前編/元極道の法律家が弱者の味方として奮闘する『びったれ!!!』

#元ネタ比較

『びったれ!!!』
『びったれ!!!』

「カバチタレ!」や「極悪がんぼ」を手がけた田島隆原作による、別冊ヤングチャンピオンで連載中の同名コミック(連載開始時は「奮闘!びったれ」(きばれ!びったれ))を映画化した『びったれ!!!』が公開される。主演の田中圭をはじめメインキャストは、2015年1月から放送された深夜ドラマシリーズと同様だ。

原作者の田島隆は行政書士でもあり、「びったれ!!!」も「カバチタレ!」のように法律家を主人公にしたリーガルドラマだ。「びったれ!!!」の主人公は司法書士である伊武勉なのだが、彼は3つの顔を持っている。1つは敏腕の司法書士であり、2つめはお人好しのシングルファーザー、そして3つめはなんと元・極道なのだ。

基本1話完結の物語のパターンとしては、お人好しVer.のときに個人的に知り合った社会の弱者が抱える問題を、細かい法律解説も交えながら敏腕の司法書士として解決するというもの。ただし、裏社会の人間が絡んでいるときなどは元・極道として睨みをきかせて有無を言わせず相手をねじ伏せる。無理を通して道理を引っ込ませ、法律解説はなんだったの?とばかりに身も蓋もない仕事人へと切り替わるのもまた痛快なのだ。

ちなみに舞台は極道ものの本場、広島。いや、そんな言い方したら広島県民に失礼か。でも、闇社会と庶民が共存しているイメージのまんまの雰囲気で、ドラマシリーズは広島では3人に1人が見たという驚異の視聴率を誇っているのだからして、広島県民もあながち悪い気はしないのだろう。映画版はオール広島ロケというから広島愛は強いだろうし、広島側の協力も厚いはずだ。また、田島隆は広島出身であるし、“びったれ”とは“かばち”“がんぼ”と同じく広島弁で、“小心者”というような意味なのだとか。司法書士・伊武勉は小心者の味方というわけだ。

これだけ素材が揃っていて、主人公のキャラクターもお人好しのときは黒縁メガネ中年、敏腕のときはスッとメガネを外してキリッとした顔立ちになり、元・極道のときは髪をなでつけオールバックにして眼光鋭く、といかにも漫画タッチな変身を見せる。なのに、元ネタのコミックはアクションが少なく、見せ場も弱くて、どうも地味な印象は否めない。

作画は「カバチタレ!」や「極悪がんぼ」は東風孝広で、「びったれ!!!」は高橋昌大なのだが、高橋昌大は東風孝広のアシスタントだったそうで、実は筆者は同じ人物だと勘違いしていたぐらい画のタッチが似ている。線が太く無骨な画ヅラで、キチキチと律儀なコマ割りで、迫力ある見開きページなどはないのだ。それでも漫画は味わい深いものとして好まれもするが、ドラマで起伏がないとただ単調に陥ってしまうのだ……。(後編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)

【元ネタ比較】後編/元極道の法律家が弱者の味方として奮闘する『びったれ!!!』

『びったれ!!!』は11月28日より全国公開される。

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