CLASS SEVEN大東立樹の主演ドラマや青春アニメストーリーで話題作り 「デカコーン」Canvaの狙いに迫る

#Canva#ビジネス#インタビュー#スタートアップ

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ユニコーンを超えた「デカコーン」Canvaが掲げる“シン・地元主義”とは?

写真も文章も、デザインの知識がなくても直感的に作れると評判のオンラインデザインツール「Canva(キャンバ)」。オーストラリア発のこのサービスは、日本でもここ数年でぐっと身近な存在になった。そんなCanvaが今回手がけたのが、全編アニメーションで制作した新しいテレビCMだ。
ムビコレ編集部では、Canva Japanでブランドマーケティングを統括するあすみさんにインタビュー。日本上陸の経緯から、Canvaが日本で支持されている理由、そして今回のCMに込めた狙いなどについて話を聞いた。

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・【動画】公立学校の半分が導入済み。Canvaはもう「知る人ぞ知る」ツールじゃない

——Canvaは日本ではいつ頃から使えるようになったんですか?

あすみ:日本での展開を始めたのは2017年です。日本法人の設立は3年ほど前、2023年になります。

——2017年から使えるようになっていたのに、なぜ改めて日本法人を立ち上げることになったのでしょうか?

あすみ:Canvaはオーストラリアで生まれたサービスです。もともと英語で製品開発されているので、英語圏には自然に広まりやすいんです。でも、それ以上に展開しようとすると、各国の言語や文化に合わせて調整していく作業が必要になります。日本語専用のフォント、縦書き、ふりがななど、日本特有の細かいニーズをプロダクトに取り込んでいくために、日本チームを立ち上げたのがCanva Japanのスタートです。

——転機となった取り組みや、印象的だったエピソードはありますか?

あすみ:すごく反響があったのは、「いらすとや」さんのフリー素材です。パートナーシップ契約を結んでCanvaの中で使えるようにしたところ、大きな反響がありました。日本人が使ってくれるだろうと思っていたら、メキシコなどでもいらすとやの素材がすごく使われているというデータが見えてきて、素材の汎用性や幅広さの大切さを感じました。

——教育向けの取り組みにも力を入れられているそうですね。

あすみ:Canvaには「教育版」という製品があり、今では日本全国の公立学校の半分くらいでCanva教育版が導入されています(※1)。教育版については、日本に限らず全世界で無償提供しています。先生用と生徒用で見え方が違っていて、生徒側は課題を提出できるなど、通常のCanvaとは違う仕様になっています。教育版を使ってくれている新しい世代のユーザーがどんどん増えていて、今後のビジネス展開の大きな鍵になると考えています。
※1 約1700自治体中1060の自治体で導入済み

——数あるデザインツールの中で、日本でCanvaが支持されている理由をどう分析していますか?

あすみ:競合を意識してというよりは、Canvaの一番の強みはやはり誰でも簡単に使えるという点です。テンプレートの豊富さや素材の多さ、簡単に写真を入れられる直感的な操作など、とにかく誰でも簡単に使えることを意識していて、これは日本に限らずどのマーケットでも同じです。

——それ以外では、どんなタイプのユーザーが多いんですか?

あすみ:詳しいデータは社外に公開できないのですが、教育現場で使ってくれている学生さんはすごく多いです。企業導入していただいているところでは、ビジネスのプレゼンテーション資料を作っているところが多いですね。あとは、お店を経営されている方がメニューやポスターを作ったり、インフルエンサーさんやコンテンツクリエイターの方がサムネイルや動画を作ったりする使い方もあります。

そして、これはマーケティング努力というより自然発生的なんですが、結婚式ですね。招待状や席次表など結婚式のペーパーアイテムをCanvaで作りましたと言ってい ただくことが多くて、最近はゼクシィさんにも特集を組んでいただきました。テンプレートもたくさん用意しています。

——6月から放映されているCMは初の全編アニメーションですが、アニメという形にされた理由は?

