“吸い込まれる瞳”の美形俳優が緊急来日!『ピアス 刺心』リウ・シウフー&ツァオ・ヨウニン初舞台挨拶

#ツァオ・ヨウニン#ピアス 刺心#リウ・シウフー#台湾#台湾映画

『ピアス 刺心』
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『ピアス 刺心』
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ヨウニンは「最初に写真を見た時、とてもきれいな顔だと思った」とリウを絶賛

フェンシング代表として活躍した異色の経歴を持つ俊英ネリシア・ロウが、監督・脚本を手がけたフェンシング題材の破滅的心理スリラー『ピアス 刺心』が、12月5日より公開中だ。12月14日には公開記念舞台挨拶が行われ、W主演のリウ・シウフーとツァオ・ヨウニンという、台湾の美形実力派俳優2人が日本の観客に会うため緊急来日し、登壇した。

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チケットは即完売となり、会場は満席。熱気あふれる観客に向けて、まずはシウフーが日本語で「皆さまこんにちは、わたしはリウです。よろしくお願いします」と挨拶すると、ヨウニンも続いて日本語で「皆さまこんにちは、わたしはツァオです。どうぞよろしくお願いします」と述べ、会場から大きな拍手が沸き起こった。

『ピアス 刺心』

この日が日本で初の映画舞台挨拶となったシウフーは、「僕自身、この映画がものすごく大好きなんですが、日本の皆さんがどういう感想を持っていただけるのかと緊張しています」と切り出し、本作のテーマについて「僕がこの映画が好きなのは、愛というものを非常にユニークな視点で追求しているからです。もし自分が愛した人が、皆から怪物だと言われるような事態となった時、あなたならどうするのか、といったテーマを追求しているんです。皆さんにも自分と同じように、この映画を好きになってほしいと願っています」と観客に呼びかけた。

続くヨウニンも、満席の会場を見渡しながら「何よりも感動しているのは日本で上映できたということ。日本の配給会社にも感謝しています。しかもこんなにもたくさんの方が見に来てくださって、皆さまにお会いできたことにとても感激しています」としみじみ語り、「この映画が皆さんの日常の中で、何か新しい気付きをもたらすようなきっかけになればいいなと願っています」と付け加えた。

『ピアス 刺心』

本作の重要なモチーフとなるフェンシングシーンだが、ほとんどの場面を彼ら自身で演じたという。その準備期間を振り返り、シウフーは「僕たちはとても長い訓練を重ねました。もともと自分は運動がそれほど得意ではありません。でもこれは演劇のリハーサルと同じで、時間をかけて真剣に取り組めば、あるレベルまでは到達することができるものだと思ったんです」と語る。そうした中で、シウフーが自分の脚に筋肉がついてきたと実感できた頃、ネリシア・ロウ監督は「じゃあ撮影をはじめましょうか」と笑いながら声をかけたという。

一方のヨウニンは、「この映画には長い準備期間があり、役作りにうちこめる時間を与えてもらえたことはとてもうれしかった」と切り出しつつ、本作のメガホンを取ったロウ監督が元フェンシング選手であったことに触れ、「やはりフェンシングの指導が本当に厳しくて。トレーニングの過程は本当に大変で、なかなか難しいものでした。監督は僕たちの動きのひとつひとつ、細部まで細かく指導をしてくれました」と振り返った。

本作の撮影監督を務めたのは、ポーランド出身のミハウ・ディメク。『EO イーオー』(22年)で全米映画批評家協会賞を受賞するなど、世界の名だたる撮影賞を獲得してきた注目の撮影監督だが、シウフーは「彼のレンズを通して、実際の演技以上に感情や質感を感じとることができた」と絶賛。さらに、「彼は画面のシンメトリー(対称性)にこだわっているので、僕らの感情表現に加え、立ち位置も非常に重要でした。特定のポイントに正確に移動し、そこから感情をつなげていく必要があったからです。これはとても面白い試みでした」と撮影を振り返った。

ヨウニンも「英語が苦手なので、現場ではジェスチャーでコミュニケーションを取っていましたが、非常に優しく、深い愛情とともに接してくれた」と明かし、「彼の美的感覚や映像言語は、われわれ俳優にとっても大きな助けとなりましたし、普段の自分では見せないような姿をスクリーンに映し出してくださって。自分にもこんな表情があったのかと気付かせてもらいました」と感謝の言葉を述べた。

本イベントが始まる直前にも、シウフーの髪をヨウニンが整えてあげるひと幕があり、仲むつまじい姿を見せていた2人だが、実は本作が初共演となる。そこでお互いの印象について質問が及ぶと、シウフーは「実は最初はちょっと怖いなと思って緊張していました。僕がこの映画業界に入る前から活躍していた大先輩ですからね」と笑う。

だが、実際に会ってみると「すぐに兄のように気遣ってくれる人だと気付いたんです。前にヨーロッパの映画祭に行った時も、髪の毛を整えてくれたりと、彼の気遣いは本当に自然で。だから本当に居心地が良くて。俳優同士の波長が合うのは、とても貴重で重要なこと」だと感じたという。

『ピアス 刺心』

対するヨウニンは「最初にInstagramでシウフーの写真を見た時に、とてもきれいな顔をしている役者だと思ったんです。それからいろいろな作品を見て、特徴的な目をしているなと感じました。どこか吸い込まれるような深みがあって、『何を考えているのかな』と知りたくなりますし、彼との距離を縮めたいなとも思った」と語ると、「でもそんな必要はなかった。実際撮影が始まってみると、本当に波長が合うんです。たとえばエレベーターで知らない人といると気まずい空気が流れることがあると思いますが、彼とはそういう感覚がまったくない。ただそばにいて居心地がいい存在なんです」と付け加えた。

この日は、映画のタイトル『刺心』にちなみ、「心に響いたエピソード」「いい意味で心を刺すような出来事」についての質問も寄せられた。まずはシウフーが「日本に来る前にオンラインでインタビューを受ける機会があったんですけど、その時にオススメの映画として『国宝』(05年)という映画を教えてもらい鑑賞させていただきました。その主人公は小さい頃から芸術に興味を持っていたということで、僕自身の幼い頃のことを思い出しました。僕は小さい頃から独り言が好きでした。Aという役になったり、Bという役になったりしながら、ずっと一人でふたりの人格になりながら話していたんです。それで母に『変かな?』って聞いてみたんですけど、母は『これは神様がくれたプレゼントだよ』と言ってくれました。そのことを思い出した、というのが最近心に刺さったことです」と語り、話題の映画をきっかけに、俳優への興味を後押ししてくれた家族とのエピソードを明かした。

続いてヨウニンは「今日、日本の映画館にこれだけの観客が集まって、自分たちの映画を見てくれたというのを目の当たりにできたこと。これは僕にとっては非常に心に刺さった出来事です」と語り、会場を沸かせた。

そして最後にメッセージを求められたシウフーは、「最後の体育館のシーンの撮影中、(ポスタービジュアルにもある)赤いカーテンの幕が僕の気持ちに合わせて揺れていて、それがすごく助けになった。その空間はまるで僕の心の内側のようでした。だから皆さんも、ぜひこの映画を何度も見て、細かいところまで楽しんでほしいですね」と語った。

ヨウニンも「この映画では、いろいろなキャラクターの視点で見ることができます。だから映画を見るごとに、別々のキャラクターの視点に立って物語を追ってもらいたいんです。もし自分がその立場だったら同じ選択をするだろうか? それとも違う考えを持つだろうか? だからこそ何度も見る価値がある映画なんだと思います」と観客に語りかけ、イベントを締めくくった。

『ピアス 刺心』は現在公開中。