【この俳優に注目!】スパイ映画にこの人あり! 頭髪控え目ながらもセクシーな名脇役

『ビトレイヤー』で大物犯罪者を演じるマーク・ストロング
(C) The British Film Institute 2013
『ビトレイヤー』で大物犯罪者を演じるマーク・ストロング
(C) The British Film Institute 2013

今年50歳で頭髪も控えめ。でも、ひょろりとした長身と鋭い眼光がとてもセクシー。マーク・ストロングはハリウッド大作から母国イギリスの作品まで、いまの映画界に欠かせない俳優だ。

『ビトレイヤー』ジェームズ・マカヴォイ インタビュー

現在公開中の『ビトレイヤー』では、ジェームズ・マカヴォイ扮する刑事に追われる大物犯罪者を演じている。追う者と追われる者が、やがて背後の大いなる陰謀と共通の敵の存在に気づいて共闘するサスペンスアクションだ。映画は、強盗に成功し、仲間たちとモダンなビル街で逃走をはかる彼とマカヴォイの追跡シーンから始まる。スーツにガスマスクをかぶった立ち姿が美しい。まっすぐな背筋、長い手足のバランスが良く、何気ない仕草も絵になる。

大金をせしめても隠遁先で鍛錬を欠かさず、腕立て伏せをするストイックなその姿を俯瞰でとらえ、入れ墨の背中の肩甲骨の動きを映し続けるサービスショットを用意するエラン・クリーヴィー監督。実によくわかっている。ストロングは横顔も美しい。右から左から、夜の闇に浮かぶ横顔を映し続ける、その気持ちがよくわかる。いくら見ていても飽きない。形のいい頭蓋骨のおかげで、ブルース・ウィリス、ジェイソン・ステイサムと並び、髪がフサフサだとむしろ違和感あり、という域に到達している。

優雅な物腰に知性を感じさせるが、全てを見透かすようなギョロリとした眼に残忍性や野卑さを帯びる瞬間もある。これが『ビトレイヤー』で製作総指揮をつとめるリドリー・スコット監督のお好みらしく、自身の監督作『ワールド・オブ・ライズ』(08年)、『ロビン・フッド』(10年)に起用している。先述の『ロビン・フッド』をはじめ『シャーロック・ホームズ』(09年)など、ストロングは悪役も絶品。撮影時11歳だったクロエ・グレース・モレッツ相手に容赦ない戦いぶりを見せた『キック・アス』(10年)もある。この時はコワモテながら、いまいちキメきれないおかしさを醸し出し、身長が10センチ以上伸びて、男ぶりのあがったスタンリー・トゥッチみたいな印象。トゥッチは17日から公開の『モネ・ゲーム』に出演しているので、ご興味ある方は見比べてみるのも一興かも。

ここ数年で演じたのは、ヨルダン総合情報局局長(『ワールド・オブ・ライズ』)、英国諜報機関のスパイ(『裏切りのサーカス』)、CIA職員(『ゼロ・ダーク・サーティ』)。諜報活動を扱う作品にはこの人あり、という様相だが、人種や国籍も自在なカメレオン的存在感は、ロンドンでイタリア人の父とオーストリア人の母の間に生まれ、ドイツ語で育てられたという生い立ちが一役買っているのかもしれない。ちなみにストロングという姓は、イタリア系が丸わかりな父方の名字でいじめられないようにと母親が名乗らせたものだが、非情なようでいて血気盛ん、息子が可愛くてたまらない父親という『ビトレイヤー』の役柄が似合うのもラテンの血のなせるわざではないだろうか。この役は設定といい、『キック・アス』と陰と陽のごとく相対しているのも面白い。

あるインタビューで、俳優に大切なのは自信と集中力であり、ひいては男性を魅力的に見せる要素でもあると語ったストロング。なるほど、善(あまり機会はないが)につけ悪につけ、彼の演技にはいつも筋の通った強さがある。自惚れとは別物の“自信”を持つ人に、敵う者はいない。(文:冨永由紀/映画ライター)

『ビトレイヤー』は新宿シネマカリテほかにて全国公開中。

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『ビトレイヤー』作品紹介