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Canva Japan初の全編アニメTVCM「伝えたい想いのそばに 碧い海商店街」篇

あすみ:これまでの広告もそうなんですが、単純に楽しんで見ていただけるCM動画にしたいと思って制作しました。Canvaとしては「シン・地元主義」と言っているんですが、日本らしい、日本人に馴染みのある映像手法として、アニメを広告としてやってみると面白いんじゃないかと考えました。すでに色々なブランドがアニメで広告を作って話題になっているものもあり、そういうことにチャレンジしてみたかったというのもあります。

——地方都市を舞台にしたストーリーは、どのように決まったんですか?

あすみ:何かを始めてみたい、自分で何かを作ってみたい、誰かに何かを伝えたいと思う瞬間のそばにCanvaがある、というメッセージを伝えたいと考えたときに、青春物語、復興ストーリーのような内容はどうだろう、という話になりました。なお、これに類する実話があったわけではなく、オリジナルの物語です。

——人気声優の前田佳織里さんの起用や主題歌(Hump Backの代表曲「拝啓、少年よ」)については、どのような経緯で決まったのですか?

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あすみ:私たちのターゲットは「インターネットが使えるすべての方」と定義しています。なので、今回ガールズバンドがテーマだからといって、若い女性や若年層だけをターゲットにしているわけではなく、できるだけ幅広い世代の方に楽しんでもらえることを目指しています。

主題歌は、2018年にリリースされた曲で、SNSなどで今でも色々な人に愛されている楽曲です。ストーリーとマッチしていますし、個人的にすごく好きな曲だったこともあり、Canvaでの体験と重なる部分があると思って選びました。

——放映した結果、CMはどんな層に刺さっているのでしょうか?

あすみ:日本のインターネットユーザーは、1億2000万人の人口のうち、小さいお子さんやご高齢の方を除いた1億人くらいと考えていて、その全体に届くようにしています。Canvaのマーケティング手法はとてもユニークだと思うのですが、誰に刺さっているか、どの層が一番反応がいいか、といったデモグラフィック(年齢や性別などの属性)データはあえて追いかけていないんです。

——それをせずに、なぜここまで認知が広がったのか、その秘密が知りたいです。

あすみ:正直、数字で見るとまだまだなんです。私自身がCanvaで働いているので、「Canva使ってる」「CM見たよ」という声はたくさんいただきますが、日本全体で見たときに、みんながCanvaを知っているという状況になっているかというと、全然そんなことはなくて、まだまだなんです。

——マーケティング手法が大変ユニークだということですが、具体的に教えていただけますか。

あすみ:私はもともとユニリーバで消費財のマーケティングをやっていたのですが、それと比べるとCanvaのマーケティングは全く違います。結構、画期的でありながら、汎用性もあると思います。CMとしては、まず注目を引いて映像を見てもらうことが大事。その中に「Canvaって何?」というエッセンスを入れて、少しでも覚えてもらえたらいいな、というのが狙いです。

日本市場への浸透、商機は“推し活”に!?

——今後の展望を教えてください。

あすみ:今は、ユーザー数を増やしていくことが一番のビジネスゴールです。マーケティングとしては、「Canvaって聞いたことあるな」という認知を持っている人の数を増やすことを、一年中広告でやっています。定期的に接触することで、何か作りたいというときに「そういえばCanvaで作れそうかも」と思い出してもらえたらいいなと思っています。この戦略は、この先1、2年で変わることではないと思っていて、今はまだまだそのフェーズです。

——製品自体はAIの導入でどんどん変わっていくと思いますが、そのスピード感についてはどう感じていますか?

あすみ:製品は最近AIの導入や統合をどんどん進めていて、今「Canvaはこういうものです」と言っている形が、2年後には全く違う形に変わっているかもしれません。私自身はIT畑出身ではないのですが、変化の大きさ、スピード感にはすごくびっくりしています。弊社には3年後の話をしている人があまりいなくて、「来月どうする」というくらいのスピード感で動いています。

——まだCanvaを知らない市場と、すでに知っているユーザーとでは、伝え方を変えているんですか?

