岡田准一「『火垂るの墓』の後継作はこの作品」 西川美和監督『わたしの知らない子どもたち』を絶賛
#わたしの知らない子どもたち#二階堂ふみ#小八重葵美#岡田准一#西川美和
戦後の子どもたちを支えるヤクザ役で出演「いろんな感情が問いかけてくる」
新人・小八重葵美と二階堂ふみがW主演を務め、西川美和が原案・脚本・監督を手がけるオリジナル映画『わたしの知らない子どもたち』より、戦後時代に懸命に生きる登場人物たちの“煌めき”が詰まった新予告と場面写真が解禁。あわせて、主演の二階堂、岡田准一のコメントも到着した。
・小八重葵美&二階堂ふみW主演『わたしの知らない子どもたち』の場面写真を見る
・岡田准一、孤児を守る新興ヤクザ役に 戦後の東京で子どもたちの命と明日を背負う男を熱演
本作は、戦争によって人生を大きく変えられながらも、懸命に生き抜いた子どもたちの命の輝きと、その命を信じ、それぞれの選択で未来へと希望をつないだ大人たちの姿を描く感動の物語。第51回トロント国際映画祭(TIFF)のコンペティション部門となるプラットフォーム部門で、オープニング上映作品に“日本映画として初めて選出される”という快挙を達成した。
1945年、終戦。音楽家の父のもとでごく普通の暮らしを送っていた12歳の少女・茅野琴子(小八重)は、戦争によって家も家族も失い、たった一人で生きることになる。過酷な戦後を生き抜くため、少女であることを隠し、「少年」として生きることを決意した琴子。やがて同じ境遇の子どもたちと出会い、闇市に自らの居場所を見つけていく。

一方、琴子の担任教師だった曽根文美子(二階堂)も、敗戦によって婚約者を失い、教師としての立場も生きる意味も見失っていた。そんな中、琴子の父親の友人から「琴子を探している」との知らせを受け、琴子を捜すことを決意。その行方を追う中で、曽根自身も失っていたものを取り戻していく。
琴子の周囲には、闇市で暮らさざるを得ない子どもたちを受け入れる新興ヤクザの組長・菊沢(岡田准一)、子どもたちの理解者になろうとする新聞記者・諸積(坂東龍汰)、一時的に子どもたちの面倒を見る漁師の山井甚平とけいの老夫婦(役所広司・田中裕子)、散り散りになった子どもたちを迎え入れる孤児院の館長・鷹間(吉田羊)ら、さまざまな大人たちが現れる。琴子たちは、戦後の過酷な社会の中、それぞれの選択によって子どもたちの未来をつなごうとする大人たちに支えられながら生きていく。
さらに、菊沢との抗争にも関わる在日コリアンのヤクザ、朴勝久(パク・スング)役で、韓国の俳優キム・ドンウォンが出演することも決定した。
今回解禁されたのは、戦後の日本を懸命に生き抜く子どもたちと、彼らを支え未来へとつないだ大人たちの姿を収めた場面写真と新予告編。『ゴジラ-1.0』(23年)で第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した白組のVFXチームがよみがえらせた戦後日本を舞台に、登場人物たちの悲しみや憎しみ、希望が交錯する人間ドラマが映し出される。

予告編では、戦争によって一変した世界で「少年」と偽り、必死に生きる琴子が「私は自分がどこの誰だか分からなくなりました」と悲痛な叫びを上げる姿も。絶望の中で自分を見失いそうになりながらも懸命に生きる子どもたちと、その未来を信じて手を差し伸べる大人たち。それぞれの思いが交錯しながら、たくましく明日へ進んでいく姿を捉えたエモーショナルな映像に仕上がっている。
広島出身の西川美和監督は、幼少期から身近だった「戦争」というテーマについて、キャリア初期には避けていたい気持ちがあったという。しかし、前作『すばらしき世界』(20年)の制作過程で、戦後に実在した12万人を超える“名もなき子どもたち”の存在を知ったことから企画が始動。戦後81年を迎える今、戦争を知らない世代が未来へ伝えていくことについて、「戦争とは何だったのかを描き直すことは、作り手が果たすべき役割ではないか」と語る。
本作の監修を務めた児童福祉論の第一人者・浅井春夫(立教大学名誉教授)は、本作について「戦争孤児たちのかすかなろうそくの灯りのような希望に寄り添う、西川監督の一貫した姿勢=歴史的想像力が全体を貫いている」と強く感じたという。
さらに、「戦争孤児たちの敗戦直後の時代から、戦後史を生き抜く姿を想像する努力と事実を知ることは、現代を生きる私たちの人間としての責任ではないかと思います。『わたしの知らない子どもたち』は、わたしの知らない若者たちとなり、おとなたちになり、そして年老いている人々となっている現在、歴史的想像力を働かせて、想い続ける戦争責任の記憶の継承者として、戦争孤児問題を考え続けたいと心に刻みました」と、本作が未来へ語り継ぐ意義について言及した。

また浅井は、本作について「『火垂るの墓』(88年)とはまた異なる事実の再現性に特徴がある」と語る。『火垂るの墓』がアニメーションならではの“ファンタジー”という側面を持ちながら、兄妹の生きざまや節子の死を通して戦争の非人間性を浮き彫りにした作品であるのに対し、『わたしの知らない子どもたち』は、生身の人間が戦争体制に組み込まれ、子どもたちがいかに過酷な戦後を生き抜いたかを描くことで、“戦争を自分自身の問題として考える作品”だと分析。「この作品を通して、歴史的想像力を働かせ、戦争責任の記憶の継承者としてこの問題を考え続けたいと心に刻みました」と、作品が持つリアリティと現代的な意義に強い感銘を寄せた。
さらに、映画評論家の松崎健夫は「戦後間もない時代を生きた市井の人々の視点で描かれた今作は、戦争に巻き込まれてしまった子どもたちの過酷な現実を提示することで、『戦争の悲劇』=『戦場の悲劇』だけではない、或いは、<大人の理屈>だけで戦争を考えてはならない、と私たちを戒めるだろう」と、本作が現代社会に投げかけるメッセージを高く評価した。
琴子の元教師・曽根文美子を演じる二階堂もまた、「いまこの社会を作っている、大人の方たちもこの作品をみるべきだと思いますし、戦争というものは本当に起こしてはいけないということをまっすぐにこの作品と共に言えるようになってほしいなと思います」と、今この作品を見る意義を語る。
一方、新興ヤクザの組長・菊沢を演じる岡田は「西川監督の作品を心待ちにしていたひとりとして、映画として面白いことの一歩先、社会性が含まれていて、なにか問いかけるものを感じる緻密な台本だと感じました。いい映画だと感じるだろうし、願いも込められるし、希望も込められるし、矛盾を感じたり、悲しさも感じたり、いろんな感情が問いかけてくる、それが西川監督のマジックだなと思いました」と、物語が持つ多面的な魅力と、観客に投げかけられる普遍的な問いについて熱弁。
岡田は「「火垂るの墓」の後継作はこの作品。今見るべき作品」とも語っており、本作もまた“戦争について考える”きっかけとなる作品として、世代を超えて多くの人々の心を揺さぶることになりそうだ。
『わたしの知らない子どもたち』は2026年10月16日より全国公開。
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