認知症を抱える父との再会をきっかけに確かめ合う親子の絆

#ヴィゴ・モーテンセン#グリーンブック#スヴェリル・グドナソン#フォーリング 50年間の想い出#ランス・ヘンリクセン#ヒューマンドラマ#認知症

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ヴィゴ・モーテンセンが日本にメッセージ! 初監督作は半自伝的ヒューマンドラマ

3度アカデミー賞にノミネートされた名優ヴィゴ・モーテンセンの初監督作品『フォーリング 50年間の想い出』が11月12日より全国順次公開中。この度、ヴィゴ・モーテンセンへのインタビューおよび日本へのメッセージ動画が到着した。

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『グリーンブック』(18年)などでアカデミー賞にノミネートされた名優ヴィゴ・モーテンセンが、ついに監督デビュー。半自伝的な脚本と、魂に語りかけるような音楽も手掛け、さらに認知症の父を持つ息子ジョン役で出演も果たした。

父親ウィリス役には、『エイリアン2』(86年)や『ターミネーター』(84年)のランス・ヘンリクセン。若き日のウィリスには、『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(17年)のスヴェリル・グドナソン。ジョンの妹には、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』(07年)のローラ・リニー。

本作品は、認知症を抱える父との再会をきっかけに50年間の記憶が甦り、言葉にできなかった想いを確かめ合う親子の絆を描いた至極のヒューマンドラマ。

航空機のパイロットを務めるジョンは、パートナーのエリック、養女のモニカとロサンゼルスで暮らしている。ある日、田舎で農場を経営するジョンの父親ウィリスが認知症を発症し、引退後に住む家を探すためにジョンのもとへとやって来る。思春期の頃から、ジョンと保守的な父親との間には、ずっと埋まらない心の溝があった。だが、認知症のために過去と現在の出来事が混濁してゆく父と向き合ううちに、親子の50年間の記憶がとめどなく溢れ出していく──。

名優が監督に取り組むワケとは…?  インタビュー動画公開

この度、監督・製作・脚本・作曲、そして出演まで務めたヴィゴ・モーテンセンにインタビューを実施した。合わせて、日本での公開を記念したメッセージ動画とメイキング画像も到着。普段の俳優の時とは違った、監督として映画に取り組むヴィゴ・モーテンセンの様子を垣間見ることができる。

──これまで俳優として素晴らしいキャリアを積まれていますが、なぜ監督として映画を作ろうと決めたのですか?

モーテンセン:俳優をやろうと思ったのと同じ理由で、映画のストーリーを伝える一部になりたかったからです。脚本を書くことと監督することの主な魅力は、ストーリーを完結させること、最終的にストーリーに責任を負うことだと思いますが、監督業のプロセス、そして『フォーリング 50年間の想い出』の準備から撮影期間にかけて私が感じたことは、俳優や共同プロデューサーとして私がいままでに経験してきたこととは大きく異なってはいませんでした。

私はこれまでと同様にすべての細部に注意を払い、そして、ストーリーを伝えようと取り組んでいるチームの全員が行っていることに同じように興味を持っていました。おそらく、主な違いというのは、監督や色々な人たちに質問をしているのが私であるかわりに(私はいつもそうしてきたのですが)、人々が私に多くの質問をしてくるところだったと思います。

──初監督作品として、このストーリーや題材を選んだ理由を教えてください。本作は自伝的な要素も多分に含まれているようですね。

モーテンセン:作りたかった理由は、自分の両親や兄弟への感情や、両親から学んだことは何かということを掘り下げてみたいという願望があり、それに取り組むことができると思ったからです。

──本作では、家族のメンバー間の考え方の相違や、どんなに対立してもお互いを憎みきれない想いが丁寧に描かれていました。ご自身の実体験と重なる点や異なる点はどこでしょうか。

モーテンセン:私にとって重要なことは、他者をありのままに、そして自分自身もありのままに受け入れる方法を見つけようとすることだと思います。これは決して簡単なことではないですし、特に誰かと意見が合わないままに人生の大半を過ごしていて、彼らと歩み寄る余地もないように見える時には、なおさら難しいでしょう。誰かがあなたを本来のあなたとして見ていないと感じたとき、そしてあなたを受け入れていないと感じたとき、その人に心を開き続け、その人を受け入れることは難しいでしょう。

結局、誰が最初に折れるか、誰が先に親切で、寛大な態度を取るかは問題ではないのです。大事なことは、そのような態度が示されることです。雪が降ったとしても、雨が降ったとしても、その最初の雨粒や雪のひとひらを覚えていることは重要ではありません。ともかくも始めなければならないのです。誰も譲歩しなければ、全員が迷います。

私は自分の父の在り方を受け入れるのに長い時間がかかりましたが、それが出来たことを嬉しく思っています。そして父も彼なりのやり方で返答してくれました。人それぞれコミュニケーションの方法は違います。『フォーリング 50年間の想い出』は、受け入れること、そして許すことの大切さについての物語でもあります。

『フォーリング 50年間の想い出』は、11月12日より全国で順次公開中だ。