今年は何があった? 2008年映画界10大ニュース【前編】

『ダークナイト』で来日したクリスチャン・ベール(左)、マギー・ギレンホール(中)、アーロン・エッカート(右)
『ダークナイト』で来日したクリスチャン・ベール(左)、マギー・ギレンホール(中)、アーロン・エッカート(右)

2008年も余すところ、あとわずか。そこでムビコレ編集部では、ヒットの数字や業界の流れを踏まえつつ、今年の映画界10大ニュースを選んでみました。

【第10位】……ギネス記録で映画を宣伝

映画の宣伝では、さまざまな工夫が凝らされています。例えば、来日記者会見に、花束贈呈のような形で日本人タレントが登場するケース。これは、来日したスターや監督の知名度がイマイチな場合、より知名度が高い日本人タレントを起用し、メディアに取り上げてもらいやすくする手段。誰も来日しない場合には、タレントを宣伝隊長などに任命し、その就任式イベントを行うといったケースも増えてきました。

そうした中、今年は『ぼくのおばあちゃん』の宣伝にギネスが登場。主演の菅井きんが“世界最高齢映画主演女優”としてギネスに認定されたことをプロモーションに生かしたのです。同じくギネス記録となったのは、日本映画美術の重鎮・90歳の木村威夫の監督デビュー作『夢のまにまに』。こちらは“世界最高齢長編映画監督デビュー”としての認定です。来年もまた、どんな宣伝アイデアが飛び出すかにも注目です。

【第9位】……次世代DVDがブルーレイに1本化

今年2月に東芝は「HD DVD」事業からの撤退を発表。これで「HD DVD」と「ブルーレイ」陣営に分かれてシェア争いをしていた次世代DVDは、ブルーレイに1本化されることが決定しました。背景には、ハリウッドが両陣営に分かれた状態が長引くことを望んでいなかったことがあげられます。長引く間に大容量のネット配信が可能となり、パッケージそのものが売れなくなってしまっては困る、というのが本音のよう。09年はブルーレイが、どこまで浸透するかにも期待が寄せられています。

【第8位】……『崖の上のポニョ』が大ヒット!

夏に封切られた『崖の上のポニョ』が、主題歌人気も手伝って興収154億円の大ヒット。今年の年間興収ランキング第1位に躍り出ました。『ポニョ』は当初、宣伝展開が公開直前だったために大ヒットを危ぶむ声も聞かれましたが、フタを開けてみればご覧の通り。宮崎ブランドの強さを再認識させてくれました。ちなみに宮崎アニメは、1997年公開の『もののけ姫』以来、記録的大ヒットを連発しています。その数字は以下の通り。

第1位……『千と千尋の神隠し』(01年)/興収304億円
第2位……『ハウルの動く城』(04年)/興収200億円
第3位……『もののけ姫』(97年)/興収194億円
第4位……『崖の上のポニョ』(08年)/興収154億円

【第7位】……『ダークナイト』がアメリカで歴代2位の大ヒット!

日本では『ポニョ』が今年NO.1の座を獲得しましたが、海の向こうのアメリカでは、『バットマン』シリーズ最新作『ダークナイト』が興収5億3000万ドルという大記録を打ち立て、『スター・ウォーズ』(4億6100万ドル)を抜き、『タイタニック』(6億ドル)に次ぐ、全米歴代2位を記録しました。

このヒットに貢献していると言われているのが、ジョーカー役を演じたヒース・レジャーの存在。ヒースは今年1月に28歳の若さで急死したのですが、その名演技ゆえ、09年に発表されるアカデミー賞の有力候補と目されています。故人が過去にアカデミー賞を受賞したのは、1976年の『ネットワーク』のピーター・フィンチのみ。すでに、12月11日に発表されたアカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデングローブ賞では助演男優賞候補にノミネートされており、期待が高まります。

【第6位】……映画誌「ロードショー」休刊

1972年創刊の映画誌「ロードショー」(集英社)が11月発売号で休刊になりました。最高で35万部発行されていたものの、現在は5万部程度にまで落ちていたとか。出版不況と言われて久しいのですが、今年はほかにも様々な雑誌が休刊に追い込まれました。この傾向は09年以降も変わらず、出版関係者は頭を悩ませているようです。

以上【前編】では、第10位〜第6位までを発表させて頂きました。残る第5位〜第1位までの【後編】はこちらをご覧ください。みなさんの中ではどんなニュースが、08年の10大ニュースにあがっていますか?

【関連記事】
今年は何があった? 2008年映画界10大ニュース【後編】
動画で振り返る2008年の映画界[動画あり]
『ぼくのおばあちゃん』作品紹介
『崖の上のポニョ』作品紹介
『ダークナイト』作品紹介
『ダークナイト』クリスチャン・ベールほか記者会見[動画]