下着姿の老女の胸に手を添え、温もりを…高齢者専用売春クラブをモチーフに描く現代人の孤独

#外山文治#岡本玲#映画#茶飲友達

(C)2022 茶飲友達フィルムパートナーズ

『ソワレ』の外山文治監督が実話をもとに現代社会に横たわる閉塞感を描き出す

外山文治監督が高齢者売春クラブを舞台に描く群像劇『茶飲友達』が、2023年2月に全国順次公開されることが決定した。本作より特報を紹介する。

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2013年10月、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された。クラブの会員数男性1000名、女性350名、最高齢は88歳。まさに超高齢化社会の日本が抱える老人の孤独死、介護、おひとりさま問題などの不安が反映された事件──。本作は、この事件をもとにした社会派群像劇だ。

主人公・佐々木マナは高齢者専門のコールガール「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立。新聞の三行広告に「茶飲友達、募集。」と掲載し、集まってきた男性のもとへ高齢女性を派遣するビジネスを始める。「ティー・フレンド」に在籍する通称“ティー・ガール”たちの中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいた。

『茶飲友達』

一方、マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会の中で閉塞感を抱えて生きている。そんなままならぬ若者や高齢者を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいくのだが…。特報では、介護ベットに横たわる老人が、下着姿の老女の胸に手を添え温もりを分かち合う様子などが映し出されていく。

高齢者の孤独に寄り添いながら自身も心に寂しさを抱え、ファミリー=“擬似家族”の中に居場所を求める主人公・マナを演じるのは、NHK連続テレビ小説『純と愛』『わろてんか』や映画『弥生、三月-君を愛した30年-』(20年)など幅広く活躍する演技派女優・岡本玲。

監督は、⻑編デビュー作『燦燦-さんさん-』(13年)がモントリオール世界映画祭2014年に正式招待、『ソワレ』(21年)のヒットが記憶に新しい外山文治。“擬似家族”と化した高齢者専用売春クラブの姿を通して、現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者・若者どちらにも共通する「寂しさ」を人情味たっぷりに描き出す。

特報では、「孤独を抱えた高齢者と若者たちが家族になった」というマナのナレーションをバックに、「茶飲友達」のビジネスを共に企てる若者と高齢者の日常、そしてファミリーの平穏な日々を揺るがす状況に怒りを爆発させるマナの姿が描かれる。