1968年9月28日にイギリスに生まれ、14歳のときに家族と共にオーストラリアのシドニーに移住。苦しい下積み生活を経て、デヴィッド・リンチ監督作『マルホランド・ドライブ』(01年)で注目を集め、Jホラーのリメイク作『ザ・リング』(02年)に主演し、ブレイク。『21グラム』(03年)ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされる。主な出演作は『キング・コング』(05年)、『愛する人』(09年)、『J・エドガー』(11年)など。
2004年に起きたスマトラ島沖地震。タイでのバカンス中にこの巨大地震に遭遇し、離ればなれになりながらも再会を信じ続け生き抜いた家族の実話を基にした『インポッシブル』は、人間の生命力の輝きと家族の愛の深さに心打たれる作品だ。
家族の母親を演じた主演のナオミ・ワッツは本作の熱演でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、高い評価を得た。必死で子どもを守ろうとする母の愛を見事に演じたワッツ、自身も2人の子を持つ母である彼女が作品の素晴らしさを語った。
ワッツ:出演の決め手は、この家族がどうやってつながり合ったり、離れたり、見失ったり、次に何が来るのか不安だったり、そういう彼らの思いや恐怖に関して、すべてを演じながら体験できると思ったから。大変な仕事になると思っていたわ。でもこれほどとは思っていなかった。果てしなく続く7ヵ月間だったわ。街から街へ、国から国へ、とても大変な経験だったの。
ワッツ:(息子ルーカスを演じた)トムと私が一緒のシーンがいくつかあるの。彼がどれほど素晴らしかったか、そしてどれほど素晴らしい資質をもっているか。ルーカスと(自身が演じた母親の)マリアとの間には、被災の体験を通じて深いつながりが生まれていく。その関係が好きだわ。とにかく、彼との仕事は本当にやりやすいわ。それが私にとって一番の出来事だった。オフタイムもトムと友情を育み、母と息子の素晴らしい関係を築けたの。
──そのトム・ホランドは、ジブリアニメ『借りぐらしのアリエッティ』(10年)の英国バージョンで声優をつとめていますが、実写映画はこれがデビュー作となります。俳優としての彼の資質について教えてください。
ワッツ:トムは才能を超えた俳優よ。まだ何の加工もされていなくて、心が開いている。才能に溢れていて、仕事がやりやすくて、元気づけてくれる。彼がいるとみんなの意欲が向上するの。
ワッツ:彼が大好き、本当に好きだわ。彼は監督として、みんなをギリギリのところに追い込んで、あらゆるものを手に入れたいと考えているし、実際にそうすることを恐れない人なの。撮影が始まってすぐに、彼が俳優たちを新しい場所に導こうと挑戦していることがわかったわ。
ユアンと私は何年もこの仕事をしているけれど、バヨナ監督は一瞬たりとも引き下がったり、臆したりしなかった。私も彼にそうあってほしいと思った。向こう側にいて、「ああ、彼女ならできるから、やらせておこう」なんて思ってほしくなかった。何度か「私にはできない。難しいシーンがあまりに多すぎる」と思ったことがあったの。そこで私は彼の首元をつかんで、「助けて!」と言ったの。彼はちゃんと応えてくれたわ。
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