キャメロン・ディアスが初の母親役!二世監督が紡ぐ家族の絆とは?

ニック・カサヴェテス
1959年5月21日生まれ。ニューヨーク出身。父は映画監督の故ジョン・カサヴェテス、母は女優のジーナ・ローランズ。俳優を経て『ミルドレッド』(96)で監督デビュー。翌年の『シーズ・ソー・ラブリー』がカンヌ国際映画祭で高く評価され注目を集める。05年の『きみに読む物語』は日米で大ヒットを記録。
ニック・カサヴェテス
1959年5月21日生まれ。ニューヨーク出身。父は映画監督の故ジョン・カサヴェテス、母は女優のジーナ・ローランズ。俳優を経て『ミルドレッド』(96)で監督デビュー。翌年の『シーズ・ソー・ラブリー』がカンヌ国際映画祭で高く評価され注目を集める。05年の『きみに読む物語』は日米で大ヒットを記録。
ニック・カサヴェテス
1959年5月21日生まれ。ニューヨーク出身。父は映画監督の故ジョン・カサヴェテス、母は女優のジーナ・ローランズ。俳優を経て『ミルドレッド』(96)で監督デビュー。翌年の『シーズ・ソー・ラブリー』がカンヌ国際映画祭で高く評価され注目を集める。05年の『きみに読む物語』は日米で大ヒットを記録。
撮影中のニック・カサヴェテス監督(左)と主演のキャメロン・ディアス/(C) Photo Courtesy of New Line Cinema
撮影中の様子。175cmのキャメロン・ディアスより一回りも大きいニック・カサヴェテス監督

インディペンデント映画の雄、故ジョン・カサヴェテス監督を父に、大女優ジーナ・ローランズを母に持つニック・カサヴェテス。父と同じ映画監督の道を進んだ彼は、『シーズ・ソー・ラブリー』(97)でカンヌ国際映画祭で高く評価され、『きみに読む物語』(05)では多くの人々を涙させた。そんな彼の最新作が、10月9日から公開される『私の中のあなた』だ。

白血病の長女と、姉のドナーとなるため、遺伝子操作の末に生まれてきた妹を軸にした家族の物語で、親子の絆、生きることの意味、命の尊さが、真摯な眼差しで丁寧に描かれていく。キャメロン・ディアスが初の母親役に挑戦し、これまでのコミカルなイメージを覆す熱演を披露しているのも話題のひとつだ。

困難に負けまいとする家族の姿が深い感動をもたらすこの作品を作り上げたニック・カサヴェテス監督に話を聞いた。

──キュートでコミカルな印象の強いキャメロン・ディアスが、この映画では、全編ほぼノーメイクで病気の娘をもつ母親を熱演し、新境地を開拓しています。彼女にこの役を演じさせようと思った理由は?
監督:ハリウッドの女優はいつも同じような役を演じる傾向がありますが、僕としては、毎回同じ演技を見るのは退屈なんです。この役は、10代の難しい年頃の子どもを持つ母親の役。キャメロン自身は未婚で子どももいないのですが、今までやったことのないこの役を演じてくれて、とても嬉しかったですね。
 演じる上で、一番求めていたのは「強さ」です。この母親は、人の意見や他人の評価をまったく気にしないタフな人間で、「私の子どもは死にかけてはいない」と強く主張し続けます。キャメロンは、そういったことを細かく説明しなくても、すぐに理解してくれました。
 この映画での彼女の演技は素晴らしく、とても誇らしく思っています。

──この映画を見ていて、「医学の進歩は人間を幸福にしたのか」ということを考えさせられました。監督は、それについてどう感じましたか?
監督:人間はいつかは死ぬし、病気にもかかる。その対応についてはいくつかの選択肢がありますが、この映画は、どんな選択肢を選ぶかということを探求しています。それはとても複雑で、描ききるには2時間ではとても足りません(笑)。
 人間にとって、長生きすることが大事なのか、(短くても)いい人生を送ることが大事なのか……。私は、いい人生を送ることの方が大切だと思っています。

──物語の中心となる11歳のアナを、幼くしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたことのあるアビゲイル・ブレスリンが演じ、素晴らしい演技を披露しています。また、その姉で白血病患者のケイトを演じるソフィア・ヴァジリーヴァも素晴らしい。どのようにして、10代の女優から人々を感動させる演技を引き出していったのですか?
監督:私は、監督の最大の仕事は、俳優に許可を与えることだと考えています。俳優は、いろいろなことが許されていないと思っているものなんです。自分で考えず、脚本通りに演じるように言われている人が多いのですが、若い女優の場合は特にそう思いがちです。なので、私はできるだけ「許可」を与えました。
 2人は非常に才能豊かな女優です。この映画の成功は、彼女たちの才能に出会えたから。私はすごくラッキーだったと思いますよ。

──家族の物語と同時に描かれるのが、闘病中のケイトの恋愛です。青春の輝きが美しく描かれ印象的でしたが、この場面を演出するにあたって、どんなことを意図したのでしょうか?
監督:人生の素晴らしさを示したかったので、ケイトの恋愛のエピソードでは、彼女が死にかけていることを描くのではなく、どれほど恋をして輝いていたかを描こうと思いました。
 ケイトを演じたソフィアは撮影当時15歳だったのですが、非常に厳しいロシア人家庭に育ったこともあり、キスをしたことがありませんでした。だから、この映画で初めて男の人にキスをしたのですが、ファーストキスなのにカメラが何台も回り、20人以上のスタッフに囲まれ、死にそうなくらい緊張していました。ものすごく恥ずかしがっていましたが、すごく可愛かったですね(笑)。
 相手役のトーマス・デッカーは5歳年上だったので、ケイトを優しくリードしてあげていましたよ。その後、2人はとても良い友だちになったそうですが、監督って面白い職業だなと思いましたね。

──この映画はアメリカでもそれなりにヒットしましたが、作品の出来の良さから言うと、もっとヒットしてもおかしくないと思いました。アメリカではアクションものなどは大ヒットしますが、こういう作品はあまり評価されない傾向がありますね。
監督:アメリカ人は、この映画のようにエモーショナルな作品を見ると「お涙頂戴だ」と言い、何も感じない風を装いがちです。でも、そういった傾向を責めるつもりはありません。なぜならこの作品は、非常に辛いことを描いていて、毎日見たくなるような映画ではないからです。
 なので僕も映画をヒットさせるために、次回はパイを投げつけたりするようなコメディを作ろうかな(笑)。

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