正月映画の勝者を予想! 余裕のファンタビ、ドラゴンボールに、妖怪ウォッチの危機…

#映画#興行トレンド

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
(C) 2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. 
Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) J.K.R.
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
(C) 2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) J.K.R.

正月興行はどんな作品が話題になりそうか。最大の注目作が『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』だ。『ハリー・ポッター』の原作者が新たに描く魔法ファンタジー映画2作目で、前作は興収73.4億円の大ヒットとなった。本作は前作同様、11月23日から公開された。正月映画は12月公開が大半だが、競合作品のない早めに公開することで、シネコンで座席数の多いスクリーンを字幕版、吹き替え版の両方で確保。公開スタート時に一気に集客し、翌週以降も大きめのスクリーンを維持する配給戦略だ。公開後10日間で興収28.9億円、19日間で興収40.5億円。前作は12日間で31.4億円なので、ほぼ前作並みのペースといえそう。

日本市場で稼ぐ『ハリポタ』&『ファンタビ』

『ファンタビ』に続くヒットが期待されているのが『シュガーラッシュ:オンライン』だ。ゲームの世界を舞台に、悪役キャラクターのラルフと少女ヴァネロペの冒険と友情を描いたディズニーアニメ続編。前作が30億円を記録している。本作には歴代のディズニープリンセスが揃うキラーショットがあるのが強みで、前作以上の大ヒットを記録する可能性は十分だ。

手堅い興行が期待できるのが『ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー』。劇場版20作目で、原作者・鳥山明が原作・脚本・キャラクターデザインを担当した。前作は37.4億円で、新作も同程度のヒットが見込まれる。「劇場版20作記念 フルキャラクターフィルム風ステッカー」と「スーパードラゴンボールヒーローズカード」が入場者プレゼントなのも動員を後押ししそう。

 『ドラゴンボール』とは逆に、映画関係者が心配しているのが劇場版5作目『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』だ。1作目は78億円の大ヒットとなったものの、回を重ねるごとに興収を落としており、前作は20.4億円。興収が下げ止まらないと、来年の劇場版が打ち切られる可能性が出てきそうだ。

邦画実写で期待が高いのが『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』。「大人が良質で泣ける邦画を見るならコレ」と評価が高い。配給元の松竹では18年の正月映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(興収27億円)のような大ヒットを狙っているといわれる。

このほか邦画実写では、中島哲也監督が岡田准一主演で製作したホラー映画『来る』、中島健人と中条あゆみで人気少女マンガを映画化した『ニセコイ』、平成ライダー勢揃いの『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』が控える。

洋画実写の注目作は『アリー/スター誕生』。女性スターの誕生と、彼女を見出した男性スターの転落を描くストーリーで主演はレディー・ガガ、相手役がブラッドリー・クーパー。彼女が数々の歌を披露していることと、音楽映画ブームが続いているのが追い風だ。

公開中の『ボヘミアン・ラプソディー』は快調に動員を伸ばしており、正月興行に入ってもロングラン上映されそう。

評価が分かれるのが、ミニオンを生んだイルミネーションの新作アニメ『グリンチ』だ。『怪盗グルー』シリーズ以外の興行成績を見ると、『ペット』(42.4億円)、『SING/シング』(51.1億円)と大ヒット作がある一方、『グリンチ』と同じドクター・スースの原作をアニメ化した『ロラックスおじさんの秘密の種』は10億円に届かなかった。本作はどちらになるだろうか。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。