あすみ:はい。既存のユーザーさんには最新機能を伝えていきたいのですが、まだ聞いたことがない方が多い市場では、最新機能よりもまず「初めまして、Canvaです」ということを伝えるフェーズです。

——世界的に見て、一番普及しているのはどこの国なんですか?

あすみ:オーストラリア以外だとアメリカです。日本は認知度としては、おそらく真ん中より下の方だと思います。創業初期は「ポルトガル語を話せる人がいるから(ポルトガルやブラジルで)使えるようにしよう」というような、スタートアップらしい展開の仕方をしていたので、ブラジルなどは早くから広がった一方、日本はこれから、というフェーズです。

——日本のユーザー向けに工夫していることはありますか?

あすみ:最近、デザインとの親和性が高いということで力を入れているのが「推し活」です。うちわを作ったり、SNS投稿で推しへのメッセージを作ったり、色々な使い方をしてくださっています。最近もアイドルグループとのタイアップ企画をさせていただきました。

また、お祭りなど日本独自の文化的なイベントとの相性もいいと感じています。今年は徳島の阿波踊りに協賛し、「キャンバ連」というかたちでCanvaのチームがスポンサーとなって連(踊りのグループ)を出させていただきます。

——「デザインスクール」というコンテンツについても教えてください。

あすみ:Canvaを使ったデザインの仕方を紹介する、Canvaが世界中でやっているコンテンツシリーズです。日本では独自に「チュートリアルドラマ」と呼んで、去年と今年、ドラマシリーズを制作しています。今回は『どんな綺麗な朝日より、沈む夕日を僕は推す。』(※2)というタイトルで、テーマは「かけらのままで、君のまま」です。

CLASS SEVENの大東立樹さんが主演、秋田汐梨さんがヒロインを務める、「オタク男子」×「元アイドル」×「バンド」の全6話の学園ストーリーです。

自分らしさとテクノロジーが共存する、自分らしさを表現するためのツールがCanvaですよ、というところを大事にしていますし、完璧じゃなくてもいい。作っていて楽しい感覚を、ユーザーさんにより体験していただきたいと思っています。

※2 Canva 公式YouTube チャンネルにて配信中

——今後もこうしたドラマやCMに力を入れていく方針ですか?

あすみ:長尺のチュートリアルドラマは去年から続けていますし、Instagramなどでは短いドラマやアニメーション動画など、色々な形の広告やコンテンツを作っています。Canvaは説明するのが難しい商品です。だからこそ映像コンテンツはすごく相性がいいと思っていて、これまででいうと、年に1、2本は新しいCMを出しているという感じです。

——デザインツールはたくさんありますが、Canvaのターゲットはプロではなく一般層なのでしょうか?

あすみ:そういうわけでもないんです。プロ向けのツールは自分には難しいと思っていて、デザインということ自体に抵抗があった方が、Canvaで初めて自分でデザインを作る、ということもあると思います。競合に対しての動きというよりも、結構ユニークなツールだと思っているので、そこで明確な価値を提供していけるといいと思っています。

——AIツールが次々と登場する中で、Canvaはどんな立ち位置を目指しているんでしょうか?

あすみ:やはり誰でも簡単に使えるというところに尽きるんですが、Canvaの主役はあくまでユーザーさんで、CanvaのAIはそれだけで完結できるわけではないと思っています。ユーザーが作りたいものやアイデアを、AIと一緒にデザインできるツールというのが、今のCanvaのAIの活用方法です。作ったものを自分好みに、伝えたいメッセージに合わせて編集していけることが、Canva独自の強みだと思っています。

——最後に、まだCanvaを使ったことがない読者に向けて、メッセージをお願いします。

あすみ:Canvaはデザインをしたことがない方でも、誰でも簡単に作っていただけるツールです。簡単に誰でもプロのようなクオリティのデザインを作れます。ぜひ使ったことがない方も、使ってみてください。