(後編)強豪が勢揃い、桜花賞並みの大波乱は!? 悪役フリーザは『コナン』優勢を覆せるか

#週末シネマリサーチ

『名探偵コナン 業火の向日葵』
(C) 2015 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
『名探偵コナン 業火の向日葵』
(C) 2015 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

(…前編より続く)

〇【2位予想】『名探偵コナン 業火の向日葵』
「名探偵コナン」の劇場公開版第19作。ゴッホの「ひまわり」をめぐり、宝石しかターゲットにしない怪盗キッドや、大富豪、そしてコナンたちが奮闘する姿をスリリングに描く。

【週末シネマリサーチ】(前編)強豪が勢揃い、桜花賞並みの大波乱は!? 悪役フリーザは『コナン』優勢を覆せるか

ゴールデンウィーク映画として、毎年同時期に公開される『名探偵コナン』シリーズ。過去5年間の初週末の動員の推移をみると、43万人⇒45万人⇒54万人⇒56万人⇒64万人(左より10年〜14年)と右肩上がりだ。本作は、ゲスト声優に女優の榮倉奈々とKARAの元メンバー知英を起用。俳優・田辺誠一“画伯”が描くメインビジュアル、人気アーティスト「ポルノグラフティ」が主題歌「オー!リバル」を歌うなど、多方面からのコラボで話題をさらっている。

高いクオリティで子どもから大人まで楽しめるストーリー展開。上映館も約320館と大崩れする気配はなく、50万人の大台をクリアすることは間違いないだろう。相手は『ドラゴンボールZ 神と神』。60万人超えの実績では『名探偵コナン〜』が上位だが、『フリーザ復活』の話題性を上位にとり、2番手評価。

▲【3位予想】『ワイルド・スピード SKY MISSION』
『ワイルド・スピード』シリーズ第7弾。国際的犯罪組織を倒し、平穏無事な日々を過ごしていたドミニク(ビン・ディーゼル)たちの前に、弟の仇としてデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が現れたことにより、激しいバトルが繰り広げられる。

日本でも大人気の『ワイルド・スピード』シリーズ。前作『ワイルド・スピード EURO MISSION』(13年)は全国610スクリーンで、動員33万人、興収4億4500万を記録し2位にランクイン。完全にシリーズがファンに根付いている印象を受けた。

本作は、全米で公開されると初日だけで約6740万ドル、週末3日間で約1億4719万ドルを記録。『ワイルド・スピード』シリーズ史上最高の数字を叩き出した。さらに、本シリーズをきっかけにスターダムにのし上がった俳優ポール・ウォーカーが、本作撮影中に不慮の事故(撮影とは無関係)で死去。シリーズでその雄姿が見られるのは最後となってしまっただけに、ファンなら絶対に見逃せない。ライバルが強力すぎるため3番手評価にしたが、前作超えも十分期待できる。

△【4位予想】『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』
「クレヨンしんちゃん」の劇場公開版第23弾。父ひろしが、メキシコ転勤を言い渡されたことにより、野原家が長年住み慣れた春日部から引っ越すことによって巻き起こる騒動を描く。

『名探偵コナン』シリーズと同日公開が慣例となっている本作。動員数では『名探偵コナン』シリーズの後塵を拝しているが、本シリーズも根強いファンが多い。過去5年間の初週末の動員の推移をみると23万人⇒16万人⇒17万人⇒19万人⇒29万人(左より10年〜14年)と安定した数字を残している。4月5日に行われた完成披露試写会では、ゲスト声優として参加しているHKT48の指原莉乃&日本エレキテル連合が出席。しんちゃんがセンターの感想を指原に突っ込むなど、一貫して「クレヨンしんちゃん」ワールドを展開し、他のアニメ作品とは一線を画したプロモーション活動を展開している。

“野原家 春日部をお引越し”は全国紙で報道されるなど、大いに話題になった。同日公開に話題作が多く、動員が流れる危険性もあるが、15〜20万人の集客は固いだろう。

【注目シネマ】
×『セッション』
第87回アカデミー賞で助演男優賞ほか3部門を受賞した音楽物語。名門音楽学校に入学したジャズドラマー志望の青年と、スパルタ指導を行う伝説の教師との交流を描く。

公開時上映館は約15館。小規模公開だが、世界中の映画祭で賞賛を受けた話題作だ。3月31日に行われたトークイベントでは、RIZEのドラマーで俳優の金子ノブアキが出席し、本作の魅力を存分に語った。パワフルなドラムと共に綴られる人間ドラマに引き込まれる。

×『サウンド・オブ・ミュージック』
1965年に日本でも公開されたミュージカル映画の傑作が、「製作50周年記念日本語吹替版」として特別上映。

シンガーソングライターの平原綾香が主人公マリア役で声優初挑戦するほか、石丸幹二、日笠陽子などがボイスキャストとして名を連ねる。スタート時は5館程度の上映だが、映画史に残る名作を劇場で鑑賞したいというファンは多いだろう。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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