「悪魔の手だぞ!」左利きの少女が見つめた、大人たちの隠し事

#ツォウ・シーチン#左利きの少女

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『左利きの少女』
『左利きの少女』

監督自身の実体験を投影した少女と家族の物語が日本上陸

“左利きは悪魔の手”と祖父に叱られた5歳の少女と、その多世代家族が織りなす驚きと感動の物語『左利きの少女』。昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品され、アカデミー賞台湾代表作品に選出された話題作が、2026年8月14日より全国公開されることが決定。あわせて、日本版ポスターと予告編が解禁された。

・『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』ショーン・ベイカー監督インタビュー

第77回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝き、米アカデミー賞作品賞など4部門を受賞した『ANORA アノーラ』(24年)でインディーズ映画界を熱狂させ、時代の寵児となったショーン・ベイカー。彼と大学時代に出会い、『テイクアウト』(04年)で共同監督デビューを果たし、以降はプロデューサーとして『タンジェリン』(15年)『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17年)『レッド・ロケット』(21年)などで彼を支えてきたのが、本作で満を持して単独監督デビューを飾った台湾出身のツォウ・シーチンだ。

第98回アカデミー賞国際長編映画賞<台湾代表>に選出され、同賞の最終候補15作品にリストイン。さらに第26回東京フィルメックスで観客賞、第20回ローマ国際映画祭で最高賞を受賞するなど、広く支持を集めてきた本作が、いよいよ日本でも劇場公開されることが決定した。

ツォウ監督の出身地である台湾・台北の実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケ撮影が行われた本作は、5歳の左利きの少女・イージンが、祖父から「左づかいは悪魔」と叱られたことをきっかけに物語が動き出す。実はツォウ監督自身も“元”左利きであり、祖父から右手を使うよう勧められた実体験をもとにしている。

賑やかな喧騒と色彩豊かな街の片隅で暮らす、シングルマザーの母親、姉、そしてイージンの3人。厳しい生活のなかで困難を乗り越えようと奮闘する家族の姿を、幼いイージンの視点を中心にエネルギッシュかつ繊細に描き出す。本作は、人間の清濁を包み込んだ家族ドラマとして共感を呼び、予想を超えるサプライズと感動をもたらす。

ベイカーに強く勧めたことが『タンジェリン』の誕生につながったように、ツォウ監督はiPhoneを駆使して街の奥深くへ自在に入り込み、そこで生きる人々の日常を鮮やかに立ち上がらせた。古いしきたり、世代間のギャップ、“左利き”をめぐる制約——。パーソナルな物語に文化的・社会的背景を織り交ぜながら、自分らしさを肯定する温もりあふれる作品へと昇華させている。

『左利きの少女』

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日本版ポスタービジュアルには、台北の夜の街を姉妹がバイクで駆け抜ける姿が映し出されている。バイクの前に座っているのが本作の主人公イージンで、運転しているのは幼稚園への送り迎えを担う姉イーアンだ。背景には道の両側に色鮮やかなネオンが輝き、夜市を舞台とする本作らしい喧騒と混沌が、バイクの疾走感とともに描かれている。今にも人々の話し声や大きなクラクションの音が聞こえてきそうな臨場感にあふれ、どこか切なさと強さを感じさせる表情からは、人々の温もりまでも伝わってくるようなポスターに仕上がっている。

日本版予告編は、夜市の屋台が立ち並ぶ風景から始まる。湯気の立つおいしそうな麺を、小さな女の子が運んでいる。イージンは無邪気な笑顔を見せたかと思えば、頬を膨らませて泣き出すなど、くるくると表情を変え、その愛らしさを振りまく。母娘3人で暮らす楽しげなシーンの後には、祖父母と食卓を囲むイージンが、祖父から「なぜ左手を使う、悪魔の手だぞ!」と咎められる場面が映し出される。

左手を見つめ、罪悪感を抱くイージン。一方で、母も姉も思わず涙をこぼしてしまうような事情を抱えている様子がうかがえる。単なる仲良し家族を描いた“ありきたり”な物語にはとどまらず、「一生隠し通すつもりだったの?」というセリフからも、その後の展開が一筋縄ではいかないことを予感させる内容となっており、見る者の興味を強くかき立てる。

『左利きの少女』は2026年8月14日より全国公開。