マイ・インターン
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孤独な女若社長と生き甲斐探しのシニアインターン

インテリアを軸に映画を見直してみませんか? ここで紹介する『マイ・インターン』は、2015年公開のアメリカ映画で、監督は『ホリディ』『恋するベーカリー』のナンシー・マイヤーズ。『プラダを着た悪魔』の続編などと言われるが、今回は『ホリディ』や『恋するベーカリー』のような恋愛抜きの、シンプルな友情物語だ。今回は映画の中のインテリアという観点から見直してみよう。

 ・[週末シネマ]デ・ニーロが普通のおじいさん役を好演した王道のハリウッド・エンターテインメント『マイ・インターン』

本作は、インターネット・ファッションサイト「ABOUT THE FIT」を立ち上げた若い女社長ジュールズ(アン・ハサウェイ)と、リタイアして生き甲斐を探していた70歳の新人インターン、ベン(ロバート・デ・ニーロ)の心の交流を描く。ジュールズは顧客ファーストで情熱的に活動しているが、僅か1年半で会社が急拡大したことで、同年代の仲間たちと衝突し始める。一方、家庭でも、夫を専業主夫にして仕事に没頭していたツケが回り、夫に浮気されてしまう。

公私ともに一杯一杯になった彼女は、ベンのFBの友達登録を手伝ったエピソードを節目に、徐々に心を開いていく。

ホワイト主体の採り入れやすいインテリア手法

インテリアのポイントとしては、ジュールズの自宅のキッチンと、ブルックリンのオフィスの二カ所が挙げられる。

ジュールズが娘や夫と暮らす自宅は、彼女の大のお気に入り。インテリアは、ホワイトを基調として、壁にはアートの額や娘の絵が沢山下がっている。

キッチンも全体としてホワイトでまとめ、キッチン家具は無機質なグレー。白いタイル貼りの壁面にはオープンな木の棚が据え付られ、モノトーンの皿やコップが並ぶ。いわゆる“見せる収納“だ。そこに大きめのペンダント照明が下がる。

カラフルなスパイスの瓶が差し色になっているのもオシャレ。そのほかの場面や、ベッドルームのコーディネートに差し色として赤を使うなど、ちょっとした配慮も見られる。

王道ではあるが、一般家庭にも採り入れやすいインテリアといえるだろう。

シンプルな友情関係を描くに相応しいインテリア

一方、ふたりの職場であるブルックリンの「ABOUT THE FIT」のオフィスも素晴らしい。

ここは、大きな古い工場を買収してリノベーションした大空間で、剥き出しのレンガ造りの壁を白にペインティング。窓やガラスのパーテーションのフレームは黒枠で引き締まる。従業員たちのデスクは、大きい白テーブルで、大きい黒ランプが下がっている。創業者ジュールズが、大好きな自宅のイメージをオフィスにも実現したといえそう。

総じて無機質でインダストリアルな空間だが、木製の大テーブルがぬくもりを加えている。床はモルタルで、開放的な空間でありながら、どこか素敵な雑貨やの雰囲気もある。このトレンディなインテリアは、個性的なキャラクターとカジュアルなファッションのキャストが揃い、シンプルな友情関係を映し出すステージとして相応しい。

若者の新生活にうってつけのインテリア

よくインテリアコーディネートを考えるときに、「アナタはどのスタイル?」と聞かれることが多い。しかし、チャートなどを作って類型化し、そこに無理に当てはめようとすると、かえって上手くいかないものだ。

同様に、本作のインテリアに憧れてお手本にしようと思っても、そのまま自宅に採り入れることは難しい。空間はそれぞれバラバラであり、インテリアは間取りや窓の位置などとの関係で絶妙なバランスで成り立っているからだ。

本作のインテリアは、若い家族が手作りでシンプルに仕上げたい人に向いている。白いキャンバスに絵を描いていくように、旅で出会ったアートやスナップ写真、子供の絵を飾ることで、家族との思い出を加えていけばいいのだ。

ナチュラルで手作り感溢れるインテリア

実はブルックリンのオフィスは、ベンがかつてサラリーマンとして40年過ごした工場だった。それがリノベーションによって、今風のオシャレな空間に生まれ変わっている。

ちなみに、作中登場してくる夜の街中のシーンのように、現在のブルックリンに実際足を運ぶと、かなりオシャレである。店の外にアルファベットのプレートや朽ちたキリスト像が無造作に置かれたりするが、あとはシンプル。手作り感溢れるペンキ塗りの壁やタイルが施されるのみで、過度な装飾は施されていないが、スタイリッシュな建物やインテリアが印象に残る。

そんなブルックリンを舞台にした本作のインテリアは、ホワイト基調をベースに、異素材や手作り感を巧みに組み合わせ、若い女社長とシニア部下のマリアージュを描いた本作のストーリーを引き立てていると言えるだろう。(文:fy7d)

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