賛否両論の新アニメ映画『スラムダンク』往年のファンはおいてけぼり?

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井上雄彦のバスケットボール漫画「SLAM DUNK」(以下、「スラムダンク」)を原作とする新アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』の新情報解禁特番が11月4日に配信され、新たな声優キャスト(木村昴、神尾晋一郎、仲村宗悟、笠間淳、三宅健太)の情報などが解禁された。かつて多くの人々の青春を彩った伝説の漫画が原作であるだけに、巷では賛否両論が巻き起こっている。

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声優キャスト刷新が物議 新映画に賛否両論

「スラムダンク」は、神奈川県の不良高校生・桜木花道がバスケと出会い、仲間と共に成長していく過程を描く青春スポーツ漫画(全31巻)。1990年に週刊少年ジャンプで連載がスタートし(1993年からTVアニメも放送開始)、男女問わず当時の学生たちを虜に。「スラムダンク」の影響でバスケ部の部員数が急増するなど、後のバスケ界に大きな影響を与えた。シリーズの累計行部数は1億7000万部超を記録し、世界でもファンが多い。

今回、そんな「スラムダンク」の新作映画が25年以上の時を経て公開されることに。幅広い世代のファンが期待感を膨らませるも、声優キャストが解禁されると、ネット上で賛否両論に。「絶対に見に行きます!」「声優入れ替え然り、新たなスラムダンク!!!って感じがあってワクワクしてきた」「リアルタイムでSLAM DUNKを楽しんでた世代に向けたものじゃなくて、当時を知らない世代に新しく知ってもらうためのものなんだな、と割り切るしかないのかも」という声があがった。

一方、「あの頃の続きが見たかった」「作者の意向も大事だが、ファンも作品を愛していて、歴史を共に歩んでいたわけで、その幾年も待ち望んだ気持ちを大事にしてほしい」「ファンが大切にしてきた25年の思いは無視なのかな…と思ってしまう」「新しい声優陣は決して悪くはないんだ ただ、やはりアニメのあの声を聴きたい 全員ご存命でバリバリ現役だしさ」という意見も少なくない。

往年のファンはおいてけぼり? “アイドル声優文化”との間にズレ生じたか

近年アニメ界では、男女声優の人気が非常に高い。歌手活動や俳優活動を行う声優もおり、ビジュアル面も含めて表舞台でアイドル的な人気を博している。「声優は顔を見せずに裏方に徹すべき」だと主張するのは、もはや令和のアニメ界の傾向にそぐわないだろう。

しかし「スラムダンク」を信奉する世代は、2022年時点で主に30〜40代。「アニメや漫画は特に見ないけど『スラムダンク』だけは別の話」であり、湘北高校のメンバーである桜木、流川楓、赤木剛憲、三井寿、宮城リョータを筆頭に、過去に放送されていた(そして現在、各局や東映のYouTubeで再放送されている)TVアニメの声優陣の声が耳にこびりついているファンは多いだろう。

ひるがえって『THE FIRST SLAM DUNK』の新映像を確認すると、新声優陣の声と同時に、最後には声優陣5人が並び立つビジュアルが披露される。これでは、昨今の声優文化になじみのない往年の「スラムダンク」ファンは面食らう。また、声優キャストなどが発表する前に前売りチケットを先行発売したことも火に油を注いだ格好だ。

新映像から推測するに配給サイドは、「スラムダンク」を神格化して何を言わずとも来場してくれる往年のファンではなく、“アイドル声優文化”になじむ若い世代の獲得に注力した結果、人気の木村らを起用したとも考えられる。二兎を追う者一兎をも得ず、にならなければ良いが…。

『THE FIRST SLAM DUNK』は12月3日より全国公開。

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