松たか子、『ナギダイアリー』撮影地・奈義町に凱旋 町民の大きな拍手に「本当に嬉しい」
深田晃司監督は約10年に及ぶ歩みを振り返る
第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された、深田晃司監督最新作『ナギダイアリー』の舞台挨拶付き先行上映会が、9月18日に大阪、19日に撮影地・岡山県奈義町で開催。主演の松たか子、深田晃司監督が登壇した。
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9月25日からの日本公開に先立ち、本作の舞台のモデルであり、撮影地でもある岡山県奈義町で、“凱旋”となる先行上映が開催。主演の松と、脚本も手がけた深田監督が登壇し、舞台あいさつを行った。
実際に深田監督が奈義町に滞在して取材を重ね、撮影に至るまで町の全面協力のもと完成した本作。上映後の舞台あいさつでは、割れんばかりの町民たちの拍手に迎えられると、松は「撮影から1年半、ようやく皆さんに見ていただく日を迎えられました。本当に嬉しく思っています」と笑顔を見せた。
続く深田監督も、完成まで約10年に及ぶ歳月を振り返り、「ようやくこの場所で皆さんに10年前の成果をお届けできたことは、とても嬉しいです。我々を温かく受け入れてくださった皆さんがいたからこの映画ができたと思っています」と感慨深い面持ちであいさつした。
また、カンヌ国際映画祭でワールドプレミアを迎えた本作について、松は「もしかしたら、まだ日本に行ったことがない方もご覧になっていたかもしれません。奈義町という場所を知らない人が多いなか、想像力を膨らませながら映画を楽しんでいただけた雰囲気を感じました」と現地の反応を振り返った。
本作は、奈義町現代美術館を訪れた劇作家・平田オリザが、この場所を舞台に自身の代表作「東京ノート」の映画化を深田監督に提案したことをきっかけにスタート。その後、現地を訪れて準備を重ねた当時を振り返り、深田監督は「美術館の素晴らしさというのはもちろんですが、一番のこの町の魅力は会う人たちがみんな本当に優しく、個性的。文化芸術に親しみ、愛している人がすごく多いなと。あと、印象に残っているのは、町のいたるところにある沼地。沼地だけで映画が1本撮れるくらい回りました(笑)」と、思わぬエピソードも披露した。
また、松も「思い出はいろいろありますが、私が滞在した場所が山の中で。撮影は3月の終わり頃でしたが、暖房を30度にしても寒くて…途中で隣町まで布団を買いに行ったりもしました」と現場を振り返りつつ、「地元のみなさんが、お弁当やケータリングを毎日作ってくださって。撮影の終盤には、いちご大福を差し入れていただいたりと、美味しいものを食べると仕事のモチベーションになるんだということを教わった日々でした。ありがとうございました」と、町民の支えに感謝した。

東京出身の松だが、演じた彫刻家の寄子はナギで創作活動をしているという設定。役をどう捉えたかを問われると、「私は東京で生まれ、東京で育ち、今も暮らしています。そんな私が奈義町の皆さんの何かを担えるとは思ってはいないのですが、この役を、“こんな人がこの町にいてもいいですか?”と問いかけるような気持ちで演じました。町にずっと居続けて何かを見つめる方、この町を外から見てまた戻ってくる方もいらっしゃるのかもしれない。いろんな人が自分の居場所を変えたり、変えなかったりしながら生きていて。架空の町という設定もお借りしながら、寄子というキャラクターを皆さんの仲間に入れていただけるかな、と思いながら演じていました。離れることもあるからこそ、自分の場所を愛おしく思うこともあるだろうし、ずっと同じ場所に居続けることで生きがいを見つける生き方もあるだろうし…いろんな人の生き方の中に、寄子という人が仲間に入れたらいいなと思っていました」と語った。
最後に、深田監督は「本当に多くの方に撮影に関わってくださって、本当にありがとうございました。この映画は、架空の町という設定にはなっています。その分、見た人それぞれの中で色々なイメージが膨らまされるような作りになっていると思います。ぜひ、また別の角度でこの“ナギ”というものをみて再び町の魅力を発見していただければと思います」と語った。
松も「公開はこれからですが、ぜひ再び映画館に足を運んでいただけたらこれ以上の幸せはありません。以前、小学生の男の子に奈義町のいいところは?と聞くと“教育に力を入れていること”と答えてくれました(笑)。自分の育っている場所のいいとろをパッと言えるなんて素晴らしいと思っていて。これからも、風景とかいろんなことが守られて、皆さんの生活が風通しよく健やかに続いていくことを祈っています」と締めくくった。
また、奈義町での舞台あいさつに先立ち、前日の18日には大阪・なんばパークスシネマにも松と深田監督がそろって登壇。満席の客席から拍手で歓迎され、深田監督は「見終わった後の余韻が長く続く作品を作れたらといつも思っています。ぜひ、今日見た『ナギダイアリー』を、家に帰っても思い出してくれたら幸せです」、松は「どんな人にも、背中をそっと押すようなところを皆さんに伝わってくれれば嬉しいです」と呼びかけた。
『ナギダイアリー』は2026年9月25日より全国公開。
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