親友の未来を奪った相手は男だけじゃない! キャシーの復讐劇の結末は?!

本年度の第93回アカデミー賞脚本賞受賞に加え、作品賞をはじめとする主要5部門のノミネートを果たした『プロミシング・ヤング・ウーマン』が7月16日より公開される。この度、キャストたちが自らの言葉で本作について語る特別動画が解禁された。

“将来を嘱望された若い女性”の悲しい過去…地獄の悪夢へ導く皮肉に満ちたリベンジスリラー

本作はアカデミー賞の他にもゴールデン・グローブ賞にて4部門ノミネート、英国アカデミー賞受賞など、賞レースを席巻した。監督は、本作が長編作デビューとなったエメラルド・フェネル。ロマンティック・コメディと復讐劇を融合させた独創的な自身の脚本で、監督と脚本賞のダブルノミネートを果たし、脚本賞を見事に受賞した。

主演をつとめたキャリー・マリガンは、批評家たちから「キャリア最高の演技」と絶賛を浴び、アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた。

30歳を目前にしたキャシー(マリガン)は、将来有望な医大生だったが、ある事件をきっかけに大学を中退し、今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーやクラブにひとりで繰り出し、泥酔したフリをしては自らに課したあるミッションを遂行していた。ある日、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)がカフェを訪れる。この偶然の再会こそが、キャシーに恋心を目覚めさせ、同時に地獄のような悪夢へと連れ戻すことに。そして、医大中退のきっかけとなったキャシーの親友の未来を奪った悲惨な事件に関わったすべての者への復讐心をも覚醒させることになる……。

今回解禁となったのは、本編の映像とキャストたちのコメントが交互に登場する特別動画。酔ったフリをした自分にまんまと近づいてくる“いい奴”にキャシーが裁きを下す様子について、フェネル監督は「女性の復讐劇を描いたスリラー作品」と語っている。さらに、そんな主人公を「ヒーローなんかじゃない」と、あくまでも彼女が正義ではなく、自分の怒りと向き合う人物であるということをほのめかす発言も見受けられる。

またマディソン役のアリソン・ブリーやライアン役のボー・バーナムも印象的なコメントを寄せ、主演のマリガンは「映画を見た人をハッと言わせたい」と、作品から“気づき”を得てほしいと熱く語っている。本動画の最後は、男性が助けを呼ぶ声と共に暗転して終わり、本編の続きがさらに気になるものになっている。

ジャンルレスな本作は、多くの観客の共感を獲得しつつ、激しい論争を巻き起こしてもいる。その理由は、女VS男という対立構造の中でどちらかを断罪して終わるのではなく、社会に蔓延るジェンダーバイアスを浮き彫りにしているからだ。キャシーの落とし前の矛先は“ナイスガイ”だけに留まらず、“同調圧力オンナ&女だからとわきまえる女”へも向けられ、痛烈に批判する。

作中の毒々しい怒りと復讐欲に惑わされず冷静な感情で見た時、何に気づくのか。見た者は、好きか嫌いかを超えたその先に何を見出すのか。ただのエンタメ作品では終わらない予感がする本作に、期待したい。