェネツィアには来ない。
例年に比べてレッドカーペットは地味になりそうだが、映画会社が俳優組合の要求に合意をした映画会社の作品に関しては俳優たちのプロモーション活動はスト違反に当たらず、マイケル・マン監督の『Ferrari(原題)』に主演するアダム・ドライバー、『Memory(原題)』のジェシカ・チャステイン、ソフィア・コッポラ監督の『Priscilla(原題)』のキャストは参加する。
開会式前に行われたコンペティション部門審査員団の記者会見では、審査員長を務めるデイミアン・チャゼル監督が「脚本家組合ストライキ中(Writers Guild on Strike)」とプリントしたTシャツとバッジを身につけて臨んだ。
「今日はハリウッドで脚本家たちがストライキを始めてから121日目、俳優たちがストライキを始めて48日目です」とチャゼルは話し、「それぞれの芸術作品にはそれ自体の価値があり、それはコンテンツというものではないという基本的な考えがあります。今、ハリウッドでお気に入りの言葉を使うならば……。その考え方はこの10年間でかなり侵食されています。私にとってはそれが核心的な問題です。コンテンツよりも芸術です」と強調した。
今年の映画祭には日本から濱口竜介監督の『悪は存在しない』がコンペティション部門に、塚本晋也監督の『ほかげ』が革新的な作品をラインナップするオリゾンティ・コンペティション部門に、杉田協士監督の『彼方のうた』がヴェニス・デイズ部門、仮想現実(VR)作品がラインナップするエクステンデッドリアリティ(XR)部門に伊東ケイスケ監督の『Sen』、大宮エリー監督の『周波数』が参加している。
映画祭は9月9日(現地時間)まで開催され、最終日に各部門の授賞結果が発表される。
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