アメリカが最も作りたくなかった作品!『それでも夜は明ける』を町山智浩が解説

町山智浩(左)とデーブ・スペクター(右)
町山智浩(左)とデーブ・スペクター(右)
町山智浩(左)とデーブ・スペクター(右)
『それでも夜は明ける』
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第86回アカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』。授賞式直前の3月2日にシネマート六本木で試写会トークイベントが行われ、アメリカ事情に詳しい映画評論家の町山智浩とデーブ・スペクターが白熱トークを繰り広げた。

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同作は、19世紀のアメリカを舞台に、自由を保障された自由黒人が拉致され奴隷として売り飛ばされた過酷な事実をもとにした作品。アメリカで大きな注目を浴びた理由について町山は「今まで100年間続いたハリウッド映画で奴隷農場に関して描いてる作品は3本しかない。それだけアメリカが作りたくなかった闇の歴史の部分を描いたこの作品は貴重なんですね。あと、南北戦争が終わって奴隷解放から来年で150年目ということもあります」と説明した。

ブラッド・ピットがプロデューサーをつとめているが、「この映画は最初、大手の製作会社が断ったので、ブラット・ピットが自らプロデューサーとして動いたんですね。彼は奴隷制度に反対派なので」と町山。これにスペクターが「ブラッド・ピットは立派ですね」と褒めてから、「奴隷制度はピット(みっと)もない!」とお得意のダジャレで応え、「(アカデミー賞助演女優賞を受賞した)ルピタ・ニョンゴは、アメリカで大注目をされていて、連日向こうのトークショーでも引っ張りだこなんですよ」とも話していた。

黒人監督のスティーヴ・マックイーンをはじめイギリス人キャスト・スタッフの多い作品で、町山は「アメリカ人俳優でこの映画を作っていたら役者陣はもっと辛かったと思います。監督も役者もイギリス人が多いから、うまく描けたというのもあるかもしれません」と、裏事情にも言及した。

最後、映画の見方を聞かれた町山は「今、ローリング・ストーンズが来日してますよね? みなさんがコンサートでノリノリになるあの『ブラウン・シュガー』の歌詞はこの映画の話とまったく一緒なんですよ! なぜミック・ジャガーそんな内容を歌ってるかは分かりませんが」と意味深なコメントを残していた。

『それでも夜は明ける』は3月7日よりTOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国順次公開される。

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